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短編集

忘れた愛

作者:

折角のバレンタインに甘さのカケラもない話で申し訳ありません……。

『愛してる』


うそつき。


『君だけを』


おおうそつき。


『永遠に愛してる』


あなたの愛なんて一晩寝て起きたらさっぱり忘れるほど薄く軽いものだったよ。


『・・・結婚?なんの話だ?』


忘れたのは別にいい。ライラックは彼を愛してなかったし、正直彼の自分への執着に異常性まで感じ始めていた所だ。


彼に仕える人達は身分もなければ美しくもない自分との結婚に猛反対していた。ライラック自身もあの手この手で逃げようとし、周囲は結婚の邪魔をしたが彼はそれら全てをかわし、叩き潰した。段々と形になってくる結婚の文字にライラックが恐怖し始めたとある日。           目覚めた彼からライラックの記憶が消え去っていた。                    他の記憶に影響はない。原因は不明。だが、彼が覚えていないということは結婚話は流れたということと同義だ。    ライラックも周囲も「やれやれ」と安堵した。

迅速かつ彼の目につかぬうちにさっさと出ていこうとしたライラックだったが・・・彼の異常性をすっかり忘れていた。


人の意思を無視して拉致監禁、結婚を断行しょうとした男がライラックに逃亡防止策を施してないわけがなかった。

彼という人間をとことん甘くみすぎていた。あいつはそこまでやるか!ということを平気でやる男だった。                  「それじゃあ!」

晴れ晴れとした笑顔で敷地の外に一歩足を踏み出した途端。

「うぎゃぁぁ!!」

身体中に走る激痛にライラックはその場に顔から倒れた。


いつの間にやら付けられた呪いにより彼の許可無くして敷地外に出ることは叶わず、しかも解けるのは彼しかいないという厄介な状況にライラックは本気で頭を抱えた。

彼とは記憶を無くした後、顔を合わしていない。

……会ったら再び執着されるか、記憶を執念で復活させるか……そんな確信めいた予感がライラックだけでなく周囲の人達の胸にも浮かんだ。だから記憶喪失の話しを聞いたライラックは彼に無理矢理与えられていた正妻用の部屋を即座に退出し、決して彼の目に付かないように下働きが暮らす部屋に移り、長かった髪をバッサリ切り落とし、男の下働きの恰好をした。


そして、周囲の協力の元晴れて自由になれるはずが、あの仕打ちであった。


ライラックはキレた。


「あの、変態腹黒ストーカー野郎がぁ〜〜〜!!」


一人の少女の魂の叫びは憎らしいほど明るい青空に吸い込まれた。


忘れられたが逃げられない少女と忘れたが彼女を知らぬ間に束縛し続ける男。


はてさて二人の結末は?


「ぜったいに逃げてやる〜〜〜〜!」



パッピ−エンド?それともバットエンド?



この後、きっと必死に男から隠れるライラックと記憶がないくせに本能でライラックの周囲に出没して彼女の肝を冷やし続ける男の姿が見られます。


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