067 戦闘音
地図を頼りに4時間ほど歩いただろうか。
地図を頼りに4時間ほど歩いただろうか。
その間にアリシアへ色々と質問を行っていた。
Q、ドラゴさんと何をしようとしていたの?
A、大を救う為に小の犠牲を払った。
Q、何故スキルを無節操にとらないといけないのか。
A、それだけ相手が強大だから、少しでも可能性を上げる必要がある。
Q、その相手って何?
A、そのうち判るじゃろう。今は目の前を見よ。
Q、予見って何を見たの?
A、そのうち判る。
Q、イレギュラーって何?
A、そのうち判る。
Q、奴ってその相手って事?天使に関係あるの?
A、そのうち(略)。
Q、エルに言った『ミカエル』って、4大天使のあのミカエル?
A、内緒。
Q、答える気ある?
A、内容によるな。
Q、スリーサイズ教えて。
A、上から88・60・84じゃ。
Q、・・・・・・
A、答えたのに不満そうじゃの?
のような感じで、大体は教えて貰えなかった・・・
現実を見据え、先のことより目の前にある案件を片付けろと言う事らしい。
周りは夜の帳が降り、歩くのも大変になってくる。
「今日はこの辺で一旦帰るとするか?」
魔獣にも遭遇せず油断しきっていた。
「待て!!周りの雰囲気がおかしい!!」
アリシアから警告を受ける。
緩んでいた精神を引き締め、周囲に警戒する。
ガサッ・・・ガササッ・・ぴょん
茂みの奥からウサギが飛び出してくる。
「・・・アリシア?」
「・・・ふむ、気のせいじゃったか?
まぁ、夕飯にはなるじゃろう、狩って置いたらどうだ?」
シュンッ・・・ブシュッ
短剣を投擲し、ウサギを仕留める。
「南無南無、きちんと食べて供養してやるからな。」
等というほほえましい?事があったからだろうか、警戒が残っていたため遠くから聞こえる声に耳を傾ける事ができた。
・・・・・・・・・ガキン・・・キン・・・ドンッ・・・
遠くから剣戟、それと魔法の音がする。
忍び足、かつ早足で音の方へ向かう。
すると、10数人の男達と統一の皮鎧に身を包んだ男達5名が戦っている。
傍らには馬車同士が衝突しており、片方の馬車はもう片方の馬車と樹にはさまれて動けなくなっている。
動けない馬車から美女が飛び出し、俺のほうに向かって逃げてくる。
気づかれては居ないはずだが?
(どうしたらいいと思う?)
(そりゃ、助けるべきでないか?)
念話でアリシアへ相談する。
(でもどっちがどっちを襲っているか判らないんだが・・・)
(逃げてくる女に聞いてみれば良かろう。
あれはドワーフの女だ、皮鎧の方もドワーフじゃな。
あの女の護衛と考える事もできるが・・・先ほども気配を間違えたからのぅ。)
さっきの件で少し拗ねているようだ。
(それもそうだな。)
隠れていた茂みから上半身を出すと、逃げてくる女性に向かって手を振る。
(おい、こっちを見るなり逃げて言ったぞ!?)
(そりゃ、人間じゃらかのう。)
え~っと、どうしよう?
そんな事を考えている間にも戦闘は続いている。
(このまま手をこまねいていても死人が出るだけだし、スリープで全員眠らせるってのはいけるかな?)
(スリープ?聞いた事もない魔法だが、お主が思ったように動けば良い。)
戦闘の範囲に睡眠効果のある霧を発生させるイメージを思い描く。
頭の中に呪文が湧き上がってくる。
「いけっ、『コンフュミスト』」
思い描いたように、戦場を中心に霧が立ち込める。
霧が立ち込めると同時に、その場に立っていた兵士達がばたりと崩れ落ちる。
霧が晴れると、立っている者は1人もいなかった。
「こんなものかな?」
「面白い事をするのぅ。」
「以前、エルから魔法はイメージするものって言われてたからな。
前の世界でゲームや小説に良く使われていた魔法さ。」
「ふむ、この中に入っていた本の一部じゃな。」
「中に入っている物以外にも一杯あるけど、大体そんな感じかな。」
「まだまだ読み足りない情報が多そうじゃな。
楽しみじゃ。」
・・・プライバシーって言葉・・・無いよなぁ?
「そういえば、大体どのぐらい昏睡するのだ?」
「えっと・・・どのぐらいだろう?」
「判らぬのならば、手足だけでも縛っておくが良い。」
忠告に従い、馬車の荷物を失敬して18人の男性を縛り上げた。
馬車の中にはドワーフの女性が3人同じように眠っていたので、申し訳ないがこちらも縛る。
そのまま放置していく訳にも行かないので、まずは女性を1人起こして状況を聞こう。
軽く揺すっても起きないので、強く揺すってみる。
それでも起きない・・・結構魔法が強くかかってしまったかな?
「起きぬのう?」
「思ったより、魔法の威力強かったのかな?」
「おぬしの持っていた本では、こういうときはキスで目を覚ますのではないのか?」
アリシアが意地悪そうに言ってくる。
「いやいや、それ創作だから。
本当にそんなんで目が覚めるわけないから?」
「そうか、残念じゃのう・・・」
「・・・・ん・・・うぅ・・・」
アリシアと良い合いをしていると、先ほど揺すっていた女性が目を覚ます。
「ひっ・・・人間っ・・・まさか・・・追手ですかっ!?
やはり噂は本当だったのですねっ。」
目覚めた女性は後ずさろうとするが、手も足も縛られている為に何も出来ない。
「噂じゃと?」
「はっ、箱の中に人がっ・・・そんな種族居ましたかしらっ!?」
「我の姿をよく見よ!!
貴様もシン国の者なら見覚えぐらいあるのではないか?」
「えっ・・・あっ・・・あら?魔王様?」
「もはや前魔王じゃがな・・・
一体何があった?」
「あら・・・でも魔王様は亡くなられたのでは?
・・・ゆっ・・・幽霊っ!?
道連れを探しにいらっしゃったのですかっ!?
ならば、外の男性をお連れくださいっ!!
私はまだ死にたくないですー。」
そんなやりとりを20分ほどはしただろうか。
「混乱していたとは言え、助けていただいた礼もせず申し訳ございませんでした。」
「気にする事は無い。
それでこの状況について説明は出来るか?」
アリシアは魂のみ現世にとどまり、俺の魔法でこの箱の中限定で存在する事が出来ると信じて貰った。
だが、俺だと怯えられるので、アリシアが話を聞く事になった。
「ええ、私どもはあるお方をお守りし、スロウス領首都を目指していたのです。
そこにあの男達が現れ、いきなり襲い掛かってきたのです!!」
ふむ、この女性の言い分からすると、ドワーフ達が狙われたと言う事か?
「そうか・・・ところで噂と言うのは何なのだ?」
「噂・・・ですか?」
「うむ、「あの噂は本当だったのか。」と言っていたではないか。」
女性は何かを考えると、
「私も混乱していたから口に出てしまった他愛の無い噂なのですが・・・」
凄く言いづらそうだ。
「グリトニー公が人族に降り、人が変わったように軍備を増強しているという噂を聞いたのです。」
「人が変わった・・・じゃと?」
「ええ、温厚で人を傷つけるのが何よりも嫌いなお方だったのですが、事あるごとに部下を叱責し、気に食わない者は処分するように・・・」
「どう言う事じゃ・・・?」
グリトニー公、おっちゃんのことだよな。
豪快でおおらかな人だったのは判る。
人に降ったって言うのは俺の下についたってことだろうか。
でも人が変わるって言うのはどういう事だろう?
「ええと・・・私も噂でしか知らないのでなんとも答えようが・・・」
「そうか、すまないな。」
「ところで、1人の少女が居たと思うのですが、見なかったでしょうか?」
「それならあっちの方向へ走って行ったぞ?」
アリシアが先ほどドワーフの少女が走り去った方向を指差す。
「お願いしますっ!!
あのお方を探してきていただけないでしょうか。」
女性は土下座をするとアリシアにお願いする。
・・・どうでもいいけどスマホに土下座する女性って・・・
「あ・・・あぁ、良いが訳ありか?」
「はい・・・」
「理由は?」
「申し訳ございません・・・」
アリシアは目を閉じて考えた後、
「ヒロ、我としては助けても良いと思うが、どうするかは任せる。」
投げてきたっ!?
2人がじっと見つめてくる・・・
そんなこと言われてもな・・・
はぁ・・・断る事なんて出来ないじゃないか・・・
「・・・判りました。
時間が惜しいので、すぐに向かいます。」
詳しい話はアリシアに任せ、俺は1人で少女の走って行った方へ向かう。
お読み頂きありがとうございました。




