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017 エル覚醒

「エルが目を覚ました。来て欲しい。」


その一報は、何時も通りの訓練中にサトリが知らせてきた。


俺は急いで医務室の扉を開くとそこにはラスト公・ミモザが居て、俺とサトリがそこに加わった。


ベットの上を見てみると、魔法によって延命処置されていたとは言え、随分と衰えたエルが座っていた。


「改めて挨拶いたします。私はウェンディア王国第3王女、エアリス・ルィン・ウェンディアと申します。」


やはり最初に聞いた名前は偽名だったのか、スキル確認で今回も偽名で無いか確認してみる。


『スキル』


○短剣術 ○敏捷 ○聖魔法 ○火魔法 ○回復魔法 ○指揮 ○家事 △狂化


スキル一覧が出てくる。どうやら今度は本名のようだ。

というか、王女さん狂化持ってるんですか。


「確認が終わりましたら、離していただけるとありがたいのですが。」


少し顔が赤くなっている。確認とは言え、長く顔を近づけすぎたか。「うわたっ、失礼」と言って元の位置に戻る。


「ええと、なんて呼べばいいかな。やっぱり王女って言った方がいいかな。」


「いえ、今までどおりエルと呼んで下さいませ。」


呼び方を確認した所でサトリが声をかける。


「端的に確認します。

 貴女は今までの事を全て覚えておりますか。」


エルは青い顔をして、「覚えております。」と答える。


「それならば確認したい事がいくつもございます。

 その前にミモザ様、聞きたくないこともございましょう。後でお呼びしますので隣室でお待ちください。」


おそらくミモザ村の事をきちんと聞くつもりなのだろう。

だがミモザは「私の村の事ですね。ならしっかり聞かないといけないと思います。」と言って動こうとはしない。


ラスト公も黙って首を縦に振る。

察したのだろう、サトリはエルに質問を投げかけていく。


「ミモザ村襲撃に貴女は関わっていましたか。」


しばらくの沈黙の後、エルは「はい。」と頷く。


ミモザは驚きの表情ではあるが、どこか納得しているようにも見える。


俺はどこかで分かっていたのだろう。「やはりそうだったか。」という思いだ。


「陛下を襲ったのも貴女ですね。」


エルは頷く。

俺も、この前の戦いの時感じたのは、間違いなかったと確信した。


「エーラ・ボロ・ラースの殺害に、貴女は関与しているのですか。」


「私が食事に睡眠剤を入れ、皆を眠らせた後、本来は魔王を殺害し、残ったラース公(弟)へ罪をなすり付ける予定でした。

 ですが、魔王は何故か起きており、暗殺も失敗した為、次の計画であった3人の殺害及び、村の襲撃者を魔王に擦り付ける計画と移す事となりました。」


「何故、3人は殺すか罪を負わせなければならなかったのですか?」


「分かりません。ただ、そのように命令されていたからとしか・・・」


「村の皆を殺したのは何故ですか?」


「詳しい説明などは聞いていないのですが、口封じの為といわれました。」


「ならば、何故ミモザ様を生かしていたのですか?」


「分かりません。でも殺そうとは思いました。

 ですが、何故か寝ている彼女に短剣を振り下ろそうとした時、彼女にだけは振り下ろせなかったのを覚えています。」


「理由は?」


「分かりません。

 ・・・でも、妹の顔がちらついたのだけは覚えています。」


「そうですか。では、私からはこれで最後です。

 命令したのは誰ですか?」


「命令は・・・ぐ・・・ぐぐ・・・・うわぁぁぁあ」


エルの体が痙攣を起こす。


そして目が虚ろになり、両手で頭を押さえながら振り乱す。


「いや・・・・いや・・・いやぁぁぁぁぁあ」


この状況は・・・

俺はもしかしたらという思いを元にエルの体を抑え付けつつ、額を合わせ『スキル確認』と念じる。


『スキル』


○短剣術 ○敏捷 ○聖魔法 ○火魔法 ○回復魔法 ○指揮 ○家事 ○狂化


理由はわからないが、狂化がアクティブに変わっている。


・・・どうする。


『スキル詳細』と念じると


○狂化-攻撃力・体力・回復力を数倍に増加させる事ができる。但し、スキル使用中は激昂状態となります。※熟練度5以下では制御できません。 熟練度1


と表示される。

一般的に言われる、『狂化』が発動すると死ぬまで破壊を繰り返す。という状態がこの暴走状態なんだろうか。


悩んでいる暇は無いはず。


だが・・・スキル削除はデメリットしか存在しない・・・


肩に手を置かれる感触がするとともに「魔王よ、頼む。」と声が聞こえる。


・・・南無三


『スキル削除』対象『狂化』


(スキルを削除すると2度と戻りませんがよろしいでしょうか。【YES】 【NO】)

と表示される。

俺は【YES】と念じる。


スキル一覧の中から『○狂化』の文字が消え去る。


俺のしたで暴れまわっていたエルの体が一瞬ビクンッと大きく跳ねると、体の力が抜けてくる。


俺が目を開けると、目の前には真っ赤な顔で俺を見るエルが居て、隣には「魔王よ、よく助けてくれた。」というラスト公が居た。


「いやぁぁぁぁぁ、犯される。誰か来てぇぇぇぇ」


と大声で叫ばれた。


俺は慌てて、


「エル、待ってくれ。俺は君を助けようとしただけなんだ。」


と呼びかけるが、話を聞く気配はなく、叫び続ける。


ラスト公がいきなり俺を羽交い絞めにすると、エルに優しく語り掛ける。


「暴漢は取り押さえたから、安心したまえ。

 取り合えず、水でも飲むといい。」


と言って、俺が飲んでいたお茶をエルに差し出す。


エルがお茶を飲んで、気分が落ち着いたと思える所で、ラスト公が改めて声をかけた。


「悪いが、暴走しかけていたので『狂化』のスキルは削除させて頂いたよ。」


「どういうことですか。私が『狂化』を保有していたとは? スキルの削除とは一体何なのですか?」


と動揺している。


だが、俺には聞かなければいけない大事な事がある。


「いいか、エル良く聞いて欲しい。

 君に命令をしていたのは誰なんだい。」


エルは俺に見つめられたまま、困った顔をする。


「暴漢さん、大変申し訳ないのですが、エルとは私の事でしょうか。

 それに命令と言うのは今回の軍事行動の事でしょうか。」


サトリの方を見ると首を振っている。嘘偽りの無い言葉らしい。


「どうやら『狂化』を得る前までリセットされてしまった可能性が高いようだね。」


ラスト公は俺の肩に手を置くと語りかけてくる。


「エルっ、俺は君の事をエルと呼び、たった4日とは言え一緒に旅をした。それすらも覚えてないのか。」


強く問い詰めると、怯えた様に


「申し訳ございません。私は貴方など存じませんので、人違いかと思われます。」


と言ってくる。


やはり、記憶が無くなっているのか。


俺は失意の中に椅子に座りなおすと、代わりにラスト公が話しかける。


「キミは今まで誰かに操られて居たんだよ。『狂化』というスキルは持って居なかったんだね。」


「ええ、そうですね。少々お待ちください。」


エルは詠唱を唱えると力ある言葉を発した。

『スキル確認』


しばらくすると驚いたように声を上げる。


「私、スキルが増えております。それに熟練度も上がっている・・・」


どういうことか確認すると、


「『短剣術』・『家事』は今まで持っておりませんでしたし、『敏捷』・『火魔法』・『回復』の熟練度が上がっております。」


との事だ。

おそらく黒幕に技術を習得させられたり、訓練をされたりしたのだろう。


「『狂化』というスキルも持っていたんだけどね、発動しかけてしまったので、彼の特殊技術で『狂化』自体を取り去ってしまったんだよ。

 その際にキミの記憶もすこ~し消えちゃったみたいなんだけど、どこまで覚えてるかな。」


「私は魔国を打ち滅ぼす為の連合軍を指揮している最中、飛天族の急襲によって部隊ごと捕らえられました。

 その後、牢屋に居たのですが・・・」


何かを一生懸命に思い出そうとしている。


「・・・思い出しました。

 金髪・碧眼の美女が私に小ぶりの短剣を渡してきたのです。」


「その美女とやらはどんな方だったのかね。」


飛天族は一部を覗いて、皆金髪・碧眼らしい。

その後、特徴を聞いていると、俺の頭には1人の女性の顔が浮かび上がった。


ラスト公を見てみると、どうやら同じ人物が浮かび上がったらしい。


そして、振り絞るような声で、「その女性はラース公と言われていなかったかね。」


と聞くと、エルは


「名前は分かりませんでしたが、回りの方は皆その方にへりくだっていたみたいです。

 身分は相当上の方だったのではないでしょうか。」


と答えた。

日常を書くのが楽しくて、日常回が多くなってしまいましたが、ここから物語が進んでいくと思います。


お読みいただいてありがとうございました。

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