051 修行中?―夜中の攻防
夜は皆で食堂に集まり、お茶をしながらお互いの特訓状況を話し合った。
「―――と言う訳で、剣に魔力と属性を付与する事で威力がヤバイ事になった。」
まずは俺から離し始めた。
「そもそも剣に魔力を通すって発想が信じられない。
何でそんな事考え付いたの?」
う~ん、ゲームで魔法剣とかあるからもしかしたら出来るかも?で試した見たのがうまく言ったんだが・・・
あの後ミーティアは帰って来た。
結局、魔力を剣に付与する事ができなかったらしい。
「いや、身体全体に魔力を付与できるだけでもすごいと思うぞ?
部分的にしか魔力を付与する事ができない。」
師匠も今日は特訓について話し合いたいと家に泊まっていくようだ。
「踏む、我の強化に使えそうじゃのう。我もそのスキルを使わせてもらってよいじゃろうか?」
確かルナはまだ空きスロットが残っていたはずだな。
「私もよろしいでしょうか。話を聞いて、試してみたい事があります。」
エルは何かを思いついたようだな。エルもスロットはあるので、ミーティアが了承すれば付与は問題ないだろう。
「と言う事だ、2人にもスキルを付与してかまわないか?」
このスキルはミーティアが努力して手に入れたスキルだ。
きちんと断ってから付与しなければならないだろう。
「う~ん、結構扱いが難しいはずなんだけど・・・
それで良いなら良いんじゃないかな?」
ミーティアは快く領書してくれたようだ。
扱いは各人で努力して貰うしかないだろう。
ルナもエルもミーティアにお礼を言っている。
本当にミーティアには色々とお世話になっている。
全てが終わったら、ミーティアにお礼をしなければならないな。と心に誓うのであった。
「でもヒロはずるいと思う。」
・・・と考えていたらミーティアから苦情を言われた。
確かにこのPCスキルは反則クラスのスキルだよなぁ・・・
「元々私のスキルなのに、私よりも使いこなしているなんてずるいっ!!」
・・・そっちだったか。
「う~ん・・・、俺に出来たんだからミーティアはすぐに出来そうな気がするんだがなぁ。」
俺はコピーしたばかりだから熟練度は1だが、ミーティアの熟練度は5あった。
なら、俺よりも使い方は熟知してそうなんだが?
「そうなんだよねぇ。
剣に魔力を乗せるだけなんだけど、それがうまく行かない・・・
何が悪いんだろう?」
うん?
今の言い方・・・何か引っかかったような?
そう、剣に魔力を乗せる・・・か。もしかして、
「ミーティア、剣に付与する時どう意識して魔力付与を使っている?」
「ん?、今更どう意識してるっていわれてもねぇ。
ん~、まず身体全体に魔力が通うようイメージし、まず魔力を乗せるでしょ?
そのあと、剣に魔力が伝わるようにイメージしているんだけど、なかなかうまく行かなくてねぇ?」
やはりそうか。
「試しにやってみて貰いたい事がある。
剣は・・・部屋に戻るのもだし、この箸を持ってもらえないか?」
ミーティアは怪訝な顔をしつつも箸を受け取る。
「で、その箸を体の一部のように感じ取る。」
目をつぶり、箸に集中しているのがわかる。
そっと箸の上端をつまんでみる。
「今箸の上端をつまんだのが分かるか?」
「うん。
なんとなくだけど分かったかも・・・」
「そうか。
ならそのまま、身体全体に魔力が行き渡るように付与を行ってみるんだ。
もちろん体の一部と感じた箸も一緒にだぞ?」
ミーティアの体から薄い膜のように魔力が身体全体を覆っていくのがわかる。
その魔力は箸の先まで覆っている。
周りからは「おおっ!!」と声が上がる。
ミーティアはまだ目を閉じたままなので、声をかけてみる。
「そのまま目を開けてみて。」
ミーティアがゆっくりと目を開ける。
「えっ、うそ・・・何で?」
驚いてる驚いてる。
ちょっとした意識の違いが明暗を分けていたのだろう。
「やったっ、出来たっ。
うん、私すごいっ。
ヒロに出来る事だもん、私にだって出来て当然よねっ!!」
・・・ちょっと浮かれすぎだろ
だが、笑ってしまう・・・妹に似ているなと・・・
遠い昔に、妹に勉強を教えていた時を思い出してしまう。
「なんでこの計算の答えが6なのよっ!!」
「だって、分数の割り算だろ。
・・・そうだな、まずは分数から離れてみようか。
12÷2= の計算だと答えは「6」だよな。
じゃ、12÷2分の1=の 答えは、どうだ?
答えは6になるよな?
考え方としては、12÷2っていうのは、「12を半分に分けた」ってことだ。
言い換えると、「12を、2分の1にした」って事だよな。
なら、12×2分の1って式が、同じように成り立つ訳だ。
分数同士の計算ってのは、この基本原理を単純に応用しているだけなんだよ。
あんま難しく考えないで、「分数の割り算のときは、ひっくり返して掛ける」方式で良いんだよ。」
「む~・・・
なるほどっ!!じゃぁ、この答えは3だ!!」
「その通り、未亜うまいぞっ。」
「えへへ~、この程度当然っ
私を誰だと思ってるの?
お兄ちゃんの妹だもん、この程度私にだって出来て当然よねっ!!」
「その通りだ、さすが俺の妹だ。」
未亜の頭を撫でると、目を細めて微笑む。
「えへへ~、お兄ちゃんに撫でられるの好きだな。」
「未亜が頑張った時だけだからな。
だから安くはないぞ~。」
「じゃ、もっと頑張る。」
「じゃ、次の問題だな。」
あの頃は幸せだったな・・・
あの災害さえなければ・・・
「そのまま魔力に属性を込めるんだ。
イメージするだけで良い。
体を廻っている魔力が魔法を使うときみたいに変化していく事を。」
「うんっ!!」
ミーティアがじっと箸を見つめる。
1分は経ったか・・・
体を覆っていた魔力に変化が見える。
薄いもやだったようなものが、光り輝いてくる。
そこには蛍のように身体全体が光り輝いて見えるミーティアが座っていた。
「できたっ!!、私で来たよっ!!」
そういって箸を振り回す。
「うん、よく出来た。
さすがミーティアだ、偉いぞっ。」
そう言って無意識にミーティアの頭を撫でる。
頭を撫でられたミーティアは目を細め、猫のように気持ち良さそうにする。
懐かしい感じがこみ上げてくる。
ルナも良く撫でているが、ルナには感じた事のない気持ちだ・・・
・・・もし・・・妹が生きていたら・・・この子のように成長していたんだろうか・・・
「怪しいのじゃっ!!」
すぐ横から聞こえる声に物凄く驚いた。
しまったっ、さすがに馴れ馴れしすぎた・・・
急いで姿勢を正すと、ルナの方を向く。
「ヒロはルナにばかりえこ贔屓なのじゃ!!
わらわにも教えるのじゃっ!!
(ぽそ)・・・そしてなでなでするのじゃっ」
ん?最後が聞き取りづらかったが、確かにルナやエルにも教えておかないとな。
「私もお教えいただきたいです。」
「私もうまくいかないのでな、ちとアドバイスをくれないか?」
っと、エルや師匠まで言ってきた。
「えっと・・・、皆も今のような感じで魔力を込めるとうまく行くからな。
それじゃ、まずはスキルのコピーから始めようか。」
「「まずは私からコピーしてください(するのじゃ)!!そして、ミーティアのように手取り足取り教えるのです(のじゃ)。」」
えっと・・・最後の方は命令?
どうも3人ともまだまだ訓練するつもりらしい。
師匠はさっきへとへとと言っていたのに、もう回復しているみたいだ。タフだなぁ・・・
これは俺もうかうかしてられない。
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