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083 お出かけ①

「ヒロ様、おはようございます。」


すがすがしい目覚めで起き、寝室から出るとルーアがすでに朝食の準備をしていてくれた。


「おはよう。美味しそうな匂いだね。」


今朝はパンとサラダのようだ。

焼きたての良い匂いで、お腹が減っていたことに気付く。


「ルーアはご飯食べたのかい?」


昨日と同じようにルーアを誘って食べようとすると、


「はい。朝ごはんは既に頂きました。」


とやんわり断られた・・・残念。


ゆっくりと寝ていて、起きるのが遅かったかな?

この辺は、風習の違いも有るだろう。

この世界では日の入りと共に寝て、日の出と共に起きル野が主流だ。

日本では、夜遅くまで起き、朝も遅かった。

指摘された事は無いけど、確認だけしておこうかな?


「起きるの遅くなったかな。」


「いえ、普通どおりかと。

 スロウス公はいつも昼過ぎまでは寝ていますので、ヒロ様はかなり早い方かと思いますよ。」


ルーアは公私を分ける性格のようで、侍女を行っている時は、"スロウス公"。

侍女から離れている時は"お父さん"と呼んでいる。

うん、スロウス公は予想通りな人だな・・・


「そっか、ありがとう。

 早速頂くよ。」


用意して貰った朝ごはんをいただきつつ、今日の予定について確認していく。

・・・と言っても、リアーサとの面会ぐらいしか予定は無いが。


「ご馳走様でした。」


「はい、5時間ほど時間がありますから、お出かけの際は一言くださいね。

 ご案内いたしますので。」


「そこまでは悪いんじゃ?」


「いえ、ヒロ様在宅中は全てのお世話をおおせつかってますから。」


「じゃ、早速甘えようかな?」


何が買いたいという訳じゃないが、せっかくきたのだから街中を見て回りたかった。

だって・・・エルフの町ですよ?

エルフやドワーフはファンタジーの中では最も身近な存在。

そのエルフがごく普通に過ごしているんだから、気になって仕方が無い。


「行きたい所があるわけじゃないんだけど、街の様子って見て回っても良いかな?

 リアーサが空くまでここで待つのもだし。」


「良いですね。

 私も久しぶりに街に出かけたいですし、是非ともお供しますっ!!」


「じゃ、それで決まりかな?」


「はい!!

 あぁ、あと外ではリアーサちゃんの事は名前じゃなく、黒姫と呼んでください。」


「そうなんだ?」


「はい。

 変な騒ぎにならないとも限りませんから。」


変な騒ぎか・・・

まぁ、面倒毎は俺も御免だしな・・・


「うん、判った。」


「それでは準備してきますので、少々お暇いたしますね。」


「行ってらっしゃい。」


返事を返すと、ルーアは優雅に会釈をし部屋から出て行った。





コンコンコン


ルーアの準備が出来たかな?


「はい、どうぞ。」


「やぁ、待たせたね。

 それじゃ行こうか。」


「・・・・・・」


なぜか目の前にいたのはスロウス公だった・・・


「スロウス公・・・何故ここに?」


「やだなぁ、君と僕の仲じゃないか?

 ラリーと呼んでくれ♪」


えー・・・っと?


「ラリー様、何故ここに?」


「違うね~、ヒロ様の方が目上じゃないか。

 ラリー、もう一度言ってみようか。

 ほら、ラリー。」


何故こんなにフレンドリーなんだ?


「えぇと・・・ラリー、何故ここに?」


「やだなぁ、ヒロ様が街を見たいと言ってたじゃないか?

 案内してあげようかと思ってね。」


街を見たいって、ついさっき言ったばかりじゃ・・・


「ルーアと約束をしたので・・・すみません。」


「大丈夫、ルーアも了承済みだよ。

 来れなくなったみたいで、「ヒロ様のことをお願いします」って頼まれたんだよ。」


「えっ、そうなんですか?」


「そうそう。だからすぐにでも行こうか。

 さぁ行こう、やれ行こう、すぐ行こう。」


本当にこの人はラスト公にそっくりだな。

あっ、言っちゃった。


ルーアも楽しみにしてたのに、どうしたんだろう?

まぁ、実の親なら頼みやすかったのか?


「判りました。でも忙しく無いんですか?」


「大丈夫、仕事は黒姫様が全部やってくれるから。」


10歳ちょっとの子に、仕事を押し付けるとかこの人は・・・

人のことは言えないが、さすがにリアーサの為にも言っておかないと。


「ラリー、さすがに小さい子に全てを押し付けるのは、大人としてどうかと思いますよ?」


「僕もそう思うんだけどね、僕が仕事をすると余計な仕事が増えると言われてねぇ。」


・・・リアーサ・・・ついでに甘いものでも買って行ってあげるか。


「ほら、ヒロ様、早く行こうじゃないか。」


「あぁ、ラリーも俺のことは様付けじゃなく、ヒロと呼んでください。」


「おぉ、そう言ってくれるとは・・・

 ありがたくヒロと呼ばせてもらうよ。」


「じゃ、改めて行きましょうか。」


「ああ、行こう・・・・・・・・・・か?」


それまでうきうき気分で外に出かけようとしていたラリーがその場で凍りついた。



止まったラリーの視線の先には・・・



さらさらの金髪をツインテールにまとめ、いつものメイド服ではなく、黄色いワンピースに身を包んだ幼・・・少女。

リアーサがそこに立っていた。


「や・・・やぁ、ルーア。」


「お父さん、何、やってるの?」


凍りついたように呟くスロウス公と押し殺した怒りが伝わってくるルーア。


うん、全て理解した。


「えぇと、これは・・・その・・・」


「リアーサちゃん、半泣き入ってたよ?」


「えっと・・・僕が仕事を手伝うと更に酷い事になると・・・」


「判子を押すだけなのに?」


「もうそこまで終ったのかい!?

 さすが黒姫様・・・仕事が速いねぇ。」


「早く終れば、お外に連れてってくれるって約束したから頑張ったのに。って言ってたよ?」


「うぅ・・・」


「約束は守らないとね?」


「だが・・・しかし・・・」


「お父さん?」


「働いたら・・・ま「その分だけ見返りが来るんだよ?」けだと・・・」


さすがに助け舟ぐらい出した方が良いよな。


「スロウス公。

 あまり時間が掛からないなら待てますよ?」


「ほんとかいっ!!

 判子だけなら20分も有れば終わるはずだっ!!

 すぐに行って来るよ!!」


飛んで行ってしまった・・・


「ルーア・・・そういうことだから・・・」


「はい、父が申し訳ありません。」


「いやいや、っていうか黒姫様の5時間ぐらいの予定って?」


もし、仕事で5時間ほどかかるという見積もりだったのなら?


「そう言えば・・・まぁ、予定を組んでいますので、それまでは自由時間と考えて宜しいんじゃないでしょうか?」


「まぁ・・・確かに。」


仕事漬けにしても可愛そうだろう。

遊ぶぞ~って気分になっているときに、仕事の追加お願いしますって言うのはかなりがっくりくる。


「お茶・・・お入れしますね?」


「うん、ありがとう。

 少し時間が空いたし、お話でもしようか。」


「はい。」



そのまま、他愛も無い話で時間を潰していると、ドアをノックする音が響いた。


コンコンコン


ラリーと黒姫様が来たかな?


「お入れしますね。」


「うん、お願い。」


ルーアがドアを開けると、予想通りラリーとリアーサが入ってきた。


「やぁ、待たせたね。

 それじゃ行こうか。」


「ええと・・・ヒロ様、宜しいのですか?」


ラリーは乗り気だが、リアーサはいいのかなぁ?という顔だ。


「予定は・・ええと、4時間半後だしいいんじゃない?」


俺が快く了承すると、リアーサは破顔した。


「ありがとうございます♪」


「じゃぁ、行こうか。」


「「「はい。」」」


何故か号令はラリーが出していたが・・・まぁ、遊びは主導権取りたそうだもんな。

最近、街へつくと必ずウィンドーショッピングに行ってる様な・・・

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