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046 アリシアの真実

「話しておく事として、まずは魔玉の継承から話しておこうか。」


そういや、最初に取り込んだとか言われていたな。


「他のものは知っておるだろうが、肝心のフィアンセ殿が知っておらぬば困るからな。」


「話の腰を折るようで悪いが、そのフィアンセ殿ってのやめてもらえないかな?

 よく判らないけど、その言葉を聞くと背筋が凍るような気がする。」


ニヤリと笑うと、


「残念・・・色々と面白いのだがの。

 まぁよい、他に習ってヒロと呼ぼうか。」


「そう呼んでもらえると助かります。」


「ではヒロが判るよう説明しよう。

 魔玉とは魔族が死んだ際、その身体に宿る魔力を凝縮し溜め込んだものを総称して言う。」


ふむふむ


「そしてその魔玉を取り込んだものは、凝縮された魔力や知識を受け継ぐ事ができる。

・・・が、巨大な力を持つ魔玉はそれ自体が意思を持つようになってな。

 我の魔玉であれば、どれだけ力を持つ物であろうとも破壊の衝動に飲み込まれるであろうな。」


・・・え?


「お主はは相当運が良かったぞ?

 我が最期のあがきに魂を魔玉に取り込ませておらなんだら、あのまま破壊の衝動に飲み込まれる所じゃった。」


もしかして、あの時意識が飛びかけたのがそれだったのか・・・?


「まぁ、不可抗力の末とは言え、念願の嫁を手に入れることができたのじゃから、ヒロも嬉かろ?」


「ちょっ、・・・それは駄目っ」


「へぇ・・・」


「ほう・・・」


「ふ~ん・・・」


「はっはっは」


ううう・・・穴があったら入りたい・・・


「だが、我は婚約を交わしたのがぬしで良かったと思っておるぞ。」


うおっ・・・面と向かって言われると恥ずかしいな・・・


「ここまで面白い事態になるとは思ってなかったからな。」


机に顔を突っ伏す・・・


持ち上げといて落とすとか、どれだけ非道な・・・


(今まで生きていた中で今が一番充実しておるかもしれん。感謝しておるぞ。)


えっ!?


耳元でアリシアに囁かれたような気がした。


顔を上げると、皆が笑っている中、アリシアが俺に向けてウィンクを飛ばしてくる。


・・・あぁもう。そんな事言われたら怒れなくなってしまうじゃないか・・・・・・


「まぁ、魔玉とヒロの継承に関してはそのような所だ。

 ヒロ、聞きたい事はあるか?」


聞きたいことか・・・そういや、魔力と知識がって言ってたけど、俺は知識って何も持ってない気がする。


「魔力と知識って言ってるけど、魔力はかなりの物らしいが、知識は何も受け継いで無い気がするが?」


「その事か。

 魔力はお主の元々の力に我の魔力が合わさり、面白い事になっているが、知識は我が持ったままだからな。

 せいぜい無意識下で詠唱破棄を行っているぐらいじゃろう。」


詠唱破棄?


「詠唱破棄って何だ?」


「うむ、お主はスキルを使う際、詠唱をまったく必要とせんじゃろ?」


そういえば、確かに・・・


本来スキル発動には詠唱が要ったな。最初から必要なかったからあまり気にした事はなかった。


「我の持つ、詠唱破棄の知識をお主が学習して行なっておる。

 今のところは分からぬが、それ以外の技能も学習している可能性はあると思っておる。」


そうだったのか、なら今度アリシアに特訓に付き合ってもらうのが一番早いかもしれない。


「ありがとう。それじゃ今度特訓に付き合ってもらっていいかな?

 どんな事ができるか試してみたいし。」


「どうせ我はお主から離れる事はできぬ。

 いつでも見てやろう。」


お礼を言われて嬉しそうにしている。


表情は変わっていないが、音符エモが表示されている。


恐らくほかの皆も気づいているだろう。


「これが2次元か・・・」


とか、ドラゴさんは納得してるし・・・


「もう良いかの。

 次に我を殺害した人物について語ろう。」


その一言に全ての物の顔が真剣に戻る。


「おおまかには昨日ドラゴに聞いていると思う。

 その中で幾つか説明の補足もあるので言っておこう。


 まず、第一に皆が知りたいのは偽者の存在だろう。


 偽者は恐らく、勇者と我の細胞から作られた複製体クローンの可能性がある。」


唾を飲む音が大きく響く・・・


「蘇生魔法・・・それは肉体の一片からでも身体全体を構築する事ができると伝承では伝えられておる。

 もし、違った肉片を混ぜ合わせ、そこに蘇生術をかければ、2つの特徴を持つ複製体が作られてもおかしくはない。」


蘇生魔法・・・昨日ドラゴさんから言われた・・・


その魔法は失われた魔法で、使える可能性があるのはただ1人・・・


「だが、蘇生魔法は万能ではない。

 複製された身体、もしくは魂の去った身体を作ってもそれはただの人形としか呼べぬ存在になる。


 魂がなければ考える事も、動く事もままならん。

 

 だが、偽者は動いていた。

 問いかけに答える事も無く。傷を負わせたときに苦痛の表情1つ無かった事から、魂が無い可能性がある。


 それでも動いていたと言う事は、何かしらの方法で人形を動かす術を得たと見ても良い。」


その流れで行くと、たとえ偽者を捕縛したとしても背後の情報を調べるのは不可能と言う事か・・・


偽者を捕らえ、全ての黒幕を問いただそうとしていた計画が崩れ去ってしまった・・・


だが、アリシアはニヤリと笑うと、


「安心せい、黒幕は分かっておる。

 詳しい理由は時が来ていないので言う訳に行かぬが、全てラース大公が黒幕で間違いは無い。」


その場にいた全員が固まった・・・


やはり・・・全ては彼女が仕組んだ事だったのだ・・・


「ちなみにヒロにかかっていた召還の隷属は消去してあるから、ほかの者はヒロに警戒はせずとも良いぞ。」


ラスト公の言っていた、召還の隷属・・・やっぱり多少はかかっていたようだ。


「元々、名前を伝えていなかった分、かかりは浅くこの手の消去は我の得意分野じゃからの。」


ミーティアのほうを見る。


彼女も複雑な心境なのだろう。


困った顔をしている。


「問題は偽者がかなり強いと言う事だ。

 我は直接対峙したので分かるが、あれは肉体のストッパーを完全に外しているだろう。

 ヒロの知識にあったが、身体というのは自らの力で崩壊しないよう、どんなに鍛えようと30%の力しか実際に振るう事はできぬ。

 そのストッパーが無いのだろうな。

 魔力で強化した上に肉体ぎりぎりの力で迫ってくるのだ。対抗できる者など存在しないのかもしれない。

 言わば我の魔力と勇者の身体能力。

 その2つを兼ね備えた存在など、我の知る限り1人しかおらぬからの。」


そう言って俺を見ている・・・


なんか嫌な予感しかしないんですが・・・


皆も何かを察したのか、視線が集まってくる。


アリシアが音符エモを飛ばしながら爆弾発言を投下した。


「と言う事で、死ぬ気で修行するのじゃぞ、フィアンセ殿よ♪」


こうして、俺の地獄の特訓は決定事項となってしまいました。


うぅぅ・・・もう俺、女難の相とかあるんじゃないだろうか・・・

お読み頂きありがとうございました。

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