84武蔵野警察署
キキィィィ!!
「ふぅ」
バイクを走らせて、新しいアジトにたどり着いた。
「お兄さん飲んでかない〜?」
「あーすいません大丈夫でーす」
新宿ゴールデン街は飲み屋やバーが立ち並ぶ裏路地のようなところ。特に若い女性や、酔っ払った男性が多い。
女性からの誘いを適当に断って、さらに狭い路地裏に入った。そして、ボロ臭いアパートの一室のチャイムを鳴らした。
ピンポーン
「はい」
「コアだ。開けろ」
「はいよ」
ガチャ
「よっ」
「遅かったな。もう片付け終わりそうだよ」
「ごめんごめん」
アルチュールが玄関の扉を開けてくれた。俺はお辞儀をしながら地下に続く階段を降りた。
「ここも久しぶりに来たな」
「だな。でも、モクは何回か来てるんじゃない?」
「そっか。あいつは綺麗好きだもんな」
アルチュールと雑談をしながらアジトの本拠地に向かった。
一見、誰も使わなさそうなボロアパート。だけど、部屋の一室の階段を降れば、そこは———
「オーディン!こっちも手伝ってくれ!」
「これ重たいなー!お!コア!やっと来たか!」
階段を降り終えると、そこには運んだ荷物の整理をしているオーディンとリアムがいた。2人とも汗を流していた。腕の血管は浮き出ていた。
「お待たせ。怪我人の容態は?」
「いまは医療部隊に任せてる。でも、ジャックは目を覚ましたと連絡が入った」
「ナルとククリは?」
「まだ、連絡はない」
「......分かった。片付けが終わり次第、練馬統合についての情報会議をする。会議室に集まってくれ」
「了解」
俺はアルチュールの肩を叩いた。アルチュールは小さい会釈をした。
「では、今から今後の動きについて話し合います。まず、練馬統合に関する動きです。早速明日、武蔵野警察署に収監されているニクラスの兄、風見に面会に行く。手続き上は、友人という設定だ。ニクラスが面会に行けない代わりに行くという代行役だ」
会議室には、緊収のメンバー全員が集まった。
「行くのはいいが、どんな方法で情報を聞くんだ?面会といっても制限はあるだろう」
珍しくオーディンが冴えている意見を出した。
「それはもう考えてある。手紙でもダメ、口頭でも言うのがダメならば、これだ」
俺は、自分の手のひらを見せた。
「フッ」
リアムは苦笑いをした。
「同行人はアルチュール。他の2人はアジトのガードを頼む」
「了解」
「なんか緊張すんな!」
「うるさい」
俺はアルチュールが運転する車で武蔵野警察署に向かった。頬に朝日が当たり思わず手を挙げる。
「今日はあったかいなぁ」
今から風見の元へ行く。
取っ手を握る手が汗ばんでいた。
「ここに止めちゃおう」
青梅街道で減速して武蔵野警察署の駐車場に入った。
シートベルトを外し、車から降り、入り口に向かった。
「.......」
入り口ですでに汗が垂れた。武蔵野警察署の入り口で、いい思い出はない。
「おはようございます!」
「どうも。あの、面会って......」
「面会でしたら4階の受付にてお願いします」
入ってすぐの女性に案内されてエレベーターに乗った。
たまにいる刑事らしい見た目の人に胸が弾む。
ここからは全て指文字で会話をする。あとはスマホ間でのやり取りなど。
アルチュール、俺、風見はニクラスを通じた友人関係という設定だ。
その役になりきらないと。
「加藤さん?面会時間です」
小さくお辞儀をして息を呑んだ。
もうすぐ、風見に会える。
練馬統合と繋がりはあるのか。
神崎三重子との関係性とは。
ガチャン
「こちらで待っていてください」
映画でよく見る面会室だ。
パイプ椅子が2つ。そしてガラス越しに1つのパイプ椅子があった。
「失礼します。入れ」
扉が開き、ついに対面。
「.....どうも」
「風見」
そこには、動画で見た風見がいた。




