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039 脱出

どう答えるべきだろうか・・・


先ほどの様子はすでに影を潜め、隙あらば襲い掛かるとばかりに警戒している。


・・・・・・ドラゴさんに下手な隠し事は出来ない。


俺の中で結論は出ている。


「ドラゴさん・・・実は――――」


ゴガァァァァ


周囲に爆破音が響く。


「ヒロぉぉぉ、どこにおるのじゃぁぁぁぁ~」


この声は・・・


心の中で安堵した。


どうやら無事助かったようだ。


ドガガッ


ゴガガッ


ズゴゴゴゴゴゴッ


・・・というか何処まで破壊しているんだ?


「プライド公様っ、この匂い間違いございません、プライド公さまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~」


えっと・・・この声はエンヴィー公?


ドラゴさんは俺に取っていた警戒を解くと、


「どうやら部下が来たようだな。」


・・・・・・・・・え?


「お主の仲間がエンヴィーと一緒に来ていると言う事は、警戒する必要もなさそうだ。

 エンヴィー、ワシはここだぁ。」


もしかしてドラゴさんって・・・


「え・・・ええ?・・・えええっ?

 もしかして・・・」


「うむ、ワシがプライド公だ。」



ドゴォォォン


「「「「ヒロっ」」」」


「プライド公様っ」


ルナを筆頭にエル・ミーティア・師匠・エンヴィー公が見張りをしていたであろう兵士をなぎ倒しつつやってくる。


「ここだー」


プライド公が声を出すと、4人共こっちへ向かってくる。


ルナやエル、師匠なんて涙目だ。


見張りを全て片付けると、俺とプライド公は石牢から出して貰った。


「ヒロっ、何度私を見捨てろって言ったのか・・・

 わらわのせいでヒロが死んだらと思うと、何日も血すら喉を通らなかったのじゃ。」


「っ・・・ドラゴ様っ・・・ドラゴ様っ・・・きっと無事で居てくださると信じておりました・・・」


俺にはルナが、プライド公にはエンヴィー公がそれぞれ抱きついて泣いていた。


エルや師匠は少し後ろで我慢しているようだ


「ごめんな・・・俺がもっと警戒していればこんな事にならなかったのに。」


「当たり前じゃっ、2度と同じ事は許さんのじゃ。

 今度やったらわらわがお主を八つ裂きにするからのっ」


相当心配をかけてしまったようだ。


ルナの身体は傷の跡すらない。


すぐにエルが見つけて治癒してくれたそうだ。


本当に良かった。


頭を撫でていると、ルナが抱きついたまま寝てしまった。


相当頑張ってくれたんだろう。


そっと抱っこして持ち上げる。


「ルナはヒロが姿をくらましたすぐ後に家で発見し、治癒しました。

 治癒が終わってから今まで、2日間寝ずに貴方を探していたのですよ。」


エルが説明してくれる。


ほとんど時間が経っていないと思っていたが、すでに2日経っていたのか・・・


隣を見ると、プライド公もエンヴィー公をなだめているようだ。


ふっと目が合うと穏やかな顔で微笑まれてしまった。


少し照れくさいな・・・


「今は優先すべき事がある。戻ってからしっかりと話を聞くが、今は帰ろうか。」


それだけ言うとプライド公はその身を竜へと変じ、飛竜を先導する形で空に飛び上がった。




城へ着くと、次の日に会談する約束をし、俺達は自分の家に、プライド公も自室へと戻りった、


そして考える。


エル、ルナ、ミーティア、そして師匠・・・この4人がいなければ俺はどうなっていたか分からない。


そんな危険な中を4人は助けに来てくれた。


だが、俺はそんな4人に重大な隠し事をしたままだ・・・


俺は彼女達を本当の仲間と思い始めている。


だが、隠し事をしたままで本当の仲間と言っていいのか・・・と。



エルは記憶を失わせた以外は全て伝えて、彼女もその上で一緒に行動してくれている。


ルナとの一件は黙っているが・・・うん、これは個人的なことなので絶対に黙っておこう・・・


と言う事で、彼女は問題ないな。うん。



ルナにはPCスキルの事をまだ言っていない。


これはスキルの事なので、大きな問題はない・・・と思う。


だが、仲間である以上連携が取れるようスキル構成は伝えておいた方がいいかもしれないな。



問題はミーティアだ・・・


彼女には、俺が魔王候補として召還された事も、スキル構成も話をした事はない。


彼女がどう行動するか考えていただけだったので、彼女の事を知らないし、俺のことも伝えていない。


動向が把握できればと思っていただけだ。


だが、今回の事で彼女を見る目が変わった。


これからは頼りに出来る仲間として接していきたいと思っている。


これは賭けだ。


彼女へ真実を伝える事でいきなり切りかかられるかもしれない。


逆に、いままでの行動から信じて貰えるかもしれない。


どちらに傾くかは分からないが、言うとしたら多分今しかないだろう・・・



おそらく、俺の中で答えは決まっていたのだろう。


既にミーティアの部屋の前にたっている。


あとはドアをノックするだけだ・・・



コンコンコンッ


「はーい、ちょっと待ってて・・・」


ガチャッ


「ってヒロっ、どうしたの?」


俺が訪問するとは予想外だったらしい。


「うん、お礼としっかり話しておいた方がいいと思った事があってな。

 時間いいかな?」


ミーティアは意図を把握したのか、真剣な表情になる。


「大事な話?」


「ああ・・・」


「分かった・・・散らかってるけど入って。」


「ありがとう。」


中に入ると女の子らしい部屋だった。


いつの間に増えたのか、ぬいぐるみが部屋のいたるところに鎮座してる。


ミーティアに椅子を勧められたので、椅子に座りると目の前のテーブルにお茶を置いて、目の前の椅子にはミーティアが座った。


「聞かせて貰っていいかな?」


「そうだな。その前に今日は助かった。本当にありがとう。」


「いやいや、私はルナやエルに付いて行っただけだもん。

 それほどの事はしてないよ。」


「いや、成り行きで同居しているようなものなのに、今回の件では本当に世話になったと思っている。」


「あぁ・・・うん、まぁね。」


すぐにいつもの笑顔に戻ったが、一瞬さびしそうな顔をしたな?


「それで思ったんだ・・・」


「ん?」


「俺はミーティアの事も、エルやルナと同じように仲間として接していきたいなと。」


ミーティアは立ち上がると、すごい速さで俺の手をとった。


「それホント?

 私のことも仲間って思ってくれるの?」


勢いに押され、思わず頷いてしまいそうな所を、言わなくてはならない事があると自制して話を続ける。


「あ・・・ああ、だが俺はミーティアに黙っていた事がある。

 それを聞いてもミーティアが俺のことを仲間と思ってくれるならだけど・・・」


緊張をほぐす為にお茶を少し飲む・・・


「黙っている事・・・ヒロが魔王候補って事?」


「ぶっ」


「ひゃっ・・・きったなぁ~」


「なっ、何故それをっ!?」


ほんの少し吹き出してしまったが、僅かな量だ問題ない。


それより何故その事を知っているっ。


「だって、ルナから色々聞いてるし、エルもルナから聞いたっていったら答えてくれたから・・・」


・・・そういやルナに口止めしてなかった・・・・・・


俺は机に突っ伏してしまう。


「あ~、でも嬉しいよ?ヒロが自分から言ってきてくれるなんて思ってなかったから。」


「まぁ、そりゃ相手が勇者だからな。でも俺のことを聞いて良く襲い掛かってこなかったな?」


「うん、最初は驚いたよ?

 でもほら、以前に私の話したことあるよね。

 そのとき私のことを助けてくれたのも前魔王さんだったし、国の情勢を見てると、本当に魔王だから悪い人なのかって思えなくってね。

 だから、私はヒロという個人を見て、信じてみようと思ったの。」


ミーティア・・・ええ子や・・・


「・・・・ありがとう」


俺はそれだけ言うのがやっとだった。


「他にも聞きたかった事があったんだけど、いいかな?」


「ん?」


「ヒロは西暦何年から来たの?」


そうか、ミーティアは呼ばれてから5年もこの世界にいるんだもんな。


元の世界との時間の差が知りたいんだろう。


「俺がこっちに来た時は、2013年7月だったな。」


「ふ~ん、とすると時間の流れはこの世界とあっちの世界一緒なんだ?」


ふむ、とするとミーティアは2008年に飛ばされてきたと言う事か・・・ふと、俺の中で微かな希望が生まれた。


「ミーティア・・・お前もしかして・・・・いや・・・なんでもない。」


いや・・・、そううまい事があるわけが無い。


未亜や両親が亡くなったときは未曾有の災害で他にも多くの人が無くなった。


もし、ミーティアもそのうちの1人だったとしたら・・・


その記憶を無理に思い出させる必要も無いだろう・・・


ミーティアは不思議そうな顔で俺を見つめる。


「何か気になる事でもあった?」


「いや、俺の気のせいだろう。気にしないでくれ。」


「うん、でもそっかぁ、5年か・・・私の家族はどうしちゃったんだろうな・・・」


「そうだな、今の日本で5年も行方不明だったら・・・どうなるんだろうな?」


おそらく死亡したものと扱われているが、言葉にする事はできなかった・・・


「私ね、兄さんが居たんだ。」


「うん。」


「すごくかっこ良くて、優しくて、お友達も多くて、勉強も出来たんだ。」


「うん。」


あぁ・・・これは俺じゃないな・・・言わなくて良かった。


「時々でいいから、ヒロの事を兄さんって甘えてもいいかな・・・」


「ん~、俺じゃそのお兄さんの代わりになれるとは思えないが、ミーティアがよければ甘えてくれ。」


「うん、そうさせて貰う・・・背中・・・貸してもらってもいいかな?」


「うん?いいけど?」


そう言うと、ミーティアが俺の後ろに回り背中に抱きつく。


うおっ・・・当たってるっ・・・胸がっ・・・小さいけど確かに当たってる・・・


「・・・ひっ・・・ひぐっ・・・」


って・・・泣いてるのか?


「父さん・・・母さん・・・兄さん・・・帰りたいよ・・・帰りたいよぅ・・・」


そうか・・・いつもニコニコしていたが、我慢していたんだな。


こんな小さな子が、5年も魔獣や魔族と命がけで戦ってきたんだ。


以前の話しぶりでは、勇者と言っても待遇はそれほど良くなさそうだった。


誰にも頼れなかったんだろうな・・・


今は・・・今だけは、目一杯泣かせてやろう・・・


俺はその日、ミーティアが泣き付かれて眠るまで背中を貸してやっていた。

お読み頂きありがとうございました。

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