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千獣王 11


 カナンとクロノさんが戻ってきました。

 そして二人とも帰ってくるなり糸が切れたようにぱたりと倒れました。

「……肝が冷えた。百年分仕事をした気分だ。もうわたしは一歩も動かんぞ」

「疲れました。寝ます」

 よろよろと立ち上がってカナンを引きずり仮眠室を目指そうとしたクロノさんの前を、スーライルが寝ぼけ眼を擦りながら通りかかりました。こちらは仮眠室から出てきたところです。

「あ、カナン。僕と君とクロノちゃんとヨヨさんでレンクウを討つからそのつもりでいてね」

 カナンとクロノさんが再び崩れ落ちました。

「なにやってるのさ。そんなところで寝ると風邪引くよー? おーい。ダメだこりゃ。ヨヨさん、悪いけどこれ、部屋の中に放り込んどいて。適当に転がしといてくれたらいいから」

「わかりました」




 瞬く間に一週間ほどの時間が経ちました。

 あのあと、すぐにこの地がレンクウとの戦場になることが国民に知らされて、パニックに陥りました。が、ゴライアス氏を中心に国軍が出張って事態を収拾し金のあるもの王城や万魔殿を訪れて瞬間移動呪文を頼り国外に脱出。ないものは解囲が確認された街道から脱出していきました。そして郷愁や愛国心ある人間、新天地を目指す力のない人間、そして軍によって金で雇われた人間が残りました。

「結局のところ、敵のほうが一枚上手だったってことだね」

 スーライルがいつものヘラヘラした調子で言い、ゴライアス氏が無言で地図を睨みつけています。その上には無数の駒が載せられていました。国軍の駒が三つしかないのに対してレンクウの軍の駒が十を超えています。ふむ。他にも大小さまざまな駒が置かれていますが、この国に寄せられているのはこの十三の駒だけ。

「どうしたんですか」

 早朝でいま起きてきたばかりの私はカナンの顔を覗きこみました。眉間に皺がよっています。

 む。暗い。もっと明るくいきましょう! レンクウの大軍が襲ってくるんですよ。こんなにテンションの上がること他にないじゃありませんか。リアクションがなかったので、ほっぺに触れます。鬱陶しそうにカナンは私の手を払い、「援軍がこないそうだ」と言いました。

「というと?」

「レンクウが主要各国に手勢を送り込んで攻めたてている。大した数ではないそうだが、自国が攻められている最中だ。こちらに向けて軍勢を送る余裕はないらしい」

「はぁ」

 疲れた表情のクロノさんとゴライアス氏。

「悪い報せばかりでもないのだろう? 例えば街道が開いたことで武具や防具については各国の支援を受けられる。食料の心配もいらない」

「装備は横流しの粗悪品だ。使用に耐えるかどうか」

「それから光の国の神殿騎士団は動いたそうだな?」

「本隊ではないそうだ。それに肝心のフリューが参加していない」

「では結局のところ二週間も期間が開いた割には?」

「ああ、我々はほとんど独力だけで総勢五万とも十万とも言われているレンクウの軍勢を打ち倒さなければならない。むしろ斥候の報告によれば、この一週間でレンクウの元に続々と魔物達が集いつつあるそうだ。時を得て勢いづいたのはあちらかもしれん」

 スーライルと私以外から溜め息が漏れました。

 そんなに悪いことですかねえ。

「スーライル、貴様のところの会員をありったけ呼びつけろ。この戦闘、魔法使いは必須だ」

「やってもいいけど、ボクらは互助組織であって軍隊じゃない。ボクは彼らに来てくれるようにお願いするだけだし、お願いには金がかかるよ?」

「構わん。国から出す」

「どこにそんなお金あるのさ?」

「アレキサンドラの裏金を押さえた」

 スーライルがにやりとしました。

「いいね。染まってきたね、将軍」

「普通に犯罪ですよねそれ……」

 と、クロノさん。

「それを調査するのは軍。裁くのも軍だ」

 ゴライアス氏が苦い顔で言います。

 事情はよくわかりませんが、汚職ってとても恐いですね。




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