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あれから、ナルたちは医務室に運ばれた。
医療部隊が懸命に処置を行なっているが、まだ数値は安定しない。
林村によれば———
いつ死んでもおかしくないとのこと。
その日の夜、俺はオーディン、とアルチュール、リアムを呼び、緊急会議を開いた。
コンコンコン
「入るぞー」
まず最初にアルチュール。
「お疲れ様です」
その次にオーディンが入ってきた。
今日は殺害部隊の会議室に2人を呼び寄せた。
「さて、どういう状況だ」
オーディンがまず最初に話を切り出した。
「まず、監視カメラに映った侵入者は2人のみ。そのうち1人は死亡。1人は怪我をしたまま敷地から出て撤退した。今は死亡した1人の服装を調べているところ。林村によれば、ポケットから警察手帳が出てきたそうだ」
「やっぱり刑事だったか」
「武蔵野警察署だそうだ」
「武蔵野?なんでそんなところからサツが来てんだ?」
オーディンが言うと、アルチュールはため息をつきながら言った。
「俺たちの前のアジトだからだ」
オーディンは気持ちのいいリアクションをして頭を抱えた。
現在の殺し屋のアジトは神奈川県大磯町。しかし侵入してきた刑事は武蔵野警察署の人間。
つまり、俺たちが武蔵野にいるときから.......
「だとしても作戦が弱すぎる。本当にセレナだけを狙っているのなら、この建物ごと爆破することだって出来たはずだ」
「じゃあなぜあんなに少人数で———
「今はその話じゃない」
オーディンとアルチュールはヘッドとセカンドヘッドという関係性から、2人で先走り話す癖がある。それをいつも止める役割がリアムだった。
しかし彼は今、侵入者の所持品の調査、スマホの解析、監視カメラを振り返るなど、大忙しだ。
「とにかく、アジトを移動しなくてはならない。近いうちに、いや、今夜にでもアジトを別の場所に移そう」
「はぁ.....次はどこだよ。もうまともなアジトはないぞ」
「武蔵野、鎌倉、八王子、勝浦、大磯.....セレナの自宅から入手したアジトは全て制覇したぞ。結局、あの地図は何だったんだ?」
アルチュールは写真フォルダに保存されてある、かなり昔にセレナが入手した地図を眺めた。
それは、ジョセフの手下である勝地が残したものだった。
「結局何も起きねぇじゃねぇかよ」
「そうだね———」
ガンガンガン!
その時、扉が勢いよく叩かれた。
俺たちは念の為トカレフを構えた。
「お前ら仲間に銃向けんじゃないよ」
「なんだ、お前か」
部屋の中に入ってきたのはリアムだった。
彼はかなり焦っている状態で、手にはたくさんの紙やらスマホやらを持っていた。
「どうしたんだ」
「すげぇ情報があるぞ」
「なに?」
リアムは持っていたスマホとパソコンをUSBで繋ぎ、机に置いて椅子に座った。
「侵入者の刑事のスマホの解析結果が出たんだ」
「刑事の名前は?」
「澤村恭輔だ。武蔵野警察署、組織犯罪対策部の刑事」
「澤村?もしかして、セレナが警察署の前で襲ったうちの1人......だった気がする。確かネームプレートに書かれてあった。その時、他には本多ってやつと木村って奴がいた」
「それじゃあもう1人の侵入者はどちらかの可能性が高いな」
しかし貝ちゃんが滅多刺しにした2人も、本多も、全治4ヶ月のはずだ。まだ1ヶ月も経っていないのに、なぜあんなに動けていたんだよ......
「お前ら、落ち着いて見ろよ。まず、澤村は仕事用のスマホを持ち歩いていた。プライベート用は多分持っていない。ということで今回は仕事用のスマホのみ解析した。ファイルには数え切れない量の情報があった。その中でも特に気になったのが、この動画だ」
ダウンロードが終了したとパソコンからアナウンスが鳴ると同時に、全員が一斉に画面を見た。
息を呑み、圧に負ける。
画面には、一体何が映るのか。
全員が見ている時だった。
「———は?」
画面には信じられない映像が流れ始めた。
それは———
「風見.......?」
「では、現在逃亡している人間の数は?」
「.......」
「違法保険会社の社員と付き合っており、彼女は組織の幹部であるか?」
「.......」
「今日はこれで最後に。あなたの弟は、組織の幹部または一部の人間であるか?」
「それは、どうでしょうか」




