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016 それでも彼は気づかない

「参った。

 君に勝つ事がどんどん難しくなってきた。

 これではもう師と名乗る事は出来ないな。」


木刀で訓練を行うようになって数日。

やはり剣より刀の方が対応力が高い気がする。

お蔭で師匠と良い勝負をする事ができるようになった。

更に鍛錬を重ねた結果、師匠との模擬線では勝率が7割を超える。


「そんな事はありません。

 師匠がいたからこそ、ここまで強くなる事ができたのです。」


「それにしても僅か半月足らずですごい上達振りだな。

 まさか基礎で何度も倒れていた君が、ここまで化けるとは、おそろしい成長振りだ。

 君・・・本当に人族なのかい。」


「ええまぁ、一応人間らしいですよ。」


元々スキルは持っていたから体力がついた事と、慣れた事で動けるようになってきたとは思う。


後は狼王の加護の熟練度が上がってきた事や、色々と付与したスキルのお蔭だろう。


「これだけの強さだ、シン国でも並ぶ者はいないかもしれないな。

 それでだな・・・私を超えた事だし、師匠・弟子の関係から一歩進んだ関係にでも」


「お兄ちゃん遊びに来たよー。」


ミモザが訓練場入り口近くから手を振っている。


以前師匠と出かけて以来、訓練場へよく顔を出すようになった。


勉強の空き時間を見つけては、ここで剣の素振りなどを行うようになっている。


「ミモザ、今師匠と大事な話中なんだ、少し待っててくれないか。

 すみません、話が中断してしまいましたが、続きを聞いてよろしいでしょうか。」


師匠は赤くなった顔で困ったような顔をすると、

「なんでもない。この話はまた今度にする。」

と言って、ミモザの方に振り返ると、


「お嬢様、今日も基礎訓練を行うのですか。」


とミモザの方へ歩いていった。


すでにミモザはラスト公の落とし種で、正式にラスト家の娘として引き取ったと伝えられており、

ミモザ村で俺が助けた為に懐いているので、ある程度気安くしても問題ないとふれ回っている。

その伝手でこそ、人族の俺を勧誘したと公表していることで、ある程度優遇されているらしい。。


「うん、お兄ちゃんに虫がつかないよう、気をつけなくちゃいけないからね。」


「そうですか、ミモザ様はお兄さんが大好きなんですね。まるで本当の兄妹のようです。」


「お姉ちゃんこそ、お兄ちゃんに勝てなくなってきているみたいだけど、大丈夫なの?」


「ええ、彼は恐ろしい速さで成長を続けていますから。

 私も彼のような男性なら、種族の差を越えられるのではと思います。」


「そうなんだ、じゃ私も問題ないよね。」


「いえいえ、ミモザ様はヒロと兄妹ではありませんか。

 兄妹ならそもそも種族の垣根など、関係ないのでは無いでしょうか。」


「ぐ・・・でもお姉ちゃんもすごいよね、こんな短期間にお兄ちゃんを強くする事ができるなんて。」


「いえ私など、ヒロの才能と努力があればこそだと思っておりますよ。」


「いやいや、お姉ちゃんの教え方が上手いからだよ。

 ねっ、お兄ちゃん。」


いきなり話を振られたので、「ああ、そうだな。師匠がいたからこそここまで強くなれたんだと思うよ。」と答える。


褒められて嬉しかったのか、師匠の頬に朱が差したように見える。


「ほら、お兄ちゃんもこう言ってるし、お姉ちゃんが凄いんだよ。」


「ありがとうございます。」


「だ・か・ら、強くなったお兄ちゃんより、他の兵士さんを鍛えないといけないんじゃないかな。」


「いや、まだまだヒロに伝えたい技術や私もヒロと共に強くなりたいから、もうしばらくはつきっきりでいいかと思っております。」


確かに俺はまだ師匠の技術を習得し切れていない。

まだまだ教えていただける事が多そうで楽しみだ。


俺は他の兵士に手合わせを頼まれたので、2人に側を離れる事を伝えて兵士の元へ向かった。


その後も、2人はにっこりと話しをしていた。

数少ない知り合いが仲良くなってくれるのは良い事だ。


この世界に来てからあわただしい日ばかりだったが、こんな穏やかな日が長く続くといい。


-------------------------------------


PCスキルについても、ラスト公やサトリの手助けもあり、かなり活用出来るようになってきた。


志願兵それぞれの特性に合わせて、スキル付与した事により特殊部隊がいくつか出来上がった。


突剣・見切り・敏捷・狼王の加護等を付与した、直接部隊


鉄壁・盾術・回復魔法・狼王の加護を付与した、護衛部隊


各属性魔法・詠唱省略・魔力増大を付与した、魔法部隊


回復魔法・支援魔法・見切り・敏捷・狼王の加護を付与した、前線でも回復活動ができる、回復部隊


隠密・忍び足・暗殺・首切り・狼王の加護を付与した、暗殺部隊


人部隊10~20人だが、ここまでのスキル持ちでの部隊は相当なアドバンテージになるそうだ。


PCスキルは使用数が設定されているのか、1日に10回までしか使えない事や、


付与した兵士は、親族も無く、ラスト公への忠誠を疑う事の無いものだけに留めているので、この人数となった。


・・・というか、暗殺とか聞くからにヤバそうな部隊の情報を知ってていいんだろうか・・・


因みにPCスキルや????はエラーを吐いて誰にもコピーをする事はできませんでした。


師匠への付与を打診した事もあったが、


「削除と違って付与にマイナス面は見られないが、この先何が起こるか分からない。

 キミにとって師匠とは大切な人なんだろう?

 であるならば、今は付与すべきではないと思うがいかがかな。」


まさしくその通りである。


自分にも様々なスキルを付与しておこうかと思ったが、その一言がきっかけとなり付与は行わずにいた。


特殊部隊は専用の演習場で訓練をしているが、軒並み熟練度が2や3に上がっているなど、ハイペースで上がっているようだ。


自分も訓練に参加させて貰った。


訓練は実戦形式で、5人1組 直接部隊×2 護衛部隊×2 魔法部隊×1 回復部隊×1 を基本に人数比を変えること等がある。


「どうしてこうなった・・・」


今、俺の前には4部隊(全体の半数)が臨戦態勢で警戒している。

それに対して、俺の後ろには誰もいない。


俺1人で4部隊を相手にしろという無茶振りだ。


最初は直接部隊の1人として参加していたのだが、俺が倒しすぎたのか他のメンバーの訓練にならないと始まり、

1戦後には前衛が俺1人になり、2戦後にはメンバーが俺1人、3戦後には相手が2部隊になり、4戦目にはこの現状だ。


さすがに無理だろ。と思ったが、訓練だけあって、どれだけの攻撃を受けようがこの部屋の中にいる限りは死ぬ事は無い。

痛いのは嫌だが仕方ない。


開始の合図に合わせて、俺は飛び出す。


まずは1番怖い魔法部隊の攻撃を無効化するために、前衛の隙間を縫って後衛への攻撃を仕掛ける。


前衛が3人、俺の前に立ちふさがるので中央にいる兵士にタックルしつつ木刀で首筋を狙う。


3人共俺の動きについてこられず、まず1人無効化する。


そのまま後衛陣を走りぬけ、5人の魔法部隊を沈静化する。


追いついてきた前衛をいなしつつ、回復部隊5人を個別撃破していく。回復や補助魔法は脅威だからな。

護衛部隊は敏捷を持っているんだから追いついてきてもいいはずだが、装備が重いからか直接部隊より動きが鈍いな。


その後は直接部隊を個別撃破し、残った護衛部隊も撃破していく。


おぉ、結構何とかなったものだ。


今回の訓練で課題が幾つか出たな。この件は後でラスト公へ報告しておこう。


そんな事を考えていると、特殊部隊の隊長が俺に相談してきた。


次は全員でかかってくるとかかな。さすがにそれは俺にも無理だと思うぞ。


と思ったら、なんでも俺が強すぎて訓練にすらならないと、他の兵士から泣きつかれたそうだ。

もっと鍛錬し、訓練できる形になってから参加して欲しいと言われた。

直訳すると「しばらく来るな」と言う事らしい・・・しくしく・・・


因みに暗殺部隊は部隊の性質上、訓練は秘密裏に行っているそうで、さすがに俺でも参加は不可能と言われた。


お読みいただきありがとうございます。


最初はそんなんじゃなかったんですが、かなりの鈍感系男子になりつつあります。

彼女が出来なかったのはこのせいもあるのではないのでしょうか。

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