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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。大磯編
67/71

67セレナの暴走

本多の一言で車内が静まり返った。刑事に挟まれ、窮屈の中、何もできない。

クソ。このまま署に連行されたら逃げ出すのはほぼ不可能。それだけは絶対に避けたい。

どうすれば、刑事を振り解いて逃げられる?私は自分の身なりを確認した。奇跡的に手錠はされてない。さらにはポケットに武器もある。こちらから攻めるのはかなり優勢。

あとは、タイミングのみ。署に入るまでに決着をつける。

視線の先が定まらず、呼吸が浅くなった。勝手に瞼が閉じたり開いたり、ウィンクをしてみたり。座っているのに背中を預ける場所が見つからない。

その間にも刑事達は低く声を発する。

「———着いたぞ。降りなさい」

指示通り車を降りた。

“武蔵野警察署”

文体が浮き出て見えて首根っこを掴まれた。

一旦、周囲を見渡して。

「あ、あの.....」

「なんだ?」

手元にはナイフが握られていた。


「藤沢———!」


一瞬で、地獄になった。

「はいはい静かにしてくださーい」

背後にいた一人の刑事の右太ももを何度も刺した。彼は小さく悲鳴を上げた。その度に口元が緩み笑いが起きた。

「うわっ。鬱陶しいな!」

「やめろ!」

「ふぉぉ!死ね死ね死ね!」

刑事の下敷きになりながらも背中を何度も刺した。血が宙を舞い頬にこびりついた。

「藤沢!」

「あれ?反応止まった。よいしょっと」

「動くな!」

気づけば刑事の動きは止まった。死んじゃったのかな?

「この人、死んじゃった?」

下を指差すと、本多ともう一人の刑事がこちらに銃口を向けていた。

「なに?撃てるの?ここ市街地だよ?」


パァン!


「警察を、甘く見るな」

うるせぇ、うるせぇうるせぇうるせぇ———!

「お前ら全員死ねぇー!」

目の前にある敵を排除しなければ。


パァン!パァン!


2発、武蔵野の街に銃音が鳴り響いた。返り血を全身に浴びた。これは一体、誰の血だ?

「貝!」

「直?」

目の前から人が消えた代わりに、直之が拳銃を持って現れた。

ちょっと待って、私、なにして、どういうこと。

「貝ちゃん?貝ちゃん!」

「なんで、ここに」

「お前が連絡したからだろ?!それより何やってんだこれは!相手は刑事だぞ?」

コアは激しく肩を揺らして頬を叩いた。

「つらがるぞ」

腕を掴まれコアは勢いよく走り出した。

『止まりなさい!』

後ろからまた別の刑事の声がした。まずい、振り返るな。絶対に。

「.....しね」


パァン!


「がばぁっ———!」

「貝ちゃん?貝!」

じんわりと、胸が熱くなった。視界がぼやけて口元に血がつく。甘い味がした。

「くそっ」


パァン!パァン!パァン!


コアの銃声が鳴り響いていた。耳鳴りなのか、銃声なのか、聞き分けができない。

そのまま視界が暗くなり、コアの腕の中で静かに眠った。






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