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096 アリシアの独白 ①

「今から話す事は、嘘・偽りのない真実だ。

 ・・・良いな?」


アリシアの目は真剣だ。


「・・・判った。」


喉が渇く・・・

辺り一帯の緊張が空気に伝わり、水分を失ったかのようだ・・・


「アリシア様、僕達も一緒に居て良いのですか?」


ラリーが畏まって確認する。


「うむ。

 それにアーチャ・リアーサ、ヒロと共に進むのであろう?

 ならば、お主達もこの先の戦いに備え、力を蓄えぬばならぬ。


 他の仲間達もすで準備に移っている。

 これからどう動くか考える為に、全てを知るべきだ。」


その言葉にリアーサとアーチャが頷く。


「判りました。

 スロウス領、領主補佐としてしっかりと聞かせていただきます。」


「私は何も出来ませんが、ヒロ様のお力になれるのであれば。」


2人の真剣な顔を見ると、アリシアは満足そうに微笑む。


「まず、我の事から改めて話そう。



 私の名はアリシア。

 このシン国を作り上げ、長く見守ってきた者だ。」


表情と雰囲気が変わる。

口調も今までと違っている。


「そして、私の種族は【堕天使】

 神の力を授かった飛天族・・・だった。」


その言葉には俺より、ラリーやリアーサの驚きが大きい。


「まさか・・・伝承は本当だったのですね・・・」


「アリシア様、やはりそうだったのですね。」


リアーサは本当に初耳のようだが、ラリーは漠然と知っていたのだろうか。

アリシアは笑うとラリーへ向き直る。


「ラリーよ、ある程度知っているようだな?」


「ええ、精霊は全ての事象であれば知っております。」


「ならば、シン国が出来る前についても知っているか?」


「はい。

 その頃は魔も人も区別されておらず、種族ごとに群れを作り、絶えず小競り合いが続いていたと聞いております。」


「その通りだ。

 小競り合いの中で滅んだ種も居る。

 ハーピー・サキュバス・ラミア・・・

 それ以外にも、多くの種が滅んだ。」


「我等、エルフ族も危うかったと・・・」


「そうだな。

 エルフだけでなく、人やその他多くの種族も危うい所まで行った。」


その言葉にラリーは驚く。


「人も・・・ですか?」


「ああ。

 その様子だと聞いていなかったか。

 今の繁栄振りからは想像できないだろう?」


「ええ。」


「だが、事実だ。

 いくつもの種が滅び、多くの種が滅びかけた。」


アリシアの目は遠い何かを見つめている。 


「神は哀れみから地上を救おうと、様々な手を尽くした。

 だが、全ては徒労に終わった。

 

 地上の生物へ、神託を送ろうとも耳を寄せる者がいない。

 自らが顕現しようとしても、力が大きすぎる為か、顕現する事が出来なかった。

 

 だが・・・それでも神は顕現しようとしたのだ。

 無理に地上へ降りようとした結果、神の体は砕け散った。


 そして、その砕け散った体は世界を漂う概念となった。

 その概念を受け取って産まれたのが私だ。


 私の母も父も天族だった。

 だが、私は生まれたとき、飛天族に似つかわしくない黒い翼と恐ろしいほどの魔力を持って産まれた。

 そして莫大な力と【地上を救う】という気持ち、神の記憶が刻まれていた。


 だが、黒い翼の私を回りの大人達は変わらずに育ててくれた。

 そして、成人を迎えた15の年、神の記憶が蘇った。


 私はそれまで育ててくれた両親に感謝すると共に、神の写し身として世界を救おうと行動した。

 だが、所詮1人の少女であった私には何も出来なかった。


 そんな私に最初に手を差し出してくれたのは"竜族"と"飛天族"の長だ。


 元々私の父であった飛天族の長と、親交深い竜族の長は私の理想を許容してくれたのだ。


 2つの種族は共に手を取り合い、群れを統合し、国へと変わっていった。

 国主は竜族の長と飛天族の長、2人が並び立ち善政を敷いた。


 その内に獣族・不死族・エルフ族・ドワーフ族・水棲族も合流し、シン国の原型となった。


 つかの間だったが、平和な時が続いたよ。」


一息つくと、アリシアは遠い目をする。


「シン国が出来てから百数十年後だろうか・・・


 私は神の力で不老不死になったが、父や友人達はそうは行かない。

 多くの者を看取って行った私は、国の裏から相談を受けるだけの存在と成っていた。


 そして、シン国の繁栄を真似るように、他にも繁栄する種族が出現した。


 滅びかけていた人族が、爆発的に個体数を増やし、国を作ったのだ。

 それだけなら問題は無い。

 減っていた数が増え始めたのだから喜ばしい事だろう。


 ただし・・・国の乱立さえなければな・・・


 人族は他の種族に比べ、短い寿命だ。

 だからか、競争心が異常に強かった。


 他の種族の群れに少数の人族が入り込み、群れをのっとり国を作ると言う事が良く起こった。 

 民となる種族が違うのだ。


 乱立された国は主張が違えば、思想も違う。

 そのくせ気概だけは大きくなる。

 些細な理由から戦争が起こるようになった。


 多くの国々が開戦する中、シン国だけが平和で居られるはずもなかった。


 それでも私は平和を叫んだ。


 その時の国王は私の意見を主張し、開戦を否定していた。」


そこまで言うと、言葉が途切れる。

だが、決心したのか、振り絞るように声を出す。


「・・・だが、暗殺された。

 犯人が特定されないにもかかわらず、何故か国中には人族の仕業と噂が立った。


 憎しみが憎しみを呼び、国中は開戦ムードとなった。


 私はそれでも戦争の恐ろしさ、愚かさを語った。

 だが、平和に慣れきったシン国の人たちには戦争の本当の恐ろしさは伝わらなかったのだろう。


 私の声空しく、新しい王は戦争に踏み切った・・・

 幾度と無く戦争が起こり、シン国も多くの国を蹂躙し吸収する事となった。」


節目がちに地面を見下ろすと、椅子に座る。

そしてテーブルに載っていたティーポッドからカップへ茶を注ぐと、一気に呷る。

・・・大切な話中に思うのもだが、スマホの中でわざわざ表現しなくともと思ってしまう。


「そして何十年と戦争が続く内、私は気付いた・・・

 私のように、他にも神の力をその見に宿したものが居た事を。


 そして、その者達を中心に戦争が起こっていた事を・・・


 気付いた時はすでに遅く、小さな国や群れはすでに蹂躙の後だった。

 残っていた国は5つ・・・


 我が「シン」、そして「ウィンディア」・「フレイムスフィア」・「アクアライト」・「アースガル」だ。


 その全てに、我と同じように中枢に入り込んでいるが、正体は分からず年を取らない者が居た。


 ある日、その内の1人と会う機会があった・・・


 そしてこう言われたよ・・・


 『このゲーム、君が一番有利だったけど、やっと追いついた。

 早いうちに巻き返して、一番になるから。』とな。


 その言葉を聞いて、驚いた。

 そして聞き返したのだ。

 『平和を求め、力を授かったのではないのか?』と。


 だが、奴は楽しそうに


 『君は聞いていないのかい?

  僕を含め、他の4人は神から新しい命令を受けたんだよ。


  "誰が一番の国が作れるか競争だ。"ってね。』


 と言った。


 それが本当かどうかは判らない。

 受け継がれた記憶では、神は砕け散ったはずだ。

 何故、その神から新しい命令が下るのか?


 だが、4人は間違いなく1番を競って動いていた。

 互いに牽制しあい、隙あらば戦争を仕掛ける。

 そんな緊張状態が続いていた。



 ・・・だが、私は許せなかった。

 どのような理由があるのかは分からない。

 本当に神かも知れない。

 でも戦争を嘆いた気持ちは間違い無いものだった。

 

 誰が1番など、くだらない!!

 戦争など、許してはならないのだ!!

 

 だが・・・

 戦争を止めようと様々な手を用いたが、止めることは出来なかった。


 すでにシン国の中で、私の地位などあってないものだった上、反戦を訴える力ある者など邪魔でしかないからな。


 それに憎しみの連鎖は強い・・・

 どの国も引き返せなくなっていたのだ。

 

 そんなある日、シン国の王が私の元を尋ねてきた。

 『戦争を止めるのに力を貸そう。』と言ってな。


 私は疲れていたのだろうな。

 求められるままに力を使った。


 『争いを止められないのであれば、全てにおいて最優先排除しなければならない脅威を作ればよいのではないか。』

 という甘言にも乗った。」


アリシアの言葉が震えている。

その目は酷く暗い・・・


「その言葉に光明を得た。

 疲れ切った頭は、マトモな思考すら出来なかったようだ。


 作り上げてしまったのだよ・・・


 全ての脅威たる存在《魔獣》を。」


「「「「「!?」」」」」


その独白に全員が息を飲むのが分かった。

魔獣をアリシアが作った・・・

その言葉にショックを受けない者などいなかった。


だが、アリシアの言葉は続く 

最近筆が進まなくて申し訳ありません。

続けて書いて行きますので、よろしくお願いします。


また、申し訳ないのですが、感想を登録ユーザーからのみに戻させていただきます。

ご意見いただけるかな?と思って広く間口を広げましたが、逆に書けなくなって来ましたので(汗)。

出来れば、つまらない、面白くないだけでなく、どうすれば良いかの意見も併せていただけると、もう少し真摯に受け止められると思います。

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