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011 エルとラスト公とサトリ

一瞬の驚きからすぐに立ち直り、ミモザの方を見る。


ミモザの横に居た兵士は俺ではなく、エルの方へ警戒を表している。


不意をつきミモザを助け出そうと、ラスト公・サトリの方へ警戒した視線を向けると


突き刺したはずのエストックが折れ、エルの手には短剣が握られている。


「一体何が」


サトリが剣を片手に俺の方へ走ってくるのを見て身構えると、


「今すぐその女から離れてください。

 お守りいたします。」


といって俺とエルの間に立ちはだかった。


・・・・・・どういう事だ


サトリがエルを警戒しながら語りかけてくる。

「その女の言葉には、真実が一切含まれておりません。

 おそらく、村の襲撃にも一枚買っているのではないかと思われます。」


エルのほうを見ると、俺に訴えかけてくる


「陛下、どうやら罠にかかったようです。

 この男は何とか抑えます。陛下はその女を片付けてください。」


2人は反対のことを言ってくる。

サトリは俺を守るように立っているが、今の一言で俺の方にも警戒し始めたらしい、


「魔王よ、その女の言葉に騙されてはいけない。」

「どうかラスト様を信じてください。」


「陛下、私は見も心も陛下の物です。隷属魔法もあり私は陛下の為だけに生きております。

 どうか私の言葉を信じてください。」


「ラスト様、これも嘘です。」

「魔王、会って間もない者を信じるのは難しいかもしれない。だが信じて欲しい。」


エルは今まで俺と共に旅して来てくれた。

少し食い意地が張っているが、侍女としてしっかりと俺達の世話をしてくれた。

色々と相談にも乗ってくれたし。俺のためにちょくちょく図書館へ調べ物をしに行ってくれていた。


ラスト公はどうだ。

最初は

「人間だから従わないという理由はないが、力なきものに従う謂れはない

 新魔王とやらから、まったく力を感じることができぬ以上、従う道理はないな」

と言って、すぐに俺の前から去って行った。


今もミモザの事で態度が軟化しているとは言え、あって間もない人間の事だ、

すぐに信じる事は出来ない。


俺は・・・エルを信じる。


決意すると、サトリとラスト公、そしてミモザの横にいる兵士の位置を把握し、まずはミモザを助けようと行動しようとする。


視線に気づいたのか、エルがラスト公へ向け短剣を投げる。

ラスト公は短剣を避けるがその先にサトリが居た。


サトリは短剣を叩き落すが、わずかな隙が生まれた。


ミモザを助ける為に兵士の方へ走ると、兵士はミモザを隠すように立ちふさがる。


兵士の振り下ろす剣を避けると、振り下ろした剣を奪い取り、腹に一撃を入れて兵士を昏倒させる。


「ミモザ大丈夫か。」


剣を構え、ミモザを守るように立つと、サトリが俺のほうへ敵意を向けてくる。


何とかサトリを抑え、エルと一緒にラスト公を倒さなければならない。


サトリがエルの方を注意しつつ、俺の方を向いてきたので、剣を構えようとするが何かに引っかかって剣が持ち上がらない。

視線を向けると、ミモザが右手にしがみついていた。



ミモザは首を振って言った。


「お願いお兄ちゃん、お父さんを信じてあげて。」


・・・・なんですとっ


ラスト公を見る。

あちゃーという顔をしている。


サトリを見る。

俺と同じ、驚いた顔だ。


エルを見る。

隙ができたラスト公へ短剣を投げつける。


ラスト公は短剣を認識し、避けようとするが初動が遅れたためか完全には避けられず、短剣は太ももをかすって後ろへ飛ぶ。


その軌道先にはサトリとミモザが居る。


サトリは後ろをチラッと確認すると、短剣を叩き落す。

今サトリはミモザを確認して短剣を叩き落した。

もし・・・落とさなかった場合、ミモザに短剣は突き刺さっていた。


ラスト公は今の動きを見ていたのだろうか。

「サトリ、魔王に全てを話してかまわん。なんとしても助力を得るんだ。」


サトリも何かを決断したのか、俺に向けていた殺気を消し俺に近づいてくる。

「陛下、私の名はエーティア・サトリ・クラウゼン。私のスキル確認を行ってください。」


スキル確認・・・・ってどうやるんだ。


「私と額を合わせ、スキル確認と念じてください。」


言われたとおり、サトリに額を合わせ『スキル確認』と念じてみる。


頭の中に文字の羅列が浮かぶ。


「文字が浮かぶと思うので、それを口に出して読んでください。それが詠唱となります。」


この羅列が詠唱?


「剣術・・・秘書官・・・」


「ちょっ、なんで詠唱なしで使えているんですか。・・・今は時間が有りません。私のスキルの詳細と念じれば詳細が表示されますので、確認してください。」


スキル構成はっと

○剣術  ○秘書  ○火魔法  △サトリ  ○審議官  ○料理  ○裁縫  ○洗濯  


詳細って念じればいいのか。


剣術や秘書とかは分かる。火魔法とサトリと審議官の詳細を見ればいいのかな。


むんっ、詳細でろっ


(エラーが発生しました。サトリは展開されていないファイルとなります。

 詳細を確認するにはファイルを展開してください。)


どういうことだ?


「まだですか。」


「えっと、確認すればいいんだよね。」


「そうです。早く確認してください。」


じゃ、改めて念じてみよう。『展開』っと


(ファイルの展開を開始します。

 ・・・展開が完了されました。

 スキルネーム『サトリ』の発動を確認いたしました。)


ふんふん

○火魔法-火属性の魔法使用可能 熟練度 5

○サトリ-極単純な思考を見破る。 熟練度 1

○審議官-嘘を見破る。 熟練度 10

なるほど、審議官スキルのことを言いたかったのか。


納得していると、サトリが飛び退く

「一体何をしたのですか。」


何と言っても、言われたままにスキルを確認したんだが、何かいけなかっただろうか。

「サトリ、何があった。」

エルと交戦中のラスト公が確認を求める。


「母に封印されていたスキルが・・・使用可能になりました。」


どうやら、やらかしたようだ。


「それは良かったな。だが、今は戦闘中だ。集中をきらすんじゃない。」


ラスト公は全身に切り傷を負っている。

深い傷は見当たらないが、対照的にエルはまったく傷を負っていない。

2人の切り合いを見る限りでは、ラスト公の動きの方がエルを上回っているように見える。

一体何が起こっているのか・・・


隣にいたサトリからは呆れた様な声が聞こえる。

「ラスト様、またいつもの病気ですか・・・」


「病気とは何だ。美しい女性に傷をつけると言う紳士にあるまじき行為、できない方が当たり前なのだぞ。」


・・・え~と、病気だなそれは


「俺が言うのもなんですが、命がかかっているのにそれはどうかと思います。

 ですが、エルを殺さずにいてくれるのには感謝いたします。

 俺はきちんとエルに聞きたい事があります。」


「ならば魔王よ、共同戦線と行こうではないか。

 手伝ってくれるのなら、無傷とはいかないまでも、捕らえる事は容易になるだろう。」


「ならばラスト様、貴方はミモザの護衛をお願いします。

 女性相手に剣を振るえず、そのエストックが使えない今ではただの役立たずです。」


「ぐっ、だがその通りだすまない。

 だが、敵とは言え命まで奪う事は許さないからな。」


「はぁ~。分かっております。

 陛下、行きますよ。」


俺は兵士から奪った剣を構えるとエルに切りかかっていった。


エルは俺との距離を確認すると、何事かぶつぶつと呟く。

詠唱か


『フレイムアロー』


力ある言葉が聞こえる。


俺は火の矢が来る事を予想し、いつでも振り払えるよう気を配るが火の矢の気配がない。


「ここは魔封じの結界の中です。

 魔法はすぐに霧散するので、気にせず攻撃に移ってください。」


サトリに言われ、刃を横にしつつエルに切りかかる。

エルは剣をかわしつつ短剣を放ってくる。

短剣を叩き落すと、サトリがエルの横から切りかかるが、いつの間にか手にしていた短剣で防ぐ。


叩き落した短剣を拾って投げようとするが、さきほど落ちたはずの短剣が無い。

どのような手段を使ったのか分からないが、1本の短剣を投擲してすぐに手元に戻す事ができるようだ。


俺の横に立ってサトリが呟いてくる。


「あの短剣、おかしいとは思わないか。」


「ええ、投擲してもすぐに手に戻っています。

 そんな武器があるのですか?」


「少なくとも私は聞いた事は無い。」


サトリは何かに気づいたように考え込んだ後、


「・・・少し時間を稼いでくれ。」


「何か考えがあるんですね。分かりました。」


俺はうなずくと、時間を稼ぐ為に再度エルに切りかかっていく。

後ろから歌うようなメロディーで詠唱が聞こえる。

澄んだ歌声が聞こえる中、エルは標的をサトリに切り替えたのか、俺を飛び越えてサトリに向かおうとする。

いなしてエルをサトリに近づけないようにするが、今まで聞いた詠唱とは違ってかなり長い・・・


何度か攻撃をいなした後、後ろから力有る言葉が聞こえる。

『サーチアイ』


「判明しました。彼女の魔力は短剣から発せられています。

 短剣を破壊すれば事態は変わるでしょう。」


何かの魔法?(魔封じの結界内と言っていたから違うか)を使ったらしい。



ラース公がサトリの側に移動するのが気配で分かる。


「短剣を狙うだけなら、オレにもいける。サトリはミモザの護衛に戻れ。

 あとサトリ、今夜覚悟しておくように・・・・『獣化』」


エルと剣戟を打ち合い、息を整える為に間を取る。


その間に体長3メートルはある銀色の狼が飛び入ってきた。


「すぐに済むから待ってな。」


銀色の光が一閃すると、エルの手から短剣が消えており、少し離れた所に銀狼が短剣を咥え、佇んでいた。


「今度こそチェックメイトだ。」


そして、銀狼が短剣を噛み砕いた。



お読み頂ききありがとうございました。

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