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001 俺が魔王?

意識が覚醒すると同時に声がかかってきた


「お目覚めになられましたでしょうか。」


目の前では金髪・碧眼の美女が慇懃に頭を下げている

名前はラース公と言っていたな

頭からすっぽりと被ったフードを着けているが見た感じかなりスレンダーな女性で、俺を召喚した人だ


「ん・・・すいません、眠っていたみたいです。」


彼女は顔を上げると、俺のほうを訝しげに見ている

やっべぇ、いつの間にか眠っていたみたいだ

召喚したと言っていたし、場合によっては使役される立場かもしれない

帰してもらえるまではマスターとなる人物かもしれないし、下手なことはしないようにしないと


「いえ、こちらこそ大変お待たせしてしまい、申し訳ございませんでした。」


「こちらこそ、疲れていたのか、寝てしまうとは・・・・・大変お待たせしてしまったのではないでしょうか。」


「戻ってすぐに目覚めましたので、その件については問題ございません。」


「そうですか、そういっていただけると助かります。」


どうやら、寝ていたことに対しては気にしていないみたいだ

でもなんだろう、かなり期待はずれのような表情をされている。

期待していた性能すら満たさなく、満足できなかったとかかな

だとしたら、このまま返してもらえる可能性もでてくるな


「それでは、諸侯に紹介いたしますので、案内させていただきます。」


ラース公はきびすを返すと部屋を出て俺が出るのを待っている

召喚されて以降、これといった説明がまるでない

何も説明がないまま、従うしかない状況

まいったな、最悪このまま奴隷同然に働かされるかもしれないのに

少しでも会話をして、現状を把握しなければ


「つきました、こちらになります」


考えているうちに目的の場所に着いたらしい

扉に文字が書いてあるが、見たこともない文字のようだ

だが、なぜかその文字が読める、「謁見の間」か

おそらく、ラース公の上司おそらく国王に召喚魔の俺を紹介するって所か


コンコンコンコン


乾いた音が響く

同時に今まで静かだった部屋内から、ざわつきがし始めた


「大変お待たせいたしました。

 このお方が新しい魔王様にあらせられます」


ラース公が扉を開けると同時に俺に道を譲ってくれた

・・・・・・・・えっ?

いまなんて言った?


「ちょっと待ってください。俺?、いや、しかも魔王って」


俺があわてたように言うと、ラース公が思いついたように言った


「そういえば説明しておりませんでしたね

 私が召喚魔術を用いて魔王としての器を召喚した際、現れたのが貴方様でしたため、

 新魔王として紹介させていただきました。」


「ちょっ、普通召喚って、魔王を倒す為に勇者を召喚と言うものじゃないの。

 なんで、魔王の方なの、しかもいつ日本に帰れるんですか」


「問題ありません。

 私の召喚術に間違いはありません。

 貴方は我等を束ねる魔王陛下となりうるお方です

 また、帰るとのことですが」


『バンッ』


ラース公の話が途中だったが、部屋の中から机を叩く大きな音が響き渡り、

そちらに視線が引き寄せられる。

そこにいたのは5人の男女で、どう見ても人外っぽい人ばかりだ

大きな音を響かせた人は、円卓の奥側にいた、初老の男性のようだ

といっても、見事な白髪の間には角が生えていることから、この人も人間ではなさそうだが


「話にならぬな」


そう言いながら、席を立つ


「我が領土は今も人間の侵攻を受けている

 その人間を主として跪けというのか

 馬鹿にするのも大概にして欲しい

 ラース公の顔に免じ、そのゴミの命は取らずに置くが、

 すぐに領土へ戻らぬばならぬのでな

 失礼する」


言うだけ言うと、俺の隣から部屋を出て行く


「(ぼそり)命が惜しくば2度とその顔を見せるではない」


去り際に耳元でそう囁いて行った

しばらくその場で固まっていたが、部屋の奥にいた人物達も同様のそぶりを見せる


「我も同じ意見だ」


青い髪のグラマラスな美女もそう言って脇をすり抜けていく



「餌を同格だなんてラース公も何を考えていることやら

 そなたの提案には乗れぬな、失礼する」


銀髪の少女もそう言いながら、部屋を出て行く


「人間だから従わないという理由はないが、力なきものに従う謂れはない

 新魔王とやらから、まったく力を感じることができぬ以上、従う道理はないな」


狼のような体躯をもった男性が部屋を出て行く


「現在、先代魔王様が勇者に暗殺され、領内に人間の侵攻が起こっております

 人間領に近い部族は戦の準備もあるのでしょう。

 まともにご挨拶もできず、大変申し訳ございません」


相変わらず淡々と説明してくれるが、俺は頭の中で混乱している

人間と戦争中? しかも人間なのに魔王? 重臣らしき人は認めるつもりがないって言うし?

それに勇者が暗殺? 堂々と戦って倒したとかじゃないんだ・・・・

そうだ、いつになったら帰れるんだ?

きっぱり無理といって帰してもらおう、うん、それが一番だ


「あの、俺には」

「ぐごごごごごごごぉ~、すぴ~」


決断して話そうと思ったが、すぐにいびきにかき消されてしまう


「ご紹介いたします

 こちらがドワーフ領の領主であられるグリトニー公でございます」


さっきいびきで俺の話をかき消したひげもじゃのずんぐりむっくりしたおっちゃんを指し示しながら、紹介する


「はじめまして、なか」

「陛下、先ほどお話したことをお覚えでしょうか」


っとそうだ、この世界では名前を名乗ることはタブーなんだっけ


「あー、ではなんと名乗ればいいのでしょう」


ラース公に確認すると、当然のように返された


「魔王、とおっしゃればよろしいのではないですか」


どうしよう、名乗ったら名乗ったで後戻りができなそうだ、

というか寝ている人に名乗ったところであまり意味はなさそうだよな


「その辺はじっくり考えさせてください」


俺がそういいながらグリトニー公を見ると、起きる気配がまったくなく熟睡しているようだった


ちょうどいい機会だ、予想とはまるっきり違った展開が目の前でおき続けていて頭が沸騰寸前だ

今度こそきっかり聞いてみよう


「ラースさん、俺はいったい何をする為に召喚されたのですか、

 よくある召喚物だと勇者として召喚され、魔王を倒したら自分の世界に返れる

 そんなパターンだとずっと思っていましたが

 今の状況だと、俺自身が魔王となり、戦争相手の人間と戦うみたいなことを言っていました

 俺の最終目標は勇者を倒す事になる、とかなんでしょうか」


意を決して聞いてみると、ラース公は予想外といった表情で俺のほうを見た


「そういえば説明をしておりませんでしたね

 グリトニー公もこの状態ではしばらく起きないでしょう

 この世界と召喚のいきさつを説明させていただきたいと思います

 どうぞこちらにお掛けください」


テーブルの真ん中におかれている椅子の隣に座り、真ん中の椅子を俺に勧めてきたので、

遠慮なく座らせてもらった


「それではお話しましょう」

お読みいただいてありがとうございます


ドワーフは異種族の中でも好きな部類の種族です。

鍛冶とかさせてあげられるといいですね。

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