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041 ドラゴさん

ガコンッ


大きな扉が開かれ、目の前にはプライド公。


そしてその隣にはエンヴィー公と師匠が佇んでいる。


プライド公は牢屋での姿ではなく、竜の顔に人の身体という最初に会った姿で椅子に座っていた。


「プライド公、この度はお招きいただきましてまことにありがとうございます。」


エルと練習したとおり、うまく挨拶をする事ができた。


「うむ、先日話したがドラゴで良い。」


「プライド公様!?」


エンヴィー公が驚きに目を見開く。


「はっはっは。お主だけはない。この場に居る者皆ワシの事はドラゴと呼ぶが良い。」


どうやらエンヴィー公の様子を見る限りでは、ドラゴさんと呼ぶのはかなり近しい人だけのようだ。


「わらわはプライド公の傘下じゃが、それでも良いのかの?」


ルナがおずおずといった形で聞いている。


「もちろんだ。ここにいる皆はできる限りの力を使ってワシを助けてくれた。

 その礼というほど大層なものじゃないが、それぐらいはさせて貰おう。」


「はっ、ありがたき幸せなのじゃ。」


傘下であるルナにとっては相当な褒美なのだろう。


どう見ても目じりが垂れ下がっている。


「さて、改めて挨拶させて貰おう。

 ワシがプライド領領主。

 竜族のドラゴじゃ。

 この度はここにいる皆の者の力で命を生きながらえさせてもらった。

 心から感謝させて貰おう。」


プライド公―ドラゴさんが頭を下げてくる。


「いえ、助けて貰ったのは俺も同じです。

 先日はきちんとした挨拶も出来ず申し訳ございませんでした。

 私は魔王候補として召還されました人族のヒロと申します。」


俺も頭を下げる。


「先日も挨拶させて貰ったが、エンヴィー領領主にして、ドラゴ様の右腕。

 人魚族のエンヴィーだ。

 ドラゴ様がお主達に呼称を伝えている以上、私も言わないわけにもいくまい。

 私はアクアと呼ぶが良い。」


エンヴィー公も習って挨拶をしてくれる。


「それじゃ、私も言っておくべきかな。

 ラスト領 第一士団隊長 獣人族のネイルだ。

 ラスト公だと兄と区別が付かないので、皆もネイルと呼んでくれると嬉しい。」


と言って、俺に視線を送ってくる。


大丈夫、俺にとって師匠は何時までも師匠ですから。


「次はわらわかのぅ。

 グリード領領主 吸血鬼族のグリードじゃ。

 親しい者にはルナと呼んでもらっておる。

 そして、ヒロの妻となる予定じゃ。」


いや、だから認めてないし・・・


エルも師匠もそんな目で見ないでっ!?


「いや、認めてないから・・・」


とりあえず視線が痛かったので否定だけしておこう・・・


2人がほっとしてる。うん、ロリじゃないからねっ。


そして、ルナ・・・お尻をつねるのは反則。


いつも否定してるんだからいい加減諦めてくれ・・・


「次は私ですね。

 ウェンディア国 元第三王女、現在はヒロの侍女をしているエルと申します。

 この呼称はヒロにつけて頂いた名ですので、この名で呼ぶのはここの方々のみです。

 よろしくお願いいたしますね。」


何処となく誇らしげだ。


自分でつけておいてなんだが、エルが気に入ってくれているようで良かった。


「最後に私かな。

 私も召還された者で、人からはミーティアと呼ばれていました。

 前魔王様に助けて頂き、そのお礼も出来ないまま、前魔王様はもう1人のミーティアに殺されたと聞きました。

 私は真実を知り、もう1人のミーティアを懲らしめようと思い旅を続けています。

 今回、プライド公・・・えっと、ドラゴさんがその時の生き残りと聞いたので、詳しく話が聞かせて貰えればと思っています。」


ドラゴさんはミーティアの話を聞くと、なにやら苦々しげな表情だ。


やはり、勇者としてドラゴさんもあまり面白くないのだろうか・・・


「もう1人のミーティアか・・・

 お主も被害者の1人だし・・・知っておく権利があるだろう。

 それに今回の件もあるしな。」


そして話してくれた。


今回の原因の1人であり、謎に包まれた存在。


その1人の少女とその周りの不可思議な現象を。


「何処から話すべきか・・・まずは、前魔王の最期からか・・・


 前魔王―彼女はある時期まで、住む者の為にと国づくりをしていた。


 元々魔族は人族に虐げられ、この地へ追いやられた種族の集まりでしかなかった。


 そこに現れたのが彼女だった。


 彼女は我々では及びも付かない知恵を用い、この地を豊かにし、集落の集まりであった人々を纏め上げて行ったのだ。


 その中で諍いや争いももちろん起こった。


 その中で我ら7大公が生まれ、この広大な土地を分割し制定して行った。

 

 その頃が一番平和だっただろうか。


 それから暫くしたころ、人族の国から【魔獣を操っているのは魔王】だという噂が出始めた。


 もちろん、元々迫害されていた種族の作った国だ。


 人族はこれ幸いと領土を奪おうと攻めてきた。


 確かに迫害されていたが、それは力強いゆえのものだったからな。


 団結した魔族に対し、人族はなすすべもなくやられていったよ。


 それが何時からだろうか、【魔獣憎し】のはずが【魔族憎し】に変わって行った。


 そうなるともう戦争の為の戦争が続くようになっていった。


 誰かが操っているかのように、誤解から憎しみが生まれ、その憎しみが更なる憎しみを生んでいった。


 誰よりも平和を愛した魔王はそのような悪循環を変えたかったのだろうな。


 1人の王女をさらい、説得し呼びかけを行って貰い、人族との話し合いが行われる事となった。」


ちらりとエルの方を見る。


恐らくその王女とはエルのことだったんだろう。


「その席には我らシン国から前魔王様、私、前グリード公、前ラスト公、前スロウス公、ラース公の腹心3人と護衛部隊20名。

 

 人族からは4大国の大臣等、国の重要人物とその護衛約60人が集まった。


 会談は概ね順調と言えなくもなかった。


 さまざまな条件はあったが、概ね自国を平和にしたいと誰もが思っていたのだろうな。


 だがそこにかのものが現れた。


 黒い髪と深紅の瞳、強大な魔力と卓越した身体能力。

 

 その女性が名乗った名は『ミーティア』


 もちろん1人だけなら我らも遅れをとる事はなかった。


 だが、ミーティアを先頭に、人族の兵士、シン国からの兵士、そして魔獣が一斉に襲い掛かってきた。


 我らもまさか自国の人間に襲われるとは思っていなかったからな。


 完全に油断していた・・・


 戦場では油断は大きな隙となる。


 一瞬にして勝敗は決したよ。


 大抵の者は抵抗もできず蹂躙されていった。


 あやつの前では、前グリード公を初めとする大公も抵抗らしい抵抗が出来なかった。


 あの剣はワシから見ても恐ろしかったよ。


 魔法を件で切り裂き、詠唱も無しに魔法を唱えてくる。


 まるで勇者か魔王様と戦っている感覚だった。


 ワシ達は全滅と思われたが、前魔王様はワシと王女を逃がした。


 『この娘を守ってくれ。』と言われてな。


 ワシは魔王様と共に残りたかったが、守るよう頼まれてはつれて逃げるしかなかった。


 その後だよ・・・魔王様の死とその場にいた全員が死亡したと伝えられたのは・・・」










お読み頂きありがとうございました

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