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102 決意

「現在の人族は、大きく2つに分かれております。


 魔王の崩御に追い討ちをかけ、魔国を滅ぼそうとしている勢力。

 これはフレイムスフィア国と教会が属しております。

 

 次に、真実を知り、魔獣を押さえて貰う為にも新たな魔王を必要とする勢力。

 アースガル国、ウィンディア国、アクアライト国の教会に属していない者がこちらの勢力です。」


リアーサが口を挟む。


「真実と言うのは、先ほど私達が聞いた全てですか?」


ラファさんはリアーサの問いに微笑んで答える。


「ええ、全てです。

 私という存在が有りましたし、アクアライトにも天災が封じられていると伝えられておりました。」


ラファさんの視線がエルへ向く。


「その天災って・・・」


その視線を追ってつい口をついてしまったが、エルは気にするそぶりも無い。


「ええ、彼女の事よ。

 どうやら、私と同じように自我を得ることで呪縛から解き放たれていますので、天災ではなくなりましたけれどね。」


ラファさんがウィンクする。

エルはちょっと気まずそうにするが、俺の視線に気付くと微笑み返してきた。

ラファさんの話は続く。


「それに、魔王崩御後に突如暴れだした魔獣。

 挙動のおかしくなった教会。

 魔国だけでなく、他国をも飲み込もうと軍事侵略を繰り返すフレイムスフィア。

 

 全ての繋がりが見えてくれば、誰もが反論しませんでしたわ。」


自嘲気味に笑う。


・・・ってちょっとまて?


ラース公と対立する為に、同盟を組む話になっているんだよな?

アリシアの話通りなら、魔獣の制御をするためには俺が力を使いこなさないといけない訳で・・・ラファさん達の国は魔獣を制御して貰いたい・・・

・・・うん、このあたりは利害関係が一致している。


でも、手を組む=フレイムスフィアとも敵対しなければならない・・・という事になるんじゃないか?

そうなると3すくみ状態になる・・・


それなら魔族は脅威じゃない事をフレイムスフィアに理解して貰って協力した方が?


いや、それだと人族の3国とフレイムスフィアの対立が問題になるのか・・・


「このような話をすると、ラース公の率いる魔国軍、フレイムスフィアの軍隊、この2つがぶつかり合い疲弊した所を突けばいいと思うかもしれません。

 ですが、そのような事はありませんわ。」


・・・まだ話の途中だった。

全部聞いてから考察しないといけない。


「フレイムスフィアと魔国はつながっておりますから。」


・・・っは?


「やはり・・・」


ラリーもラファさんの話を聞きながらぶつぶつと呟いている。


「ちょっ・・・ちょっと!!


 フレイムスフィアと教会って、魔国を滅ぼそうと掲げているし、実際何度も攻め込んできているんだよね?」


俺の質問にはラファさんで無く、アリシアが口を開く。


「うむ、我等がここで暗躍しておるように、残った2人の天使も暗躍しておる。

 1人はラース公、そしてもう1人は・・・


 現在のフレイムスフィア王、リエルだ。


 2人は決着をつけるため、邪魔となる存在・・・我やこの2人、そして自分の意に沿って動かない手駒を処分する為に裏で結託している。


 他の全てを滅ぼし、最後に2人で決着をつけるつもりでいるようだ。


 抗争は行っているが、それよりも優先して潰すものがある・・・という所か?

 ・・・いってみれば、我等は2人の勝負にちゃちゃをいれるハエのような存在じゃな。」


アリシアは笑っているが・・・素直にはいそうですかという訳には行かない・・・


「随分不服そうですね。

 ハエ扱いはお嫌でしたか?」


ラファさんまで楽しそうに話かけてくる。


「もちろんです・・・


 どっちが上か決める。たかがそんなことの為に、多くの命有る人たちをコマのように扱っていただなんて・・・良い訳ありません!!

 ゲームじゃないんです!!命を奪われていく人たちが大勢いいるんですよ!!


 俺は・・・そんなこと絶対に許せない・・・」


ドラゴさん・・・プライド領の兵士さん達・・・ラリーが先手を打ってくれたから助かっていたけど、ミモザ村の皆も巻き込まれていた・・・

それに今も戦場で散っていく命たち・・・


たかが競争の為に使われていいものじゃない!!



「あら・・・?先ほどまでの覇気の無さとは雲泥の差ですね。

 彼はこういう方でしたの?」


「ええ、ヒロ様は自分よりも他人のことを大事にする方です。」


「確かに・・・誰かの為の時こそ力を発揮するタイプだな。」


「ですので、ヒロ様は今回もきっと・・・」


「うむ。」


「ふふふ、面白い方ですのね。

 ・・・ですが、確かにトップに立つ性格ではありませんわね。」


「ですが、人は惹きつけられますよ?」


「お主の様にの?」


「・・・アリシア、怒りますよ?」


「はっはっは、すまぬすまぬ。」


「ふふふ、本気で娘を焚き付けさせようかしら。」



・・・えっと、聞こえてるんだが言うべきだろうか?

なんか気合が抜けてきた・・・


「つまり、ヒロ君はアリシア様のおっしゃる通りに人族の同盟と共に戦う・・・と言う事でいいんだね?」


ラリーの言葉に全員の視線が集まる。


「まぁ・・・俺に何が出来るか判らないけどね?」


俺の答えをじっくりと噛み砕くように、ラリーは目を瞑って俯いた。


「よしっ!!

 ならば、改めて臣下の礼をとろうじゃないか!!

 ヒロ君・・・いや、堕天ヒロ様!!我等スロウス領はヒロ様の下に降りましょう。

 

 ラース公との決戦の折には影から日向からお力になります!!」


目を開くと俺に向かって片膝をつき、頭を下げてくる。


「えっ!?

 ちょっとラリー?」


ラリーに習ってリアーサ、それにアーチャも膝をつく。


「ちょっと2人とも?」


俺は慌てて止めさせようとするが手を取られる。


手をとったのはラリー。

俺に微笑みながら首を振ってくる。

・・・止めるなってことか?


「私は主であるスロウス公の側近。

 ならば!!私もヒロ様の為、力を振るいましょう。」


「えっと・・・

 私は何の力も無いですけど、グリトニー家の一員としてヒロ様の力にならせてください!!」


「皆・・・」


ラリーが、リアーサが、アーチャが、俺に期待してくれている・・・


「ヒロ様、もちろん私達もお忘れ無いでしょうね?」


スマホからはエルの声が聞こえてくる。


「もちろん私も、ミーアも、・・・グリード公もラスト公も貴方の味方です。

 貴方が立つのであれば、私達は精一杯力を貸しましょう。」


「エル・・・」


「我はこの身だ、余り期待しないようにな。」


「アリシア・・・」


「ふふふ、人が惹き付けられると言うのもあながち嘘ではないかもしれませんね。

 人の上に立つ器ではないかもしれませんが、共に並んで行きたい・・・そう思ってしまいましたわ。


 我等3ヶ国はヒロ君につきます。

 戻ってから他国を説得する事になりますが、必ずつかせて見せますわ。


 ですので、それまでにヒロ君は魔獣を操る術を身につけてください。


 これは最低限の条件です。よろしいですわね?」


「ラファさん・・・

 判りました。

 必ず身につけます!!」


俺はスマホに向かって頭を下げる。


「ふふ、いい顔です。

 ・・・亡くなったあの人を思い出しますわ。


 それではアリシア、私はこの辺で失礼いたします。

 また後日、決戦の為に連絡を入れますわ。」


ラファさんの言葉にアリシアは笑顔で頷く。


「ああ、よろしく頼む。」


「アリシア様、私もこの件をみんなに伝え、準備を整えるようにします。

 ヒロ様、今しばらく修行で家に戻らない日が続くと思いますが、いつでも心は貴方と共にあります。


 ・・・では、短い間ですが失礼します。」


「エル、そちらも頼んだぞ。」


アリシアがエルに何かを手渡す。


「・・・これは?」


「ラファには渡してあるが、私の魂の欠片だ。

 緊急時はこれを使って連絡してくれ。」


「判りました。」


エルは大事に胸元にしまうと、優雅に頭を下げる。


「それでは失礼いたします。」

「私もご一緒に・・・」


一瞬スマホの画面が光ったと思うと、画面の中から2人の姿が消えていた。


「と言う事でヒロ、我の持っていた知識を全て伝授してやる。

 時間は無い。必ずモノにするのだぞ!!」


アリシアは真剣だ。

堕天の力を使いこなす・・・この巨大な力を当たり前のように使いこなさないといけない・・・


「ああ、よろしく頼む。」


俺はアリシアへと頭を下げた。

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