表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/116

084 お出かけ② 精霊の湖

ここまで集まったのだから、と

アリシアとアーチャ、マーシャルさんも誘う運びとなった。


アリシアとアーチャは勉強の最中。


「アリシア様、私もお外でかけたいですー!!」


「せめてテーブルマナーぐらい判って無い以上、外に出す事はできぬっ!!」


「大丈夫です!!フォークやナイフは外側から使っていって・・・」


「このボウルの水は判るな?」


「もちろん、飲み水ですよね?」


「違うわ、アホ娘がー!!」


というやり取りが有ったり無かったり・・・



マーシャルさんは仕事中と言われた。

総隊長が門番で良いのだろうか・・・?

とも思ったが、この街では人の出入りこそ重要で、地位の高いものほど門を警備する仕事に就くそうだ。


偉い人=領主の側でふんぞり返っているってイメージだったが、この領ではまったく違う。


本当に予想外のことが多い街だ。


と言う事もあり、結局、俺とスロウス公、リアーサとルーアという奇妙な組み合わせで出かける事になった。


「お父さん、買い食いは銀貨1枚までですからね?

 それと、知らない幼女についていってもいけませんからね?」


「はいはい、判ってるよルーア。」


色々と突っ込みどころがあるが、敢えて無視しよう・・・


「ヒロ様、今日は申し訳ありません・・・」


リアーサは申し訳なさそうに隣を歩いている。


「大丈夫、リアーサが気にする必要は無いよ。」


こっちはこっちで、恐縮しているリアーサの頭を撫でてあげる。

ちょうど良い位置に頭があって撫でやすいんだよな。


「えっ・・・あのっ・・・うぅ・・・」


黒姫モードじゃないリアーサは、こういったことですぐに顔を赤くしてうつむいてしまう。

そこがまた可愛くて、ついつい撫で続けてしまう。


「あ~、ヒロ君ばかりずるいっ!!

 僕も黒姫様を撫でるっ!!」


「公様はなんか嫌です。」


「ぐっ・・・ならばルーアで我慢を・・・」


「お父さん、私も嫌。」


幼女2人に拒否られ、うなだれるスロウス公。

これで領主なんだから、リアーサがどれだけ苦労しているかが判るものだ・・・



「ところでヒロ様、何所に行きたいんですか?」


リアーサが聞いてくるが、返答の仕様が無い。

単にエルフの街並みを見たかっただけなのだから。


「ん~、そうだね。

 この街の良い所とか見てみたいかな?」


「なら、"ドドラの店"でしょうか?。

 あそこのオムレツは絶品なんですよ?」


「この世界樹の麓に湧く"精霊の泉"はどうかな?凄く綺麗な所なんだよ?」


「ヒロ君、もっと早く言ってくれれば良いのに!!

 幼児教育施設かい?運動訓練場かい?」


食べ物と美しい景色か、凄く良さそうだ。


「じゃ、リアーサとルーアのお勧めで行こうか。」


「何故だい!?

 どちらも素晴らしい施設だと言うのに!!」


敢えて無視したが、駄目だったか・・・


「名前だけでなんとなく判りましたから・・・」


「さすが同好の士。

 名称だけで判るとは素晴らしい!!」


「いや・・・元の世界にも似たようなものがありましたので・・・」


「さぁ、ヒロ君!!

 今から向かおうではないか!!」


ラリーが俺の手をとっていこうとするが、ルーアがその手をチョップで叩き落す。


「はいはい・・・、お父さん・・・

 まずは一番近い"精霊の泉"に行くよ~。」


ラリーはルーアに襟首を掴まれると、ずるずると引っ張って連れて行かれた。


ルーア、意外と力持ち?

・・・じゃなかった。


「ルーア、置いてかないでくれ。

 リアーサが困っているぞ。」


急いで、リアーサを連れてルーアの後についていった。




「すごい・・・」


口から出るのはそんな言葉と、ため息だけだった。

この光景は本当に絶景だ。。


巨大な木の根から、アメジストのように澄んだ紫色の水が湧き出した湖。

その湖に浮かぶタイサンボクのような大きく真っ白な花。

その美しさが織り成すコントラストに、語彙の少ない俺に言えるのは、ただその一言だけだった。


「ここが"精霊の泉"と言われる場所で、スロウス領・・・いえ、シン国においても最高に美しい場所のひとつだと思います。」


リアーサが珍しく自慢げに話す。


「久しぶりに来たけど・・・やはり綺麗だねぇ。」


ラリーは遠い目をしながら泉を見つめている。


「うん、お父さんにとっても思い出の場だもんね。」


へぇ?

でも、あまり詮索しすぎるのも良くないから、聞かないで置こう。


「ルーアも懐かしいだろう?

 "レティ"との数少ない思い出の場所だからね。」


「うん・・・」


2人はそれだけ言うと、遠い目をしてこの湖を眺めている。


「(ぼそ)レティ様というのは、スロウス公様の亡くなった奥様なのです。」


「(ぼそ)えっ!?

 スロウス公って幼女以外にも興味持てたんだ?」


「(ぼそ)驚くポイントが違っているような・・・

 まぁ、スロウス公様の幼女好きは、ルーア様を溺愛しすぎで後天的に備わった物かと・・・」


「(ぼそ)なるほど・・・納得したよ。」


なんだかんだでルーアと話をしているスロウス公は、かなり楽しそうだ。

娘に色々言われても、相当愛しているんだろうな。


「レティ、見てくれているかい?

 この少年がルーアの旦那となる、ヒロ君だ。

 見守ってくれよ。」


「お父さん、諦めてなかったの!?」


「ラリー、何言ってるの!?」


本当にこの人はもう・・・


だが、その目は本当に穏やかで深い寂しさを湛えていた。

一体・・・彼はどの顔が本当の顔なんだろう?


その隣で座っているルーアも「しょうがないなぁ」といいつつ、とても穏やかな笑みを湛えている。

家族・・・か。


俺にも家族はいたし・・・思いでも残っている。


多分、2人の今の気持ちは判る・・・気がする。


しばらくはそっと湖を眺めていよう。



そんな事を考え、そのまま暫くの間、4人で精霊の湖を眺め続けた。





「さて、次に行こうか。」


「はい、次は"ドドラの店"に向かいましょう。

 少々お腹お空いてきましたしね。」


リアーサが恥ずかしさにもじもじしながら、声をかけてくる。


「おっとそうだった。ゴメンね?

 行こうかルーア。」


「あっ、はいお父さん。」


「僕もお腹が空いてきた、行こうか。」


俺たちは精霊の泉に背を向け、歩き出す。


「(ぼそ)また来るな。レティ。」


「ん?お父さん何か言った?」


「いや、何も?」


こっそりと奥さんの名前を言ったのが聞こえた。

スロウス公は奥さんを本当に愛していたんだろうな・・・俺は・・・そこまで人を愛する事が出来るのだろうか・・・


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ