060 お約束はお約束だからこそ不滅です
武具店を出ると、次は服屋だ。
主にエルとミーティアが服屋!服屋!と騒いでいる。
2人とも街に行けば服屋に寄っているから、別に良いんじゃないかと思うし、ローブ系の防具を買ったから新しい服はいいと思うのだが・・・
そんな事を口走ると、
「防具と服は別物なんだよ?
そんな事も判らないの?」
と諭されたり、
「その・・・また・・・きつくなってしまいまして、新しいのを買いたいのです。」
と恥ずかしがられたり、
「あまりにも鈍感すぎるのもどうかと思うぞ?女心をもっと勉強するのじゃ!!」
と怒られたり、
「ああ、そう言う事か。
私も久しぶりに買い足すとするかな。
今のブラはもう擦り切れてしまってな。」
「「「ネイルさん!?」」」
と大いに驚いていたりする。
「ここがアクアさんの言っていたお店ですね。では入りましょうか。」
エルが先頭に立ち、店に入っていく。
中は先ほどの武具店に比べて約2倍はあるだろうか。
中は縦にも横にも広く、天井まで届く棚にぎっしりと服が詰まっていたり、ハンガーで飾られていたり。
相当数の衣服を用意しているのではないだろうか?
その服全てが女性物でなければ、もう少し居心地も悪くないのだが・・・
そんな中、俺は4人に連行され奥のスペースへ連れて行かれた。
そこには色とりどりのランジェリーが並んでいる。
脳裏にある光景が浮かぶ。
それは【ライブラ】での一幕、ミーティアとの初遭遇。
着替え中のエルを待っている間、何故か下着姿のミーティアが更衣室から出てきた。
その後変質者騒ぎとなり、店中から狙われる事になったんだよな・・・
まだそれほど経ってないはずなんだが、ずっと昔の事のように思い出される。
あれから色々あったからなぁ・・・
・・・あれ?
そういえば、始めてみる生の下着姿の女性だったんだよな?
だのに興奮の1つもしなかった・・・
ルナとのあの時はすっごい興奮してたよな俺?
いや、確かにスキルの副作用って一面はあったんだけど、めちゃくちゃ興奮してたのは覚えてる・・・
ドガシャーン
身体に稲妻が走るような衝撃があった。
まさか!!俺ってば本当はロリだったのかっ!?
まさか・・・いやしかし・・・俺はペタよりぼよ~んの方が好きだったし、買ってた本はそういうものばかりだった。
後ろ指を差される生活・・・幼女にはぁはぁする俺・・・イヤだっ!!イヤ過ぎる!!
はっ・・・しかしまてよ?
今俺の目の前で少し顔を赤くしながら、
「ヒロはどっちがいいと思いますか?」
と言ってブラを身体に合わせているエルを見て、かなりどきどきしてますよ?
エルも射程内だよね?
エルってばかなりのぼよ~んさんだよね?
うん!!俺は綺麗なお姉さんが好きなんだっ!!
「ヒロ?」
おっと・・・いけない。
せっかく聞いてくれているんだから、きちんと答えなければ。
こういうとき、女性はほとんどどっちって答えが決まっている。
今のエルの表情ならば・・・ちょっと冒険をしたいけど、その勇気が出ない。
だったらちょっと男の子に意見を聞いてみよう。きゃっ。
というはずだ。
今持っているのは水色でレースをあしらった可愛い感じだけど上品なフルカップブラ。
もう1つはシンプルだが赤を貴重とした中に刺繍が施されているハーフカップブラ。
いつものエルならば間違いなく、水色だろう。
だが、今日は深紅のドレスを購入した。
ならばそれに合わせて大人な感じの赤いブラが正解のはずだっ!!
後は言い方だな・・・よし!!
「普段使うんだったら水色の方がエルに凄く似合うんじゃないかな?」
ちょっとエルが困った表情になった・・・今だ!!
「でもさっきのローブに合わせるんなら、赤の方が似合うし、エルの魅力がグッと増すと思うんだ。
サイズも合わせて新調するなら、一枚ぐらい持っていても良いんじゃないかな?」
ぱぁっと喜びの表情になる。
よし、正解だ!!
「やはり、そうですよね!?ありがとうございます。ヒロに聞いて正解でした。
ちょっと試着してきますねっ♪」
とか言いつつ両方のブラを持って試着室に入っていった。
新調するといっていたし、もう片方も褒められたと言う事で買うつもりになったのかな?
あのブラを身につけたエル・・・ぐふふ・・・うん、イイネ!!
・・・ってちょっと待てよ?
確か以前もこんな感じでエルが更衣室に入っていったんだよな・・・
「ちょっと!!私は大人な下着って言ったのよ!?
これじゃ大人っぽいじゃなくて、えっちな下着じゃないのっ!!店員出てきなさいっ!!」
間違いない!!
まったくあの時と同じシチュエーションになっている。
しかも今回はえっちな下着と言っている以上、見てしまったら命に関わる・・・
これはヤバイ!!急いでここから離れるんだ!!
180度方向転換し、更に奥の棚に移動する。
ここまで移動しておけば間違いはないだろう。
ため息をついて辺りを見回すと、何所を隠すのか判らないような紐と、すっけすけのネグリジェを身体に合わせている師匠と目が合った。
「「・・・・・・」」
ヤバイ、何か言っておかないとっ!!
「えっと・・・似合うと思います・・・よ?」
「いやぁぁぁ、違うのっ!!これはちょっとした気の迷いなのっ!!
こんなもの付けた事なんてないんだからねっ!!」
と言って魔力を付与した手で思いっきり張り飛ばされた。
ぐほっ
特訓の成果が発揮されている。
無意識にでも魔力を纏わせるとは、天晴れなり。
とはいえ、このままだと頭から落ちてしまう。
手に何かが触れたので、反射的につかんだ。
ブチブチブチブチブチッ
どでんっ
何かを引きちぎったようだが、なんとか威力は殺せたようだ。
頭から落ちるのだけは防いだぞ。
「つ~・・・いてて・・・」
「・・・・・・」
衝撃から復活し、何とか状況を把握するために目を見開く。
すると目に入ってくるのは、白い天井とスケスケで所々にスリットの入っているランジェリーを身につけ、真っ赤な顔で俺を見ている女性―ミーティアが居た。
ミーティアはにこっっと笑うと、片足を上げる。
動くとスリットが開いて大事な部分が丸見えなのだが、指摘など出来ようはずがない・・・
(※実際には紙で出来たショーツをはいた上から試着するのでそう言う事はありません。)
さすがミーティア、動揺していても魔力を纏わせてはいけない場合というのを心得ている。
魔力をまとっていない足がものすごいスピードで落ちてくる。
・・・エル、アリシア、ルナ、ドラゴさん、アクアさん、すみません。俺・・・ここまでのようです。
視界一杯に広がる足の裏。
耳にとどろく恐ろしい衝撃音。
そして俺の意識はブラックアウトした。
お読み頂きありがとうございました。




