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地獄行きは嫌なので神界の社畜になりました~福利厚生を使い倒して異世界出張旅を満喫します  作者: 月渚


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9. 守護神ルミナリア

 

 王都には、王城の近くに神殿があるが、他にも何ヶ所か教会があるらしい。


 私は貴族街から近い教会にやってきた。

 ここの休日の礼拝は富裕層の平民と貴族のちょっとした交流の場になっている。



「誰を祀ってるんだろう?」


 中に入ってキョロキョロしていると一人の修道女が近寄ってきた。彼女の手の甲にも光が見える。


「ようこそ。どちらからいらしたのですか?」


「あ、あぁ、ウェストファリアです」


「そうですか。お忙しい中ありがとうごさいます」


 私は袋に入れたお布施を彼女に渡した。


「こちらの教会はどなたを祀っているのですか?」


「ノルン王国の守護神ルミナリア様でございます」


 礼拝堂の正面に美しい女性の像があるが……


 はて? こんな神様居ただろうか?

 神様だけじゃなく、神様補にも居なかったような?


「あの、失礼ですがシスターのご出身はどちらなのですか」

「イドルムです」


 あー、そういうことね。

 なるほど! と納得した顔を向けると


「寄付金の領収書は切っておきますね」


 小声で囁いてパチリとウィンクする。


「あなたに神の御加護がありますように」


 確かに加護は彼女の担当じゃないな。



 その後は目立たぬように謎の神様に礼拝したり、社交をしながら貴族や商人、同業者以外のシスターにも古竜の噂話を聞いて回って、仕事っぽいことを一応してから教会を後にした。



 外に出るとグレスが空から肩に着地する。

「あー、お腹空いた」


「収穫はあったのか?」

「無いわね。王都では元々期待してなかったしね。あー、そういえば偶像神様のとこの人が潜入してたわ」

「なるほどな、この国は代々信仰心が強すぎてねじ曲がったのだろうな」


 偶像神様は、人間が作り出した神に関する仕事をされている。


 実在する神を祀っている神殿や教会はその補佐たちが守護しているが、

 実在しない神の教会は偶像神様の補佐たちが常に監視している。


 ノルン王国の人々は必死に教会に通って存在しない神に祈りを捧げているのだ。


 まっ、鰯の頭も信心から……って言うしね。




 少し夕飯には早いけど、せっかくだから王都の名物料理とか食べたいよねー。


 朝は屋台で色々食べたから、夜は高級店に行こうと思う。せっかく服装は富裕層だしね!



白金(プラチナ)亭』


 宿でオススメしてもらって予約までしてくれた王都で一番の高級レストランだそうだ。楽しみで堪らない!





【メニュー】

 当店自慢のおすすめ

 ・水晶ナメクジのテリーヌ


 ・グリフォンの炉焼き香草添え


 ・ドラゴンテールのシチュー


 ・光苔と虫粉のパン


 ・白蟻女王のプリン


「…………」



「えっと、ルーナ豆のグラタンと白パンをお願いします」


 数ヶ月前まで日本人だった私は、どの世界のどの国民よりも食べ物に対する冒険心と勇気が足りない。

 まだ無理っ!



「小金貨八枚でございます」


 夕べのハンバーグは銀貨一枚だったのに……

 小金貨八枚、日本円で約八万円を涙をこらえた笑顔で支払った。




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