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はぐれ魔王の恋愛事情 003 レティーア・ルナ・グリードの場合

初めて会ったのはあの日のことか・・・




ラース公より

「魔王を継ぐ者を召還した。紹介するので全公爵位を持つ者は集まるように。」

と収集をかけられた日。

直前にプライド公から「魔王を継ぐ者がどんな者でも認めてはならぬ。」と言う伝達があった。


まったくこの2人は犬猿の仲じゃ・・・


じゃが、わらわはプライド公派。

大人しく言われた通りにするか・・・


ラース公に連れられ、入ってきたのは一人の人間だった。

肉体は貧弱、魔力も感じられない。

なんじゃ、ただの餌か・・・


わらわはすぐに興味を失い、プライド公の指示通り会議からはさくっと抜け出した。



記憶にも残らない、そんな出会いだったのをかすかに覚えておる。





次に会ったのは、ミーティアの襲撃時。


今は仲間となり、気安い仲となったが、当時は本気で殺そうとしていた。

様々な情報が交錯していたが、魔王様の暗殺を行ったのは勇者ミーティアと言われておったからの。

アリシア様には可愛がって頂いていた。

仇討ちぐらい考えても良いじゃろう?


何度も繰り返し仇討ちを行っておったが、その中ヒロと2度目の出会いがあった。

あれがヒロを始めて個人として認識した日じゃった。


我の片腕にして諜報のエキスパート、シノの情報から勇者ミーティアが泊まる宿屋を特定し、【猫の額】亭に夜襲を仕掛けた時じゃ。

シノから「昼間襲撃に失敗したばかりです。ご自重くださいませ。」とか言われ、中々家を出ることができなかった。

随分遅い時間になったのじゃな・・・

夜襲とは言え、正々堂々と正面から撃破せぬば、仇討ちとは言えぬ。


中々起きないし、起きるのを待っているのもつらくなってきた頃に思った。

(一緒に寝ておけば、ミーティアが起きた時に気づくじゃろう。)と・・・

布団の中におったのがヒロと知らずに、一緒に寝てしもうた。


あの朝、わらわはヒロに熱い抱擁をされた・・・

あの時わらわがそのまま身を任せておれば・・・・


いやいや、その時はまだヒロを歯牙にもかけておらぬかったのじゃ、今更考えても詮無き事。


じゃが、あそこにヒロがおった事はかなり幸運じゃった。


ヒロから聞いた話では、ミーティアも被害者の1人と言うではないか。

そんな彼女をわらわは仇討ちとして襲撃しておったとは・・・

我が身ながら恥ずかしい限りじゃ・・・

あの時、宿屋におったのがヒロでなく、ミーティアじゃったら殺しておったかも知れぬ・・・


ただ少々取り乱して、部屋を凄い事にしてしまったがな・・・


まぁ、今となってはいい思い出じゃ。

今はもっと深い仲になっておるからの・・・(ぽっ)


あの頃は逆上しておったからの、それから3度ほど襲撃を行ったか。

その度に宿屋の主人からは夫婦と認識されておった。


今考えるとかなり惜しかった・・・

あの時、周囲に徹底的に吹聴しておれば良かったと後悔が絶えん!!

初めて男性との仲を疑われ、もじもじしておったのが勿体無かったぐらいじゃ!!




本気の対決であり、2人の初夜となったあの日・・・


夕職を取っておると、ヒロが同じ店へ入って来た。

あの時は周りの「夫婦喧嘩の旦那さんが追ってきたのよ。」と言う言葉が聞こえ、つい皿を投げる所じゃった。

冷静に止めたシノに改めて感謝じゃ。


その後、「逃げられぬように。」とシノが手をつなぐ事を提案してきた。

提案にしたがって手をつないで決闘の場所へ歩いていったのだが、何故か顔がほてってのぼせそうになってしもうた。

今考えると、あの頃からヒロの事を意識しておったのかもしれぬ。


そして決闘。

あの時のヒロは格好良かったのう。

満月の魔力を受け、ほぼ無敵となった我に果敢にも立ち向かってきた。


まさか『吸血鬼化』を使うまで追い詰められるとは思ってなかったがの。

『吸血鬼化』を使うと、吸血衝動もじゃが、使用する倍の時間年を取らぬようになるのじゃ。

実年齢に対し、外観が幼いというのは切ないものがある。

なるべくなら使わずに居たいが、必要な時に使えないスキルなぞ意味は無いのじゃ。


あの時一度は勝利を確信した。

・・・ヒロの真の実力を見抜けずにのぅ。

追い詰めたと思い、油断したとき・・・ヒロに異変が起こったのじゃ。


まさかただの人間が『獣化』を行うとはの・・・

肉体は人のままじゃったが、瞳孔が肉食獣のそれとなり、頭髪が腰の辺りまで伸びた。

なんというか・・・セクシーな雰囲気を身に纏ったのじゃ。

わらわよりも強く、わらわよりも速く、わらわの情熱を蕩けさせる・・・そんな存在と成った。


そこから先は・・・うむ、人に話すようなモノではないが、最高のひと時じゃった・・・

まさか、聞いていたものとあそこまで違うとは・・・

途中で意識を失ってしまったのが残念と思えるぐらいじゃ。


まぁ・・・わらわの始めてを奪ったのじゃから・・・?

隷属化して可愛がってやろうと思っておったと言うのに・・・


ヒロの奴め!!吸血鬼化を自分の意思で解く事が出来るとは、どれだけ常識ハズレなのじゃ!!


『吸血鬼化』の譲渡を行った以上、わらわから婿とすべくアタックする羽目になったではないか!!

本来ならば、隷属され、

「マイマスター、どうぞ私と共に永遠を歩んでください。」

と言ってくるはずじゃったのに!!


うまくヒロの家に一部屋用意させたので、住みながら篭絡すれば良いじゃろうと思っておったが・・・

まさかこの外観が枷になろうとは!!


ヒロはしきりに「ロリは無理」というが、わらわも好きでこの姿な訳ではない!!

訓練や何年も続く人との戦いの中で『吸血鬼化』を使用せぬばならぬことが何度もあった。


そのため、わらわの姿は10歳前後という見た目・・・


まぁ良い・・・

ヒロにはなんだかんだで『吸血鬼化』を頻繁に使うようけしかけておる。

わらわが『吸血鬼化』を使わずに順当に年を取っていけば、すぐに釣り合うようになるじゃろう。



そして、わらわが本気で惚れたのはあの時じゃったな・・・

プライド領で今は亡きドラゴ公の救出に行ったときじゃ。


ヒロと二人で情報の収集に行き、ヒロが人間から情報を引き出しておった時・・・

後ろからの光により、わらわは一瞬にしてぼろぼろになった。


闇からの魔力供給が無ければ、わらわはあの時すでに滅ぼされておったかも知れぬ。

いや、ヒロがおらぬば間違いなく滅ぼされておったじゃろう。


自分も血まみれになりながら、わらわを守るヒロ・・・

明らかに致命傷と思われる傷も何箇所もあった。

それでも兵士全てを滅ぼし、我を家へと転送させた。


そして、わらわを助けた後、家に戻る気力さえ使い果たし、扉の前で崩れ落ちるヒロが居て・・・


わらわは絶叫し、家の扉を血が飛び散るのも構わず叩いた。


あの時、わらわが油断なぞしなければ・・・

もっと強ければ・・・力が欲しい・・・とも嘆いた。


それまでは、恋心と初めての相手という認識程度だったじゃろう。

傷つこうが、痛めつけられようがそれほど気にならなかった。

そのはずだったのに・・・

心を鋭利な刃物でめったざしにされ、抉り出される。

そんな気分を味わっていた・・・


叩き続けると直ぐにエルが様子を見に来た。

ミーティア・ネイル・アクアは飛竜と共に居たが、連絡用にエルは家に戻っていたらしい。


わらわを見るとすぐに回復魔法をかけてくれたが、心の傷は癒えなかった。

治った手で尚も叩き続けるわらわを、エルは頬を張って目覚めさせてくれた。

「ここで喚くより直ぐに探しに出ますよ!!ヒロならきっと生きているはずです!!」

エルは握り締めた拳から血を流しておった。

エルもヒロに恋心を抱いておる事は感じておった。

わらわと同じぐらい、心がえぐられておるのじゃろうか・・・

それを思うと、わらわは冷静になる事が出来た。



鍵は最後に扉を開けた場所以外には開かない。

なので、エルが開けた野営地の扉から飛び出すと、すぐにヒロのいた場所へ向かう。


だが、ヒロも兵士達の遺体もそこには既に無かった。


それから2日間、わらわは・・・エルやネイルも必死に探した。

もちろんミーティアやアクアも探してくれたが、わらわ達とは違う感じがした。

おそらくネイルもヒロのことを・・・


途中、罠を張っていた兵士を捕まえ、ヒロとドラゴ公の拘置場所を聞けたのは僥倖じゃった。


すぐに砦へ攻め込むと、中に居たモノは全て皆殺しにした。


・・・まぁ、ほとんど鬼と化したアクアが行ったものじゃが・・・

ヒロを見つけたときはもう、涙が次から次へと溢れ出してしまった。


照れ隠しにヒロに抱きついて涙を見られないようにしたのは内緒じゃ。

安心したら意識を失ってしまったので、見られたかもしれないが・・・


それからはヒロに少しでもわらわを見てもらうために色々と手を尽くした。

ついには

「吸血鬼化後のルナはかなりの美人だけど、俺は今のルナが成長しても俺のことを思っていてくれれば、その時に改めて返事させてもらいたい。」」

とまで言わせることが出来た。


吸血鬼化は魔力が最高の形で使えるよう、肉体年齢を魔力最盛期に適した形へと作り変える。

逆に言えば、わらわの場合、大人になるああなると言う事じゃ。

ならば、大人になるまで待てば必ず結婚したいと言うはずじゃ!!


・・・と思っていたのじゃが、計算が狂った。


嫁が居るとは聞いておらぬかったぞ!!

しかも魂で結ばれておるじゃと!?

この世界でも魂を結びつける婚姻は稀じゃというのに。

そこまでの人物がおったとは!!

しかもその相手が前魔王アリシア様じゃったとは!!


・・・後で理由を聞いたら、ヒロは騙されるような形で制約したと言うのでまだ余地はある。

それどころか、アリシア様は肉体を失っておる。

肉体がある分、わらわが有利なのは間違いないのじゃ!!

アリシア様には大恩があるが、それとこれは別!!


アリシア様もその事を判っておるのか、ヒロに妾を薦めておる。


うむ、男性のたぎる本能はわらわのように瑞々しい肢体を持つものでなければ鎮められぬからの。


エルやネイルもヒロのことを慕っておるようじゃが、気づかせるつもりは無さそうじゃ。


ならば、わらわが独占する事も可能!!




という訳にも行かなかった・・・


ドラゴ公が【天使】という輩に殺害されたのじゃ。

あのドラゴ公がなすすべなく殺された相手。


きっとこの先、ヒロが戦うべき相手になるのは間違いない。

今のわらわでは力が足りぬ・・・ことが判ってしまった。


ヒロのお陰で『吸血鬼化』の力を取り戻す事はできたが、スキルだけでは足りぬ・・・

もっと力をつけぬば・・・


そう考えていた時、エルが覚醒?を果たした。

エルの中には【天使】の魂が眠っていたと言う。


最初は敵かと思い、警戒したがエルは敵ではないと言って来た。

じゃが、ヒロに対し慕っていると言い放つではないか!!

敵ではないかも知らないが、恋敵ライバルなのは間違いない。


じゃが・・・力も足りず、外観でも勝てず・・・

わらわでは勝てない相手ではないのか・・・?


案内された部屋で自問自答をしていると、アクス殿がヒロを手配書の犯人として捕らえたと言うではないか。

一体何が起こっておるのじゃ!?


慌てて部屋を出ると、目の前に居たエルに止められた。


「大丈夫、安心してください全てはヒロの為なのです。」


どういうことだ?と思ったが、直ぐに続けて言葉を告げられる。


「ルナ・・・私は貴方と対等に戦いたい。

 もちろん恋敵ライバルとして・・・

 その為には、私と一緒に修行を行う必要があります。

 その間、ヒロとは離れなくてはなりません。

 それでも・・・強くなりたいですか?」


この言葉から敵意は感じ取れない・・・

ならば・・・


今まではヒロと共に歩いて来る事ができた。

じゃが、ヒロは急成長を続けておる。

このままでは置いていかれるかもしれぬ・・・


エルとライバルとして共に磨きあった上でヒロの前に戻るのもありかもしれぬ。


わらわは今までの事を振り返ると、エルの手を取った。



力を得て、ヒロの心を我だけに向けさせるまでは、独占はお預けなのじゃっ!!

お読み頂きありがとうございます。

大変お待たせいたしました。

自分の体調は良くなったので、再度投稿を始めたいと思います。

ただ、暫くはストックが無いので、投稿が2日に1回ぐらいの頻度になりそうです。

楽しみにしていただいている方申し訳ありません。

お仕事休みの日にストックを一杯作れれば・・・とは思っております。

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