「生徒会長の裏腹」③
戦闘で劣化したビーストクラスの校舎とは違い、サムライクラスの校舎は新築のように綺麗だった。廊下や中庭では下級生と思われる生徒が掃除や自主練をしており、護朗が通る度に「こんにちは!」と元気のいい挨拶をしてくれた。袴や上等な制服を着た上級生と思われる生徒らは掃除や自主練に参加しながら後輩を指導していた。
「上品な体育会系って感じだなぁ。上級生も年功序列に甘えているわけじゃなく、下級生の手本になっているみたいだし。」
ビーストクラスが力と本能の世界だとすると、サムライクラスはまさに秩序ある平和な社会だった。
「その昔、成功した武将は城下町に活気があって賑わっていたと聞くけど……まさにそれを体現したようだよ。」
ますます謙信会長のカリスマ性に敬服する護朗である。
サムライクラス一般校舎の廊下を抜けた先に天守閣のような作りの校舎があった。もはや校舎ではなく城そのものとも言える特別校舎は日本の文化遺産程ではないが、壮大であった。
「さすが、例年優勝しているだけあって、お金かかってるなぁ……」
門番の生徒2人に、自分がジョーカーであること、クラス体験に来たことを伝える。すると、2人は快く受け入れて門を開ける。
「謙信様はおそらく鍛錬を終え、休憩されている頃だと思う。待合室でゆっくり待ちたまえ」
「ご丁寧にありがとうございます。」
護朗は頭を下げ、中に入っていく。そこには警備の生徒しかおらず外観のこともあり、もはや校舎ではなく城そのもののようだった。警備の生徒は社会人も顔負けの綺麗なお辞儀をすると、護朗を待合室へと案内した。
待合室は高級ホテル並の広さを誇っていた。壁には歴代越後家の頭首の肖像画が並び、暖炉の上には先祖代々に伝わる名刀のレプリカが飾られていた。本棚には五核使いの歴史をまとめた本や越後家の伝記などの資料が置いてあり、自分が生まれる遥か前の色褪せた古い写真も飾っていた。
「広すぎて落ち着かないなぁ……」
もはや歴史博物館のような待合室に、護朗は気になった資料や写真を眺めていた。
「この人が越後輝虎……ここの創始者の方かな?」
護朗が見つめる写真には、越後家肖像画の右から3番目の人物が、学校の正門の前に立っていた。その隣には若き校長と思われる家臣も……。
「校長先生、若っ!しかも、結構なシブメン!」
そんなこんなで時間を潰しながら、幼い頃の謙信会長の写真も見つける。輝虎と共にいる写真と比べだいぶ歳を取った校長と共に写真に写っていた。
「すごいなぁ……幼い頃に越後家の頭首になったのか。やっぱり天才は小さい頃から天才なんだなぁ。」
「にゃおぉ〜ん」
「……ん?」
聞き覚えのある猫の声に反応し、振り向くとそこには行方不明になっていたアキが窓際で毛繕いしていた。
「どうしてここに……!?」
窓の外を見ると伝書用の鷹が数羽飛んでいた。
「まさか、鷲に乗って……?」
「にゃふ!」
どうやら、動物の行動というものは人間の理解の範疇を超えることも起こるらしい。具体的にどうやってきたかは知らないが、おそらくピタゴラ的なスイッチな出来事が重なりここまでたどり着いたのであろう。




