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千獣王 10


 レンクウの手勢が牢を開き、魔物達を助け出していく。

 その中でレンクウは一体の魔物の遺体の元へ向かった。虎頭の中級魔族だ。極大火炎呪文を受けて焼け焦げて伏しているそれの背中を踏みつける。

「起きろ、リクイド」

「ぐ、が、は」

 肺から空気を押し出されてくぐもった息を吐く。

「死ぬ前に答えろ。なぜ独断で荷を盗りに行った? 返答次第で俺は貴様の一族を皆殺しにせねばならない」

「あ、ぐぅぅ」

「貴様はヴィストの手勢だな。いつから俺を裏切っていた?」

 レンクウは背を踏む足を緩めた。

 虎頭の獣人が息を吸い、幾度か咽る。そして「一族は、やつに質に取られ、た」と言った。

「それが俺を裏切った理由か」

リクイドは一度顎を引くと、そのまま呼吸を止めた。ぴくりとも動かなかった。死んだ。

 天空城の件よりも前に根回しが進んでいたらしい。相当数のヴィスト派の魔物が軍勢の中に紛れ込んでいる可能性がある。

「ヴィストめ。殺しておくべきだったか」

「レンクウ様、それはいかにいたしますか」

「他の者同様に弔ってやれ。内輪で揉めている余裕は俺達にはない。葬儀は戦のあとに行う」

 この戦いが終われば虎徒族の里をヴィストの手から解きはなたなければならない。

 雑用が増えたことをレンクウは煩わしく思った。



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