0話 ○○、美少女と出会う。
プロローグ。
目が覚めると、真っ白な部屋にいた。
真っ白といっても病院のようなそれではなく、白を基調とした趣味部屋のような場所だ。
真っ白なテーブルに真っ白なカーペット、ゲ〇ガーのぬいぐるみにゲン〇ーのマグカップ、そしてゲンガ〇のクッションに……。
「いやゲンガーグッズだけ異様に多くない!?」
「わぁ!? いきなり叫んでどうしたの!?」
隣から思いもよらないツッコミが響いて吃驚した。
目を向けると、そこには浮世離れした美少女が床に寝ていた。いや、恐らくベッドから転がり落ちたのだろう。受け身に失敗して悶絶しているように見える。
そんな彼女は身を起こし、私に真っ直ぐ向き合った。
白い髪と白い肌に紫の瞳がくっきりと浮かび上がり、この世のものとは思えない妖艶さを醸し出している。
だが先の出来事からか、私は彼女にそこはかとなく抜けた印象を抱いていた。いや、そもそも彼女なのであろうか……? 私もとある一部分が貧しいことに定評があるが、それよりも一回り小さく見える。
白い服に包まれた一箇所を見つつ、推理中のホームズのように思考を回転させていると、彼女が口を開いた。
「どこを見て何を考えてるのかは聞かないよ……ところで、痛いところはない?」
痛いところとはどういうことだろうかと思案するよりも先に、ふとひとつの疑問が脳裏に浮かんだ。
そもそもなぜ私の目の前にこの儚げな美少女がいるのかいや、そうではない。私がなぜこの少女の目の前にいるのか、と。
改めて吸い込まれそうな目の色をした彼女に向き直ると、少しばかりの警戒を込めて言葉を紡ぐ。
「あなたは、誰? 私はどうしてここにいるの」
きょとん、という効果音の似合う顔をした後、少しはにかみながら少女は小さな口で私の質問に答える。
「僕は虚無くん。君はね」
虚無くん、と名乗った彼女は柔和な笑顔を困ったようなものに変え、こう続けた。
「……私の家の前に倒れていたんだよ」
次回更新は未定です。