054 修行中―魔力付与(ドラゴ・アクア)
夜遅くまで訓練していたので、あまり眠れなかった・・・
今日の訓練は、朝からドラゴさんやアクアさんも合流するらしい。
2人が来るまでは昨日の続きとばかりに『魔力付与』の訓練を行っていた。
俺とミーティアは魔法剣での打ち稽古。
師匠とエルは髪に魔力・属性を付与し、投擲の訓練。
ルナは魔法に付与する為の訓練。
最初に魔法剣同士で打ち合ったらどうなるのか考えた。
なので、ミーティアに協力して貰い、魔法剣同士での打ち稽古を行った。
結果、魔法剣同士で打ち合うと、接触した部分だけ魔法が消えた。
魔法剣はかなり強力だ。
世界で一番硬い金剛鋼の扉を切り伏せられるぐらいだからな。
ならば、魔法剣を無力化する技術も必要ではないだろうか。
俺が考え付く程度の技術なら、敵が考え付いてもおかしくは無い。
そう思って始めたのだが、予想以上の成果と思える。
相手が魔法剣を使ってきた場合、こちらも魔力付与を全身に行っておけば無力化できると言う事が証明された。
この条件でいくと、師匠やエルの投擲術も無効化できるのではないだろうか?
そう思って、エルに光の串を投擲して貰った。
思ったとおり、体に付与した属性魔力に触れた時点で光の串はただの髪に戻った。
恐ろしい攻撃方法と思ったが、常に付与しておけば問題はなさそうだ。
だが、24時間気を張ることも難しい。
属性の串に関してはあまり公表しないほうが良いだろう。
「すまない、待たせたな。」
そんな事をしていると、ドラゴさんとアクアさんが合流したようだ。
「今日はよろしく頼むぞ。」
「私も身につけたいので、よろしく頼む。」
2人に揃って頭を下げられる。
「あ、いえこちらこそ忙しい所わざわざ来てもらって。」
どうにもこの2人に頭を下げられるとむずがゆいな・・・
「ヒロ、この2人はお主の家来になるのじゃからな、お主が恐縮してどうするのだ。」
アリシアにも怒られるし・・・
「アリシア様、それはこの騒動が終わってから次第となります。」
アクアさんはそっけなく答える。
「まぁまぁ、アクアもアリシア様にそのような態度をとるでない。
ですが、ヒロを殿呼ばわりするかはこれから次第です。
真に主と認められるようでしたら、家来呼ばわりも結構ですのでそれまでお待ちを。」
まぁ、俺も魔王とか本当は考えてないからなぁ。
だが、全てを終わらせなければどうするとは言えないだろう。
なら、出来る事から始めるだけだ。
「俺もまだ魔王とかしっかり考えているつもりではないです。
ですが、この事態を治める為にもドラゴさんとアクアさんの力も貸していただきたい。
その間はよろしくお願いします。」
「うむ、ワシもその間はいくらでも手を貸すつもりだ。」
ドラゴさんは俺に向かって「ニカッ」という感じに笑って答えてくれた。
「ふぅ、まったく主は野望が無くていかん。
まぁよい、対抗する為にもドラゴとアクアを強化し、お主もスキルを覚えさせて貰うのじゃ。」
3人で頷くと、まずはドラゴさんからスキルを確認することとなった。
『スキル』(ドラゴ)
○槍術 ○堅剛 ○剛力 ○直感 ○火属性 ○魔力付与 ○竜化
って、ドラゴさん魔力付与持ってるし。
ならミーティアと同じく身体付与の下地は出来ているだろう。
すぐに習得できるし、問題はなさそうだな。
見たことのないスキルが幾つかあったので確認してみる。
○堅剛―身体の頑丈度が大幅に増大する。(鉄壁よりランクアップ) 熟練度9
○剛力―膂力が大幅に増大する。(腕力よりランクアップ) 熟練度8
○直感―物事の答えを感じ取る。 (指揮・見切り・洞察の合成ランクアップ) 熟練度5
○竜化―ドラゴン体となり、相応の能力を得る。人化も行う事ができるが、特殊能力は使用不可となる。 熟練度10
凄いな・・・
○○魔法が○○属性とランクアップするのも知ったばかりだが、その他のスキルもランクアップすることが出来るのか。
しかも『直感』とか、いくつものスキルが合わさって1つのスキルになる事もあるのか。
このように複合スキルという物があると、普通の人はスキル枠が決まっているから助かるな。
とりあえず、ドラゴさんに『魔力付与』をコピーする必要が無いから、ドラゴさんのスキルを写させてもらおう。
『堅剛』、『剛力』、『直感』、『火属性』、『竜化』をコピーさせて貰った。
『直感』をコピーした時に、(同等のファイルが存在するが上書きしますか?)と聞かれたので、上書きしておく事にした。
『竜化』においては、何となく取った。獣化と同じく使えない可能性もあるが、あって困ることは無いだろう。
次はアクアさんだ。
『スキル』(アクア)
○水属性 ○風属性 ○補助属性 ○詠唱破棄 ○呪歌 ○人魚化
・・・アクアさん、魔法特化だったのか。
少し意外だったな。
こちらも聞いたことの無いスキルがあったので、確認させて貰う。
○詠唱破棄―詠唱を行わず魔法を発動することが出来る。 熟練度8
○呪歌―歌を聴くと、体が石化して行き最終的には死に至る。熟練度5
※固有スキル
○人魚化―水中で息を吸うことができるようになり、行動しやすくなる。ただし、発動後地上での行動にて難有り。
呪歌は固有スキルだったか。
ならそれ以外のスキルを習得させて貰おう。
先に『魔力付与』をアクアさんにコピーしてっと・・・
そして、アクアさんのスキル『水属性』、『風属性』、『詠唱破棄』、『人魚化』をコピーした。
その後はひたすら訓練である。
「ドラゴさん、集中です!!
剣を手の平の一部と感じて魔力を体全体に行き渡らせるのです。」
ドラゴさんの体から剣まで魔力のもやが行き渡った。
「そして行き渡った魔力へ火か風属性へ変じるように集中してください!」
ドラゴさんの持っていた剣が炎に包まれる。
どうやら火属性を使ったようだな。
「そのまま、昨日の金剛鋼の扉の欠片を切断してみてください。」
ドラゴさんが扉へ剣を振り下ろすと、そこには2つに分かれた欠片が落ちていた。
どうやら問題なく発動できたらしい。
また、ドラゴさんの付与方法は全体付与のようなので、投擲の訓練は行わなかった。
続いて、アクアさんだ。
彼女はルナと同じく魔法系の人間だ。
魔法に魔力を乗せるのは現在もルナが悪戦苦闘している。
アクアさんはルナと一緒に行動させた方がいいかと思う。
「ヒロ待つのじゃ、まだ全体型か部分型かわかっておらぬ。判ってから移動させた方がよいのではないか?」
アリシアの言う通りだった。
アクアさんは体全体に魔力付与を行う事はできなかった。
どうやら部分型のようだ。
となると、○○の串を教えるべきであろうか・・・
まぁ、口外無用と口止めしておけば教えてもいいだろう。
結論、エルよりも恐ろしいものが出来上がってた。
水の串は特に問題なかった。
まぁ、エルのように恐ろしい破壊力はあったが・・・
問題は風の串だ・・・
これはヤバ過ぎる。
なんと言っても、
①見えない!! そう、見えないのである。聖なら光、水なら水と属性は目に見える。
だが、風は髪の毛に風の魔力がまとわりつくわけだから、肉眼で捉えることはできない。
②風魔法の影響か、恐ろしい速さで的を打ち抜いた。
風魔法がかかっているからか、串を投げた瞬間、身じろぎをしていたような・・・
③おそろしい威力。
20M離れた所から風の串を投擲すると、先ほど片つけないで置きっぱなしにしていた金剛鋼に無数の穴が開いた。
20Mはなれてこの威力なのなら、もっと近づいていたら・・・
ゾッとした。
やはり、○○串はおおっぴらに広げてはいけないな。と心に刻んだのだった。
うん、ヤバイ人に刃物を預けた気分になどなってないぞ・・・。
お読み頂きありがとうございました。




