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065 真正直に生きよう

「出ろ。」


昨日とは違う兵士が檻に入ってきた。

しっかりと手錠をつけられ、中庭へ移動する。


途中何度かアリシアへ話しかけたが、応答は無い。

どうしたんだろう?


中庭にはアクスさん、エル、ミーティアと多数の兵士が立っていた。

ルナと師匠はどうしたんだ?


「大罪人ヒロよ、これから貴様を王都へと連行する。

 連行するのは飛竜兵隊長だ、いくら貴様でも空では身動き出来まい。

 大人しくラース公の元へ旅立つが良い。」


アクスさんの隣ではエルもミーティアも無表情だ・・・どうしたんだろう?


「それと、連れから事情は聞いた。

 全て貴様が脅し、無理やり従わせていたそうだな。」


なんですとっ!?


「グリード公は喜んで自領へと帰っていった。

 ネイル殿も、今回の結末をラスト公へ報告に戻った。

 この2人は私に保護を願って出た次第だ。

 私も鬼ではない。

 貴様だけを連行し、この2人は我が領で面倒を見てやろう。」


アクスさんはそう言うと、2人に下がるよう合図し、俺のほうを一瞥もせず、部屋から出て行った。


一体何が起こっているんだ・・・


皆まで人が変わってしまったようだ・・・


あまりの出来事に呆然としていたいが、そんな暇すらないようだ。


「連行いたします。

 飛竜にお乗りください。」


隊長と呼ばれた兵士は、昨日俺を牢へ連れて行った人だった。

俺は引かれるまま、飛竜にあつらえられた拘留用座席へと座った。




飛竜が飛び立ってから、何時間が経っただろうか。


「そろそろ休憩を取ります。

 降りるので、衝撃にお備えください。」


兵士に言われるがまま、衝撃に備える体勢をとった。


衝撃と言っても飛行機と違い、生き物の背中だ。

飛行機ほどの衝撃が加わってくる訳ではなかった。


俺はこれからどうなるのだろうか・・・





ガチャガチャガチャ


カシャンッ


手錠を外される。


「トイレに行く時間も必要でしょう。

 私もそこの茂みで少々用を足してまいります。

 くれぐれも、そこの袋を持って逃亡などされぬようお考えください。

 

 その袋にはお預かりした剣を初め、装備一式、食料品、この辺りの地図などが入っています。

 地図どおりに歩くと、スロウス領首都へたどり着いて、中の紹介状を見せれば秘密裏にスロウス公に面会できるはずです。


 私はお腹の具合が悪く、長い間戻れないかもしれませんが、くれぐれも逃亡し、その袋を持っていかないようお願いしますね。」


そう言って茂みの奥へ消えていってしまった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「遅いなぁ・・・」


なんか色々言っていたが、ここで逃げればアクスさんへ迷惑をかけてしまうだろう。

大人しく待って30分は経ったはずだが、兵士さんが戻ってこない・・・


ガサガサ・・・


戻ってきたかな?


「なっ、何で居るんですか!?」


戻ってきた兵士が俺を見るなり驚いた。


「いや、逃げるなって言われましたし。

 逃げて迷惑をかけたくないですから。」


兵士さんが頭を抱えてよろめく。


地面に膝をつくと


「言い方が悪かったのか?・・・いやでも・・・・・・普通は逃げるよな・・・・・・よし、次はああしよう・・・」


ぶつぶつと呟いている・・・逃げた方がよかったのかな?



「すみませんでした。では乗ってください。」


そう言って飛竜にまたがった。


「あ、手錠・・・」


「逃げないんでしょ?ならいいじゃないですか。」


何故か怒られてしまった・・・


飛竜にのって飛び立つと、


「そういえばヒロ様は『吸血鬼化』が使えるのですよね?」


「ええ、変装するときや戦闘の際は結構使いますね。」


「では熟練度も相当上がっておいでではないですか?」


「ええ、それなりにですけどね。」


今熟練度は7まで上がっていて、日光を初めとした弱点を克服する事ができている。

もう少し上がれば飛行を行う事ができるはずだ。


「それでは飛行を行う事もできますよね?」


「残念ですけど、まだ飛行までは熟練度上がってないんですよね。」


「・・・・・・・・そうですか。」


凄く残念そうに返事された。

期待にこたえることが出来なかったのだろうか。


とか。



「ヒロ様は身体能力かなり高いですよね?」


「ええ、これでも色々な方に鍛えて貰いましたから。」


「なら、このぐらいの高さなら落ちても大丈夫ですよね?」


大体10mぐらいか、このぐらいなら余裕で飛び降りる事も可能だけど、無理は良くない。


「う~ん、もうちょっと低ければ・・・」


5mぐらいなら絶対といえる高さだろうな。


「(ぼそ)もうちょっとか・・・だが、これ以上は私が良くとも飛竜が大怪我を・・・だが・・・」


とか。



「ちょっとまた具合が悪くなってきたので降りて構いませんか?」


「構いませんが・・・ここ湖の上ですよ?」


等、妙なやり取りが続く。


体調が優れないのだろうか?

そんな時に俺の連行任務に着くとは・・・兵士さんも大変だなぁ・・・


なるべく兵士さんの言うとおりに行動して負担を減らさなければな。


「ここなら降りてもいいでしょう!!

 トイレに行ってきますねっ!!


 それと、これ!!

 渡しておきますから、亡くさないでくださいね!!」


と言って荷物の中からスマホを取り出すと、俺に手渡し茂みへと消えていった。


この中にはアリシアが居て寂しさは紛らわせられるが、勝手に取り出して兵士さんは怒られないのだろうか?

等と考えていると、頭に懐かしい怒鳴り声が飛び込んでくる。


(こぉんの、馬鹿者がーーーーー!!!!!)


ぐおっ・・・頭に響く・・・


(アリシア、会話できるのは嬉しいけど、大声?すぎるって、頭痛いよ・・・)


(頭が痛いのはこっちじゃ、大馬鹿者がっ!!)


(だから何で俺が大馬鹿なんだって?)


(はぁ・・・・・・これは兵士の気苦労も慮られるのぅ・・・

 良いか?あの兵士は言外にこう言っているのだ『逃げろ』と。)


(いやいや、確かにそう聞こえるかもしれないけど、それじゃ迷惑かけちゃうだろ?)


(すでに迷惑だと思うぞ?)


(いやいや、俺がここで逃げたら帰ったときにアクスさんに何言われるか判らないだろ?)


(本気で言っておるのか?)


(もちろんそうだけど?)


(鈍い鈍いとは思っておったが・・・ホントお主、素直すぎじゃ・・・

 良いか?スロウス公への紹介状がはいっておるのじゃろ?

 飛竜部隊の隊長といえども、そんな権限はもっておらぬ。

 

 紹介状を書くのは同等の者か、その代理の者。

 つまりアクス公の指示じゃっ!!)


(・・・おぉ)


なるほど、それであんな事を言ってきたり、場合によっては振り落とすつもりで居たのか。


(良いか?もう少し言葉の裏に気をつけよ。

 でなくば、人の上になぞ立てぬぞ?)


(ん~、立たなければオーケー?)


(・・・・・・)


(・・・・・・)


沈黙が重い・・・


(・・・まぁよい、兵士にあまり迷惑をかけるでない。

 さっさと荷物を取って逃げるが良い。)


(ぐっ・・・判った。

 でも兵士さんもちゃんと言ってくれればいいのに・・・)


(あのな・・・どこにラースの手の者が折るかもしれぬのだ。

 ドラゴなら返り討ちに出来たかも知れぬが、アクス程度では己の身も守れまい。

 ならば、不用意な発言を避け、ラースの意向に従うように見せた方がよい。

 

 お主なら自力で考え付くと思っておったのじゃが・・・

 ちと買いかぶりすぎておったかのう・・・)


アリシアの不満を聞きながら、飛竜に取り付けられた荷物をほどく。


「ごめんな、そしてありがとう。」


飛竜の頭をなで、茂みの方へ向けて頭を下げた。


なるべく足跡が残らないよう気をつけながら兵士さんの消えた茂みとは反対方向へかけて行く。

お読み頂きありがとうございました

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