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040 考察とドレスアップと


翌日、約束の時刻より少しはやく目を覚ました俺は頭の中を整理していた。


プライド公―ドラゴさんと俺は一体誰に捕らえられていたんだろう。



あの時の兵士達は全員・・・・・俺が・・・・命を奪ったはずだ


ルナを守る為には仕方が無かった・・・


この世界と元の世界では価値観がまるで違う。


元の世界では人命尊重が叫ばれていたが、この世界では躊躇えば自分の命を奪われる・・・


せめて、自分が命を奪った者はずっと覚えておこう・・・俺に出来る償いはそれだけだ・・・



あの後、簡単に聞いた話ではルナを治療したあと、あの戦いの場から師匠が匂いを追跡し、石牢を見つけたそうだ。


見張りは人族の兵士が3人。


中には人族だけでなく、魔族まで警備していたと聞いた。


人族と魔族が共に居るのはシン国のみと聞いている。


ならば、あれはシン国の兵士だったのだろうか。


話の中ではフレイムスフィアの軍人だと思っていた。


それとも別のグループ?


だが、何故プライド公が捕まっていたんだ?


勇者と魔獣。


そして俺とプライド公を捕らえた謎の集団・・・いったいどうなっているんだろう。


この辺はプライド公との面会の時に聞けばいいだろう。




そしてもう1つ。


あの声だ・・・


何度もあの声には救われている。


最初はグリトニー公―おっちゃんとの決闘の時だ。


あの時、あの声が助けてくれなければ、グリトニー公は死んでいた。


エルを操っていた短剣もそうだったが、俺もあの剣に操られていた可能性もある。


あの時は俺自身が血に酔っておかしくなったものかと思っていた。


だが、吸血鬼化・獣化を経験して分かった。


あれは狂化によって、本能の一部が肥大化した性格ではない。


獣化は性欲が・・・


吸血鬼化は血と物への渇望が肥大化されているのを感じる。


狂化はバーサーク・・・ゲームで言えば、破壊欲もしくは怒りの感情に支配されると思う。


だが、それだけでない何かが俺の中に居たのを、今なら分かる・・・


そして、あの声がその何かを駆逐してくれたと・・・




次に、ミモザ村での襲撃・・・


あの時、既に影は俺の部屋の中。もしくは入り口前に来ていた。


あの声に起こされる事がなければ、俺はあの時あの場で死んでいたとも考えられる。




最後がルナとの戦闘時だ。


あの時もあの声が無ければ死んでいたと思える。


もしかしたらあの後、『獣化』が発動できたのもあの声の主の力かもしれない。



少なくとも3度命を救って貰っている。



そして覚えては居ないが、何か大切な話をしていた気がする。


3度目―ルナとの戦闘時の声では、『役目』とか『契約を違えたまま』と言っていたな・・・


それは忘れている何かと関係する事なのだろうか・・・



もう一度あの時と同じ状況になれば分かるかもしれない。


プライド公と野訓練を思い出せ・・・



まず座禅を組む・・・


そして身体全体に意識をめぐらせるのだ・・・



その後に内面に光る通路が現れ・・・無いな・・・



もう一度・・・


・・・もう一度・・・・・


・・・・・・もう一度・・・・・・・・


うまく出来ない。


あの時と何が違っているんだろう?


あの時は石牢の中で、魔封じの結界が張ってあり、隣にプライド公が居た。


その3つの内どれかが関係しているのだろうか・・・


思い出すんだ・・・



そうだ、あの時プライド公は俺の背に手を当てていた。


何か補助をしてもらっていた可能性が考えられる。



・・・となるとこの辺もプライド公に手助けしてもらわなければならないか。


なんとしてでも、あの声の主に会わなければならない・・・


そんな気がするのだ・・・・


トントントンッ


ドアがノックされる。


「ヒロ起きていますか?そろそろ準備を始める時間です。」


エルの声が聞こえる。


もうそんな時間になっていたか。


「ごめん、起きてる。

 すぐに準備して下に降りるよ。」


「分かりました、それではお待ちしておりますね。」




仕度をしてロビーへ降りると、3人は既に待っていた。


いつもと違い、ドレス姿の3人に見惚れてしまう・・・



エルのドレスは、色は薄い水色、形はマーメンドラインで肩にベージュのケープを羽織っている。


身体の線が出るマーメイドラインのドレスだが、スタイルの整っているエルが着るとすごく様になっている。


さすがに一国の王女だけあって、ドレスもさまになっている。



ミーティアは薄い黄色で整えられている。


形はシフォンタイプのワンピースで、かわいらしい感じだ。


元気な女の子。というイメージだったが、このワンピースを着ていると、良家の子女のようにも見える。


ほんと女性と言うのは雰囲気1つで変わる物だなとしみじみ思う。



ルナは赤いキャミソールドレスの上に黒いショールを羽織っている。


・・・これはっ!!


確かに大人の女性ならグッと来るコーディネートだ・・・


だが、見た目12歳の女の子がそんな格好をすると、いかにも結婚式の花束贈呈を思い浮かべてしまう・・・


これはこれですごい似合っているのではないだろうか。


・・・もちろん言う事は出来ないが。



と言うか、何故皆さんドレス?


俺が疑問符を浮かべて立っていると、


「ほら、やっぱり分かっていないよ。」


「そうでしたね・・・ですが、フォーマルな服を持っていなかったと思いますし・・・これでいいのではないでしょうか?」


「ヒロ・・・なぜかわらわを見る目つきだけ妙に優しい目つきになっておらぬかったか?

 他の2人を見る目とはまるで大違いなのじゃっ!!」


・・・この会話の内容からすると


「もしかして、今日はおめかししないといけなかった?」


「「「あたりまえ」です」なのじゃ」


ドレスアップした3人に対し、俺はいつもの旅装束・・・


慌てて自分の部屋に戻ったが、服なんて一着も買った記憶が無い。


だが、この格好で行けば間違いなく3人に恥をかかせてしまうだろう。


「何か・・・何か手は無いかっ・・・」


「ふふふ・・・困った時はわらわにまかせるのじゃっ。」


開きっぱなしだった部屋の前で仁王立ちしたルナがふんぞり返っている。


いや、今は藁にもすがりたい気分だっ


「ルナ、何か方法があるのか?」


「うむ。まずは服を全部脱ぐのじゃっ」


「何故・・・?」


「いいから、何とかしたいのじゃろ?」


「まぁ、それはそうだけど・・・」


「ならおとなしく脱ぐのじゃっ。」


そう言ってルナは俺の服を脱がしにかかる。


いやぁぁぁ、やめてぇぇぇ・・・・・・って何か逆じゃないかこれ?


「ヒロっ、いきなり部屋に戻ったと思ったら・・・ルナに何やってるのっ!?」

 

ミーティアさん・・・ルナ『に』じゃないです。ルナ『が』やってるんです。


と言ってる暇は無いんだろうな・・・


ミーティアの渾身の右ストレートが俺の頬にクリーンヒットする間。僅か0.2秒の出来事でした。



軽く意識が飛んだ後、目に入ったのはミーティアの土下座でした。


「ほんっとごめん。ついヒロがとうとう我慢できなくなってルナに襲い掛かっているとばかり・・・」


・・・ミーティアの中では俺はロリ決定ですか・・・


「念のため言っておきますが、俺はロリではありません。」


「えっ・・・そうだったのっ!?」


「そうだったのですかっ!?」


「わらわはロリじゃないのじゃ~」


えっと・・・


「エル・・・?」


「ミモザもですし、ルナも嫁と言ってつれてきましたし、てっきりそっちの趣味かとばかり、・・・あはは。」


「違うよ?違いますからね?俺はおっきいのが好きですからね?」


俺の心の叫びを聞いて、自分の胸元を見るミーティアとルナ。


そして、2人はエルの胸元をじっと見つめる。


その視線に気づいたエルは顔を赤くして、うつむいてしまった。


「いやっ、ちょっと待ってください。

 その大きいじゃないですよっ!?

 確かに大きいのは好きだけど・・・じゃない。

 ちっちゃな子に興味が無いと言う意味で、おっきい子の方が好きと言う意味ですからね!?」


「ちっ」


「ふんっ」


2人の舌打ちが聞こえる・・・


胸の話題は危ないな・・・


「とにかく、ルナ説明して貰おうか。」


改めて問うと、ルナは面白くなさそうな顔をして


「説明するとヒロの驚く顔が見れぬでは無いか。」


「いや、驚くよりもっとすごいことが見れたからそれに免じてくれないかな?」


「ふん、わらわをちっちゃい子扱いするヒロにはもう教えんっ。」


機嫌を損ねてしまったようだ。


「あー、ルナ・・・ちっちゃい子扱いはすまなかった。」


「うむ・・・」


「出来れば機嫌を直してもらえるとうれしいんですが・・・」


「ならば、わらわを嫁として認めるのじゃ」


「ごめん無理。」


俺の回答にうなだれるルナ


「今のルナと結婚しようものなら、間違いなくロリ認定ですから。

 なので将来的は違うかもしれないけど、悪いけど今は許して・・・」


「ならばわらわはずっと吸血鬼化するのじゃ。

 それならばヒロも問題あるまいっ。」


吸血鬼化したルナ・・・


うん、それはありかも・・・


って、いやいや・・・惑わされるな俺。


見た目は変わるかもしれないが、やはり中身はロリってことだ。


「吸血鬼化後のルナはかなりの美人だけど、俺は今のルナが成長しても俺のことを思っていてくれれば、その時に改めて返事させてもらいたい。」


うん・・・これが一番だろう。


「聞いたエル?俺好みに育てるだって・・・」


「まさかヒロがそのような男性だったなんて・・・」


さすがにからかわれている事が分かってきたので相手にしない。


「いい加減、準備しないと約束の時間に遅れるな・・・」


時計を見ると、もう約束の時間の30分前だ。


「仕方無い。3人に恥をかかせるようで心苦しいが、この格好のまま向かうか。」


「ふむ、わらわ達のためじゃったか。

 ならば時間もないし仕方ない。説明するのじゃ。」


そう言うとシーツを一枚持ってきて。


「ヒロ、時間が無いのじゃ。すぐに服を脱ぎ捨てこのシーツを身体に巻きつけるのじゃ。」


ふむ・・・本気のようだし、従ってみるか。


「服を脱ぐから、後ろ向いてて貰えるか?」


そう言うと3人は後ろを向いた。


手早く服を脱ぎ捨てると、ルナが持ってきてくれたシーツを身体に巻きつける。


「おっけー。」


「ならば次は吸血鬼化を使うのじゃ。」


ふむ・・・


『解凍』対象『吸血鬼化』っと。


いつものように全能感が身体を満たし、体つきが変化するのを感じる。


それと同時に身体に巻きつけていたシーツが変形し、一着のタキシードとなった。


「おお?」


俺の声に反応して3人が振り向く。


「ええっ、ヒロ?」


「ヒロ・・・その服は一体何処から取り出したのですか?」


「うむ、うまくいったようじゃな。

 これは吸血鬼化を用いた時、身につけた布を変質させる効果を利用した物じゃ。

 そのタキシードは魂魄衣と言っての、ヒロの魔力でシーツをぬい合わせたような物じゃ。

 これを使うと、シーツを一着だめにするが、タキシードだけは作る事ができるのじゃ!!」


なるほど、そういう理由だったのか・・・


ならば最初からそう言って欲しかった。


ジト目でルナを見つめるが、何処吹く風で華麗にスルーされた。


ふぅ・・・まぁ良い。


何とか正装する事はできたし、このままプライド公との会談に向かうとするか・・・


階段を降り、鍵を使って扉を開くと、3人が付いてくる。


俺は助力を申し立てに。


ミーティアは前魔王の暗殺の真犯人について。


それぞれプライド公と会う理由がある。


プライド公もミーティアやエルを身内として、一緒に会談する事となった。



お読み頂き、ありがとうございました。

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