033 エンヴィー公との会談
「やぁ、ヒロ久しぶりだね。」
「師匠なぜここに?」
驚いた、ラスト領で別れたはずの師匠が何故かこんな所にいたのである。
「私こそ驚いたぞ、まさかヒロが魔王候補だったとはな。
それと・・・何か色々と変わった気がするがいったいどうしたんだい?」
吸血鬼化したまま来たので、見た目が変わっている事を指摘された。
主に平々凡々だったのが美形になっていることでお察しだろう。
「ええと、今は変装の意味も込めて吸血鬼化してるんです。。
魔王候補って事は、ラスト公から聞いたんですか?」
「あぁ、全て聞いた。」
「そうですか。」
「事情も大体把握しているつもりだ・・・・が、
ふう・・・吸血鬼化か・・・随分と思い切った事をしたものだな。」
「すまないが、積もる話は後で良いか?」
おっと、師匠と雑談に入ってしまっていた。
師匠も慌てて隣に座る女性を紹介してくれる。
「失礼いたしました。
ヒロ、この方がプライド公の側近であり、エンヴィー領の領主でもある、エンヴィー大公だ。」
「すみません。知り合いがいたので話し込んでしまいました。
俺は、一応『魔王候補』のヒロと申します。」
「わらわは挨拶しなくとも分かっておるとは思うが、グリード領領主、グリード大公じゃ。」
一通り名乗りあうと、エンヴィー公が口を開いた。
「現在、プライド公様は人族の襲撃を撃退する為に出かけておる。
お主の事はそこなラスト公の妹より話は聞いておる。
お主がラスト公の領地を襲撃し、本国の有望な戦士3名を手にかけたのは偽りであると言う事をな。」
その言葉を聞き、俺はまず驚いた。
師匠・・・ラスト公の妹だったんすか・・・
師匠の方を見ると、「てへっ」という擬音がつく、悪戯な笑みを浮かべ舌を出していた。
エンヴィー公は俺の表情を見て、
「師弟と言えど、その辺は隠していたのか・・・話してはまずかったか?」
と、師匠に向き直ったが、
「いえ、彼が魔王と知ったのは、ラスト領より出立する為、兄上からプライド公への伝言を頼まれた時です。
最初は一兵士として訓練に参加したので、私も一隊長として接し、後に彼が師事する事となりました。
私も彼の素性を知っていれば隠す事はなかったので、問題ありません。」
そういうことだったのか・・・
ラスト公、絶対知っていて隠していたんだろうな・・・
ニヤリと笑うラスト公の顔が思い浮かんだ。
後で何かおかえしを用意しておこう。
「ならば問題ないな。
して、なぜ魔王は吸血鬼化しているのか聞いても良いか?」
すると、今まで黙っていたルナが口を開く。
「私から説明させていただいてもよろしいかのう?」
エンヴィー公が頷くと、
「ヒロは旅の途中、そのぅ・・・色々とあって・・・・じゃな。
わらわの牙を受け、吸血鬼化したのじゃ。
もう、わらわの物なのじゃっ。」
ルナは恥ずかしそうにそれだけ言うと、師匠をキッと睨み後ろに下がってしまった。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・分からんわっ」
あ、エンヴィー公が切れてる。
「俺のほうから詳しく説明します。」
ルナに説明させると駄目なようだ。
俺はミーティアとの出会いから、ルナとの決闘。そして現在までを色々とぼやかしつつ説明した。
予想では前魔王を襲ったのが、ミーティアでは無いという事実に驚きがあるかと思ったが、
「うむ、そうだろうな。」と頷かれた。
この人は何処まで知っているんだろうか・・・
吸血鬼化については、目の前で『凍結』を行い、解除したら驚かれた。
師匠は自分の意思で解除できる事を知って、何故かほっとしていた。
やはり、弱点の多い吸血鬼化には不安があるのだろう。
一通り説明を終えると、
「つまり、ラスト公・グリード公はすでに魔王に降ったと見て良いのだな。」
「ラスト公としては、表向きは未だラース公側ですが、決起の際は間違いなく味方につくとの事です。」
「わらわは魔王であるヒロの妻じゃ、降ったのではなくヒロの物となったのじゃ。」
「いや、まだして無いから。」
「ヒロっ、グリード公と・・・婚約したのかっ・・・」
師匠が愕然とした顔で俺を見る。
「だから、してませんて・・・」
「ヒロ、わらわとは遊びじゃったのか・・・」
「そっちも嘘泣きはいいから・・・」
「ちっ、残念」
ルナは隙あらば俺と婚約した事にしたいらしい。
とりあえず保留しているが、外堀から埋められそうで怖い物がある・・・
師匠もそんなに驚かなくても・・・あぁ、見た目12歳ぐらいだもんな、「弟子がロリだったとは・・・」とか思われてるんだろうな、これ・・・
「味方となるに間違いは無いと考えて良いのだな?」
エンヴィー公がイラついてる・・・
これ以上脱線するのはまずいだろうな。
「ええ、そのように言って貰ってます。」
「そうか・・・」
エンヴィー公は何かを考えているようだ。
少しの沈黙が訪れた後、エンヴィー公は俺を見ていった。
「プライド公に面会していただき、その答え次第とはなるが、ラスト公・グリード公・プライド公様、そしてこのエンヴィーが魔王につけば、4公が付く事になるな。」
俺は少し考えた後、
「多分、グリトニー公もラース公とは関係なく俺に助力してくれるはず・・・です。」
「ふむ?」
会議の後、宣誓を行い、グリトニー公と対決した事を伝える。
「そうか、ならばグリトニー公もお主に助力するのが当然と考えられるな。」
「じゃが、あの者はラース公側のはずじゃ、一度ヒロに従ったからと言っても、ラース公の策略で考えが変わっておる可能性も高いのじゃ。」
「あのグリトニー公でしたら、その可能性は低いでしょう。
ですが、十分にその可能性は考慮するべきでしょうね。」
「うむ、用心するに越した事は無いのじゃ。」
この話の流れではエンヴィー公もプライド公も俺に味方してくれると言う事だろうか。
「エンヴィー公、宜しいでしょうか。」
「何だね。」
「エンヴィー公、並びにプライド公は俺に味方するのが前提。という考えで宜しいのでしょうか。」
「そう考えてくれて構わないよ。
ただし、それを決めるのはプライド公だ。その辺はその可能性が高いと考えてくれれば良い。」
「分かりました。ありがとうございます。」
妙に協力的だ、ラスト公が事前に話してくれていると言うのもあるが、それ以外の何かがあるのだろうか。
「何にせよ、プライド公が戻ってくるのは早くとも明日以降になる。
今日は休んで貰って、明日また話をしようと思うが宜しいか?」
「はい、よろしくお願いします。」
「では、今日の所は休んで貰おうか。
誰かっ」
エンヴィー公が声をかけると一人の兵士が入ってくる。
「このお二方は大事なお客様だ。丁重におもてなしせよ。」
「はっ。」
「ラスト公(妹)よ、魔王と積もる話があるのだろう。
一緒についていくとよいぞ。」
「ありがとうございます。」
エンヴィー公は兵士に一通り、俺達の部屋の手配や、夕飯の準備を指示していると、先ほどとは違った新しい兵士が飛び込んでくる。
先ほどの兵士とは違い、あせった表情で沈んだ顔をしている。どうしたんだろう。
「・・・・・・っエンヴィー公、至急報告したい事がっ」
エンヴィー公は俺達を見渡し、
「構わん話せ。」
「はっ、恐れながら申し上げます。
人族の討伐に向かったプライド公様からの反応が途絶え、通信が不可能になりましたっ」
その報告に部屋の空気が凍る・・・
「どういうことだ」
「はっ、人族の襲撃に向かった所、族の中に勇者ミーティアがいると言う連絡があり、その後連絡兵が殺られたのか、通信が不能となりました。
その後、付近にいた偵察兵を向かわせたのですが、偵察兵からの連絡も無く、何かが起こっているのは分かるのですが、何が起こっているのか・・・」
ミーティアが・・・プライド公を襲撃・・・?
俺は家の鍵を取り出し、部屋の壁を使って扉を呼び出す・・・・・が呼び出せない・・・
一体何が起こっているんだ・・・・・・
お読み頂きありがとうございました。
最近どうすれば読んでくれる人が増えるか考えてますが・・・・もっと面白い文章かけ、と言う事でしょうね。がんばります。




