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「みかん」の夢

作者: 田久青

昔々のお話


そのみかん畑の山からは


近くの村の様子がとても良く見えました



その村には、村一番の正直者


よしべえさんというおじいさんが住んでいました



よしべえさんは村で困った人がいたり


病気の人がいたりすると


自分の畑仕事もそっちのけで


お世話をしたり、助けてあげたり


自分のできることをやってげたりしていました



よしべえさんは、自分のことは後まわしなので


とても貧乏でしたが


それでも、よしべえさんの回りには


いつも村の人や、村の子供たちが


いっぱいいて、笑い声がたえませんでした



みかんは、その村の様子を見て


いつしか、夢を持つようになりました



「僕は、あのよしべえさんに食べてもらおう


そのために、


一生懸命、太陽の光をあびて、


一生懸命、根っこから栄養を吸って


あまくておいしいみかんになって、あのよしべえさんに


笑顔でたべてもらうんだ。」



みかんは、他の仲間より、毎日毎日一生懸命努力しました



ある日、近くに住む意地悪なカラスがやってきました


「おっ、甘くておいしそうなみかんがなってるぞ、


食べてしまえ」


カラスは、そのみかんをくちばしで枝から外すと


自分の巣に持って帰ってしまいました



カラスは自分の巣でそのみかんを食べようとしたのですが


あまりにも甘くておいしそうだったので


「よおし、もっとおいしく食べるためにもう少し


熟れるのを待とう」よだれをたらしながらそう思いました



その様子を木の陰からじっと見ていた


近くに住むいたずらきつねが


「おっ、カラスがおいしそうなみかんを取ってきたぞ、


また、横取りしてしまえ」



そのきつねは、カラスが出かけるのを待ち


出かけた隙に、そのみかんをまんまと横取りしてしまいました


そしてそのみかんを自分の住みかに持って帰ったのです



「何て、おいしそうなみかんなんだ


こんなおいしそうなみかんは、初めてだ。」


きつねがそのみかんを食べようとしたその時


「こらっ、きつね」


という声がしました



きつねがその声のするほうを見ると


何と、村のよしべえさんが立っていました


よしべえさんは、いつも畑の野菜を横取りするきつねを


一度、こらしめようと足跡をおって


きつねの住みかを探していたのでした



「ごめんなさい、もう悪いことはしませんから許してください」


きつねは、泣きながらあやまっています


「もし、今度うちの畑に悪さをしたときは


しょうちしないからな」


きつねは、よしべえさんの畑から盗んだ野菜は


すべて食べてしまっていたので仕方なく


あのおいしそうなみかんを差し出しました



よしべえさんは、そのみかんを持って


また村へ帰っていきました



次の日、よしべえさんは、遊びに来ていた


村の子供たちに、おもしろおかしく


きつねをこらしめた話をすると


そのきつねにもらったみかんを取り出し


子供たちと一緒に食べ始めました



「なんて、甘くておいしいみかんだ


こんな甘くておいしいみかんは生まれて初めてだ」


子供たちと笑いながらそのみかんをみんなで食べましたとさ



おわり





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