第2話 たぬきうどんはきつねうどんに化けようとする?など。
第2話は、前話に比べましたら(多分)穏やかな食事運でございます。
舞台その一は、うどん屋さんです。
仕事帰りの若豆は、きつねうどんを頼みました。
事前情報としまして、若豆の居住地域は、うどんメニューのきつねうどんは油揚げ入りうどん、たぬきうどんは天かす入りうどんの地域です、ということをお伝えいたします。
それを踏まえて頂きまして、からのうどん屋さん、です。
まず、瓶ビールとグラスが先に来ました。
いいですね。滑り出しは(珍しく)快調です。
仕事終わりの帰宅途中(電車降車後の最寄り駅)なので、ビールを飲んでもいいのです。
「お待たせしました」
うどんも、きました。
頼んだのは、きつねうどん。
油揚げをつまみにしよう。油揚げはどれくらいの大きさだろう。
期待しつつ、豆が覗いた湯気の中。
ちゃんと、うどんです。そばではありません。
ですが、そこには。溢れそうな量の天かすが。
天かす……。
おや。
油揚げはどこへ行ったのかな?
他の地域では、天かすが入ったうどんの別名は天かすうどん、もしくはハイカラうどん。それは何となく知っていました。
でもそれは、きつねうどんという名前ではありませんでした。
若豆の居住区はきつねうどんは油揚げ、たぬきうどうは天かすの地域でした。もちろん、メニューの写真もです。
と、いうわけで。
店員さんに、聞きましょう。
「これ、たぬきうどんですよね。頼んだのは、きつねうどんなのですが」
若豆は、こんな時の強い味方、伝票を一緒に見せました。
自分でも多少不安になりましたが。
瓶ビール、きつねうどん。
よかった、印字は正確でした。
「少々お待ち下さい」
作り直しかあ。
まあ、うどんだから。
うどんなら、よほどのことがなければ、わりとすぐに新しいうどんが来ますよね。
大丈夫大丈夫、と、ビール、一杯だけ。
瓶を持ち、そう思っていたら。
「お待たせしました」
早い!
早すぎないか?
そんな疑問は、すぐに氷解いたします。
そこには、確かにきつねうどんがありました。きちんと、油揚げもおりました。大きいです。
ただし、そのうどんには。
天かすが、同居していたのです。
お待たせしてないのは、これが理由か!
そうです、うどんとつゆが再利用されていた、リサイクルなうどんだったのです!
……天かす、もっと気合入れて掬わんかい!
きつねなのに、これ、ちっとも化かせてないからな!
残念ながら、若豆は、声に出してのツッコミはできません。
いえ、さすがに、ははとなった豆ははこもこんなに声は張れませんが。
まあ、今の豆ははこでしたら、多分ですが、ひと言くらいは言えますけれどね。
「きつねうどんです」
当時、あくまでも、これをきつねうどんと言い張る店員さん。
「はあ」
納得をせざるを得ない、若豆。
これはきつね、きつねうどん。
天かす入りの、きつねうどん。
若豆、自分をだましているようではありましたが。
味は、まあ、おいしかったです。
もしかしましたら、メニューあれば選択した……かも? です。
瓶ビールも、冷たいままだったし。
おいしいから、いい……のかな? な出来事でした。
では、続きまして、舞台その二です。カレー屋さんです。
注文しましたのは、カツカレー。
無事に配膳されました。おいしいです。
今日は無事に終われるのか。よかった。そう思っておりました。
こういう日も、(ごくたまには)あるのですよ。
おや。
スプーンが何かに触れました。
お肉……ではありません。
フレーク状の、溶けていないルーですね。いわゆる、塊です。食べたくはないですね。
とりあえず、お店にはお伝えしましょうか。
ほかのお客様のためにも。
「あの……」
こっそりと伝えましたら、店員さんは、恐縮しきり。
「すみませんでした!」
おお、理解が早い。じゃあ、ここは残しても大丈夫ですね。よかった。
「申し訳ございません。これでしたら、新しいものをお持ちしますので」
……え。
理解のみならず、動きまで?
素早い、素早いですよ、店員さん。
「お待たせいたしました」
カツカレー、おかわり。
……食えん。
さっきとは違い、さらさらのルー。おお、よく溶けていますね。
カツと一緒に食べました。ルーは、全部です。
ただし、ご飯はごめんなさい、無理でした。
ビールを頼まなくて、よかったなあ。
そして……量が、多い。
以上、感想です。
珍しく、良心的な店員さんと、お店でした。
ただ……量が。多かったです。
うどん屋さんはできればもう少しなんとかしてほしかったし、カレー屋さんは親切丁寧……すぎ? ではございますが、前話よりは緩やかな食事運ではないかな、というお話でございました。
……ほんとうに。
お店もいろいろ、でございますね。




