Thank you
最終回です。
「わたしも、好きだよ..祈」
「ずっと気づかなくてごめん..湖乃実の気持ちに..」
わたしは一生懸命首を左右に振った。
祈がこんなにもわたしに近い存在になれると思っていなかった。
今にも大好きと叫びたいくらい。
「わたし..ずっと..祈が好きだったの」
「マジ?」
「マジ」
わたしと祈は笑っている。
おでことおでこを合わせて、10秒間ずっと目をつぶっていた。
たぶん、シルエットはキスしているように見えるのだろう。
「ごめんなさいっ!」
「どうして、謝るの?」
「わたし、祈のこと..少し疑ってた」
女好きという噂があった祈は、わたしからすると少し嫌いと思ったことだってある。
そんなわたしの感情は、バカだ。
大好き。
大大好き。
言葉にいえないくらい、好きな気持ちがあふれてくる。
「祈が好き!」
「..何だよ、いきなり」
「だって、嬉しいんだもん!」
デレデレしていると、わたしの携帯に電話が掛かってくる。
「もしもし?」
(実は、瑛花が.....)
「?」
わたしと祈が向かった先は、わたしたちが過ごしたあの高校だった。
委員会室という教室に向かってくれと言われ、急いで向かった。
ガチャっとドアをあけて、入ると人生で一番驚いた。
だって..
「瑛花.....?」
瑛花が生きている。
「あ、あのね..湖乃実、葬式とかああいうの全部..計画で行われたウソみたい..」
小さな声で葵がわたしの耳元で呟いた。
「どういうこと?」
「瑛花の母親がこれまでいじめた人への復讐として..計画してたみたいなの..」
初めてだ。
こんなに大きなウソ。
時間の無駄。
絶対にありえない。
「昼間はここで生活、夜は隙を見て、自分の家で寝泊りしてたみたいだってさ」
「...こんなの、許されることじゃないじゃん」
みんながそう思うだろう。
だって、いろんな人が悲しんだ。
苦しんだ。
涙を流した。
「皆さん.....すみません..すみません..」
1年のときの明るい女子たちのグループたちが、
「こんなの許されないよ」
「あんた、最低だね」
「もう無理、あんたと関わっていられない」
わたしと葵たちは思った。
これは、許されるとか..そういう問題じゃないと。
わたしたちに対するSOSだと。
「冬月さん」
水嶋先輩が自分の上着を瑛花の頭に被せて、教室を出て行った。
その後も、グループの女子たちは
「ホント、水嶋先輩がいるからって、調子乗ってるよね」
「前からおかしいと思った。最低だよね」
「じゃあ..」
小さな声で話しているということは、周囲に聞かれたらダメなようなことを話しているのだろう」
「祈くんとの子供っていうのも..ウソかな?」
「さぁ?」
その小さな声で話していた話を聞いて、葵はこう言った。
「実はさ、祈くんと二人の子供は、堕ろしてたみたいだよ..」
「そ、そうなんだ..」
数時間後。
「わたしは........皆さんとずっと...友達になりたかった...」
学校のアナウンスから声が聞こえる。
気づいた人たちは、静かに耳を澄ましている。
「友達のように..扱ってくれたのは...川原さんだけでした....」
一斉にわたしの顔を見るみんな。
「ずっと返せなかった。男子にいじめられていたときのハンカチ」
全部全部出てくる。
悲しいエピソード。
「でも言いたかったんです。この言葉だけは」
わたしは泣いた。
泣いて、泣いて、泣きまくった。
「ありがとう」
葵も泣いている。
果奈も。
今までいじめていた男子たちも全員。
みんなが昔のことを思い出して泣いている。
「そして、水嶋先輩。大切な時間を..支えていてくれて、ありがとうございました」
水嶋先輩は、静かに瑛花を抱きしめた。
これは、好きという感情じゃない。
思いやりの気持ちだ。
「わたしのことが嫌いでも、わたしはみんなが大好きです」
「大好きなんて、簡単に言っちゃダメだよ」
思わずわたしは言ってしまった。
瑛花にはもっと合う言葉があったことを思い出した。
「大好きなんかじゃない、瑛花は最高の..仲間だよ」
そう言うと、
「そーだよ。瑛花..仲間」
「あたしも大好きだなー本当は、瑛花が羨ましかったのかも..あたし」
「バカだな。もっと早くからあたしたちに声をかければよかったのに」
みんなが瑛花の周りに集まった。
肩をトンと叩いて、励ましたり。
そんな時間が続いた。
「よかったな..冬月瑛花」
祈がわたしの隣で笑っていた。
「そうだね」
「瑛花のありがとう、心に沁みた」
「わたしも。すっごく感動した」
何か変な空気になった。
「お前、ホントに思ってるか?瑛花のこと」
「思ってますぅー!それが何か?」
「ウソっぽい」
「ホント」
「ウソだ」
ふざけたことも、今は幸せ。
いつもの変わらない毎日が、幸せに思えてきた。
この再会が、瑛花とまた、新しく出会えた鍵だったのかもしれない。
「再会は..すべて鍵だった..ってことか」
「それ、葵の曲だろ?」
「そうだよ?あれ?葵が曲作ってたの知ってたの?」
再会はすべて、鍵だった。
END
ごちゃごちゃしてて、見づらかったかもしれませんが、これでENDです。
次の作品も、計画済みです。
新しい作品までお待ちください。




