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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。大磯編
59/69

59恐怖を呼び戻す声

「いただきます。」

机の上に用意してあったオムライスを一口スプーンで掬い上げて口に運んだ。いつもと変わらないいい味がした。

彼女のオムライスはチキンライスの中に溢れんばかりのチーズと肉が含まれている。そしてトロトロの卵で包み込む。名店のような仕上がりだ。

何口か食べた後、リモコンを手に取りテレビをつけた。一人暮らしだろうとテレビは置いてあった。なぜなら、かつて一緒に住んでいたジョセフがテレビを好んでいたため。彼が死んで独り身になったが、テレビはなんだか捨てられずにいた。ただの置き物のようになりつつあるが、日本の情勢を知っておくためにも置いておくことにした。

まず最初についたのはニュース番組。安心感あるベテランアナウンサーが勝浦一家相殺事件について報道していた。そして横には、見覚えのある刑事がいた。

『本多さんの見解としては、暴力団が関係しているんでしょうか?』

『そうですね。日本国内には推計1万8000人を超える暴力団員がいます。近年で2万人をきるというのは快挙です。今回の勝浦一家相殺事件には、複数の暴力団が関係あると思われます。詳しくいうと———』

この顔を、私は鮮明に覚えていた。


『おい!待て!』


風を切るように走る車を運転していたのは剣城忠信。当時着ていた洋服にはジョセフやウメの血が付着していた。それは、初めてジョセフをアサルトライフルで撃ったあとのことだった。

助手席に座っている時、運転席側の窓が叩かれた。そこには複数の私服警官がいた。私たち殺し屋という存在を突き止める部署。その名も、”組織犯罪対策部”ここは暴力団の捜査のみならず、薬や銃器の密輸、組織的な犯罪を取り締まっている。

私たちを追いかけてきた警察がいま、テレビに専門家として出演していたのだ。

「えっ。」

思わず声を出した。

彼はカーチェイスの末に車を爆発させてまで私たちを追いかけ回したサツだ。

テレビ越しに映っている彼の姿を見ただけで背筋が凍った。私は急いでリモコンを手にとってテレビごと消した。

「ふぅ....ふぅ....」

スプーンを置いて息を吸って吐いてを繰り返した。

とてつもない恐怖に襲われ食事どころじゃなかった。そしてさらに私の両手はブルブルと震えだした。

「とまれ、とまれとまれとまれっ!」

震えは一向に治らなかった。長時間にわたり手が言うことを聞かなかった。

手の震えが治ったと思えば、次は体全体が震えだした。


がチャァン!


「いってぇ....。」

私の体は椅子から派手に転げ落ちて大きな音をたてた。私はその場で立ち上がろうともせず、小さくうずくまった。

「こわい....こわいよぉ....」

腕の中で小さく叫びながら、震えて恐怖を露わにした。警察を見た瞬間に始まる身震い。こんなことがここ最近増えてきている。

今まで人を殺すという仕事をやってきて、恐怖心というものがあまり芽生えてなかったと思う。そんな自分に対しても恐怖を抱いている。

でも最大の要因は私たちを追い詰めようとしている警察の存在だ。もし捕まれば数十年の懲役、または極刑を喰らう。何としてでも捕まらずに身を潜めるしかないのだ。

しかし私は高校生というハンデがある。幸い私のことを慕ってくれる仲間がたくさんいて守ってくれる。ここまで内部が固まっていれば警察も欺こうとも欺けないでしょう。

10分ほど経って全身の震えが止まった。私は立ち上がり再び椅子に座り食事をした。


プルルルルル!


ソファの方の机上にあったスマホが鳴った。せっかく座れたと思ったのに立ち上がりスマホの電話相手を確認した。

「もしもし?」

『コアだけど、明日何時ごろに来れそう?』

「学校終わりだから5時半前くらいかな。なんで?」電話越しはセカンドヘッドのコアだった。何やらゴソゴソと動作をしているようだ。

『いやそのね、白川家に関する資料を見てて、色々判明したから共有したくて。』

「そゆこと。了解。」

私はお腹が空いていたためなるべく早く電話を終わらせたかった。しかしコアは逃さず会話を続けようとした。

『ごめん最後になんだけど、新しいサードヘッド、どうする?』

「あーそのことなんだけど、推薦したい人がいるから、明日連れてくわ。」

『おっ!気になるな〜。了解、待ってるわ。』

電話をきり、スマホを充電器台に置いた。やっとこさ食事を堪能できる。

“推薦したい人”は、料理が美味くて忠誠心のある人だ。彼女が承諾してくれれば、即加入させるつもりだ。

これからまだまだやることが残ってる。謎もたくさんあるけど、正確に調べていくのが吉なのかもしれない。

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