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013 スキル考察②Inラスト公

ここ最近、起きると体中が痛いのにも慣れてきたなぁ。


相変わらずの筋肉痛である。


多分スキル等で強化されている動きに、元の訛った体がついていっていないんだろうな。


多少は慣れて来た事で騙し騙し体を動かし、ベットから上半身を起こす事に成功する。


「魔王、昨日は良く眠れたかね。

 オレにも事情があったわけだが、昨日はほったらかしにしてすまなかったね~。」

「ラスト様、陛下もお疲れでしょうから、話しかけすぎないようご注意ください。」


2人が部屋に入ってきて、俺の方を見る。

そして固まる。


はて、何かしただろうか。


3秒は固まっていただろうか、世界が動き出すとラスト公が俺のベットにすごい速さで近づいてくる。


「魔王、この子をベットに連れ込むとは何事かね。

 この子はまだ10歳だよ、キミ。

 しかも私の娘と知っていて、それでもベットに連れ込むとは何を考えておるのかね。

 そうか・・・同盟は昨日まで、今日は私と決闘をするということかね。

 ならば獣族の長として、この子の親としてその決闘をうけようじゃぁないか。

 時間はいつが良い。今日か。今か。今すぐここでかい。

 オレはいつでも準備オッケーさ、さぁ、殺し合いの始まりだよ。フフフ」

「お父さん、うるさい。

 あたしはおにいちゃんと寝るの。

 お父さん邪魔だからでてって。」


ラスト公は怖い事になっていたが、ミモザの一声でしゅんとなり、「はい、ごめんなさい」と言って部屋から出て行った。

なんだったんだろう・・・


「と、今日は魔王に聞きたいこともあるし、魔王から私に聞きたいことがあるんじゃないか。

 特別に時間を用意したから、話をしにきたのだよ。」


戻ってきた。

確かにエルの事や、スキルで相談したい事があったので、寝ぼけ眼のミモザを起こし、俺も仕度する。


----------------


医務室の一室に俺、ラスト公、サトリさん、の3人とベットに横たわったエルがいる。


「改めて挨拶しよう。

 オレはこのラスト領を束ね、大公であるラストだ。

 悪いが君を完全に信用する訳にはいかないので、名乗りはしない。」


「私の名は昨日言ったな。

 ラスト様の秘書兼騎士団隊長を務めておる。」


昨日と変わらない2人を見て少しほっとする。


「では俺も。

 同じく名乗りは出来ませんが、『ヒロ』と呼んでください。

 命の恩人であるラースさんに報いるべく、魔王としての仕事を出来る限り行おうとは思っていますが、俺は魔王とか柄ではありません。

 ですので、魔王と呼ばれるより、ヒロと呼んで頂きたいです。」


2人にそう言うと、少し意外そうな顔をされた。


「君は魔王に就こうとしていたのでは無いのかね。」


「俺は元の世界ではただの一般人でした。それがいきなり魔王と呼ばれるには抵抗があります。

 それに魔王は悪の代名詞でした。そんな存在になるつもりはありません。」


どうせ嘘はばれるんだ、きっぱり言っておこう。


「ラスト様」


「大丈夫。昨日スキルを見せたんだ、嘘を言うつもりは無いだろう。目を見れば分かる。」


昨日も思ったが、まさに竹を割ったような人だ。

この人なら信用しても良いかもしれない。


「今日は色々と聞きたい事があったし、この子が目を覚ますのを待ちたい。

 なので医務室で話をする事になるが、気を悪くしないでくれたまえ。」


「いえ、俺もエルには色々と聞きたい事があります。

 その辺では医務室で話をさせてもらうのは俺も好都合です。」


「それは良かった、では簡単な所から聞いても良いかね。」


そう言って色々な話をする事となった。


簡単な所では、俺とラースさんの関係から始まり、改めて今までの行動。

昨日話た以外での細かな所や、ここはどう思った?とか聞かれた。


余談ではあるが、ラストさんから、さんを付けないで欲しいと言われたので、ラストと呼ぶようにしよう。

この世界では敬称は付けないのが普通で、付けられると身分がどうこうとなるらしい。


そして「これは言いたくなければ拒否して貰ってもかまわない。」と前置きして、サトリさんのスキル『展開』について聞かれた。


俺は正直にスキル『PC』の説明をし、『ダウンロード』や『展開』などPCの機能の一部であることを伝え、最後に自分でも良く分かっていない事を伝えた。


これに対し、ラスト公は真剣に考えた上で「実は俺も封印しているスキルがあってな」と言い出した。


話を聞いてみると、2人とも小さな頃から子供の身で使用すると精神に異常を来たしかねない危ういスキルを持っていたそうだ。


そのため、サトリの親でラスト公の乳母であった女性が厳重に封印を掛けた。


例えばサトリの場合、スキル『サトリ』は対象の弱点だけでなく、熟練度が上がれば本性まで見えて来るそうだ。

確かに子供が人の本性を常に目の当たりにしていたら精神が焼き切れてしまうだろう。


ラスト公の方は?と聞くと、何でも危険すぎて教えて貰えなかったと言う。


果たしてどのようなスキルだったのだろう。


サトリの場合、スキル一覧に表示されていたが、○印じゃなく△印だった。

その事を話すと、サトリは「私がスキルを表示した時は○印のスキルのみで、△印は見る事ができなかった。」という。


どうやら封印等で△印になったスキルは本人でも確認する事ができないようだ。


その事をラスト公へ話すと、「そのような固有スキルまで明かして貰ったのなら、私も誠意は見せぬばならんな。」と妙にウキウキしながら名前を教えてくれた。

『ウォルフ・ヴァン・ラスト』

俺は額を当て、『スキル確認』と念じた。


スキル

○突剣  ○獣化  ○風魔法  ○治癒強化  ○結界術  △性欲開放


あー・・・・うん、これは子供にはいろんな意味で駄目なスキルだな。


ラスト公へ話すと目を輝かせたが、サトリがラスト公の後ろから何かぼそぼそと呟くと、途端にラスト公はうなだれ、

「君のPCって能力で消す事とかできないかな。」と言ってきた。


一体2人の間にどんな会話がされたんだろう・・・


でも削除か、PCの中では定番の機能だが、人のスキルを相手に使う事ができるんだろうか。


そうか、PCならヘルプ機能がついているはずだ。


「試してみます。」と言って『ヘルプ』と念じる。

すると、様々な機能が頭の中に並ぶ。

開く・コピー・切り取り・削除・プロバディ

間違いなくPCメニューだ。


『ダウンロード』や『展開』もヘルプに乗っている。


『ダウンロード』は武器や装備に染み込んだ使用者のスキルを自分の物として覚える事ができる。


『展開』は封印や条件を満たしていない為に開放されていないスキルを強制開放する事ができる。

また、対になる存在としてスキルを封印する『圧縮』というものも存在するようだ。


他にも色々と機能があるようだが、基本となるあたりが分かれば十分だろう。



「まだ無理そうか。」

ラスト公が言葉を掛けてくる。

おっと、頼まれごともやっておかないとな。


『性欲開放』・『削除』と念じる。


(スキルを削除すると2度と戻りませんがよろしいでしょうか。【YES】 【NO】)

と表示される。

俺は【YES】と念じる。


するとスキル一覧の中から『△性欲開放』の文字は消え去る。


「どうやら出来たみたいです。」

と答えると、ラスト公はすごく残念そうに、「そうか、ありがとう」と言ってきた。

本当は使ってみたかったんだろうな~とラスト公を見ると、複雑な感情が混じった顔でグーサインを出してきた。



エルが目覚める気配が無いので、ミモザの事も改めて聞いてみた。


彼女はミモザ村の村長の娘で、ラスト公が若い頃、彼の侍女をしていた女性との間に生まれた子だそうだ。



先代のラスト公(父親)は侍女との恋愛は認めず、2人は駆け落ち同然でミモザ村へ落ち着き、彼女の両親である村長宅で暮らしていた。


ラスト公もラストの姓を捨て、若い村長となるべく村の為に尽くしていた。


だが先代はそれを良しとせず、ラスト公は引き戻され、身ごもったばかりの彼女と引き裂かれてしまった。


ミモザ村は税収を納めるのも苦労する貧困な村だった為、村を守る為にもラスト公は領主の後継者となる事にした。

その際、2度と彼女と会わないと誓約をさせられた上で。


その後、色々とした事態があり、彼女は亡くなり、ミモザは村長の下で子供らしく過ごしていた。


先の大戦で先代が亡くなり、領主を継いだが、ミモザには大公の子としてではなく、普通の娘として幸せに暮らして欲しいと、影から彼女を見守っていたようだ。


今回の襲撃により、ミモザの身内が自分ひとりになってしまった事から、ミモザを実子として公表し、大切に育てるつもりだそうだ。


色々とした事態と言うのは、酷く辛そうな顔をしていっていたので、詳しく聞くことは出来なかった。




そんな事を話していると、いつの間にかお昼を大幅に過ぎていた事に気づいた。


ミモザも呼んで皆で昼を取る事にする。



エルはかなりの食いしん坊だった事を思い出して、もしかしたら匂いで起きるのではないかと、特別に医務室の一室で食事を取らせて貰った。

・・・・が、ピクリとも反応しませんでした。

今まで駆け足で旅をしてきたので、ここらで一旦足を止め、自分のことを考える時間になっていきます。

あと何話かそのように進めていく予定です。

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