13. 境界神
私たちは神界提携教会?
そんな呼び方でいいのか?
よくわからないからいいか。
まぁ、とにかく教会で食事中だ。
海鮮丼もクリームソーダも美味しい。
クリームソーダ、私は一番初めにアイスを三分の二ほど食べてしまう。
その後メロンソーダを半分くらい飲んだら、残ってるアイスを溶かす。
この、アイスを混ぜるタイミングは人それぞれ黄金比がある。
完璧だ。
クリームソーダは今日も美味い。
美味しい海鮮丼とお寿司は永遠に飽きない。
さすがに神界。
新鮮でお魚の味はそれぞれしっかり感じる。
こんな幸せを死んだ後も味わえるなんて。
頑張って働かせていただきますっ!
「ミナトってさ、絶対、元日本人だよね」
何故なら、うな重を食べている。もちろん山椒をかけて。
「もう忘れたよ」
「ふぅーん、でもうな重は美味しい?」
「まぁまぁだ」
「つれないねぇ? ユーリ」
トントン……
お喋りに花を咲かせていると休憩室の扉をノックされた。
反射的に返事をすると、一人の男性が入ってくる。
神官のようだ。
だが、手の甲にシルシは見えない。
「これは、ミナト様でしたか。ようこそお越しくださいました」
「見え透いた社交辞令はいい。俺の姿を見て喜ぶ人間なんているわけがない」
ミナトは箸も止めずにそっけない。
「お知り合いなの?」
「ご挨拶が遅れて申し訳ございません。わたくしは、ここで神官をしております、ルーカスと申します」
白髪の典型的な好々爺という感じの方だ。
でもこの世界では、きっと見た目より年齢は若いのだろう。
間違いなく人生百年時代ではないから。
「ご丁寧にどうも。私はリコです。お邪魔してます」
「リコはウェストファリア様のところで働き始めたばかりだ。よろしく頼む」
「ミナト様が誰かと一緒に旅をされるのは珍しいですね」
「見ればわかるだろ? ユーリが離れないから仕方なくだ」
相変わらず白ヘビは私の首にいる。
そろそろ肩凝りが辛くなってきた。
「ハハハハ、余計珍しいのでは? ところで、ミナト様は森に御用ですか?」
「まぁな」
「そうですか……」
何かを悟って飲み込んだ顔だ。
私は全く意味がわからない会話なので参加しないでおく。
「まだわからない。種を撒きに来ただけだ。寧ろリコの仕事結果次第だろう」
「え? なんで私関係あるの?」
「何を言ってるんだ? リコの今回の仕事結果を待ってる神は多いだろう」
「どういうこと?」
「ホントにわかってないのか。逆に凄いな。さすがウェストファリア様だ。まず、リコたちの神、ウェストファリア様の上司は誰だよ?」
「境界の神」
「うん、それで? 今回のリコの仕事は?」
「古竜の死亡に関する調査と次代の古竜の誕生」
「うん、ということは?」
「……さっぱりわかりません」
「マジか。心配になって来たな。いいか、古竜が居る世界と古竜が居ない世界では全く違うんだ。もし、境界神様が、次代の古竜の誕生は必要無し! と決定すればこの世界は新しい時代に突入する」
「えっ? そんな大袈裟な」
「大袈裟でもなんでもない。時代の境界はリコたちの領分だろ。新しい時代に向かう為には沢山の神が動く。俺の上司のエレボス様もだが、アレス様も動くだろう」
「戦、ってこと?」
「古竜の居ない新しい時代に移行する為には人間同士の戦争は避けて通れない、俺が操る瘴気で滅びる国もあるだろう」
「そんな……」
「リコはまだまだ人間らしいな。特に日本人だと、人が大量に死ぬのは好まないのはわかる」
「ミナトは平気なの?」
「当然だ。俺たちはそういう存在だよ」
「うーん……たしかに……わかった! じゃあちゃんと仕事しないとね! 美味しいお魚も食べたし」
私は努めて軽く言い放って、アイスの溶けたクリームソーダを飲み干した。




