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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。勝浦編2
50/69

50襲来②

「ロ、ル?ロルっ!!」

私は走る方向を変えてロルバンの方に向かった。これとは反対方向に行かないと上には行かない。しかし足が勝手にロルバンの元に動いた。

そして、目の前で大きな音を立てて倒れた。私は彼をキャッチしようとしながら滑り込んだ。

「ロル?!なんで、なんで.....!」

「あぁ....セ、レナ。」

「おいっ!おい!ロル!」

私はロルバンを自分の膝で支えるように寝かせた。

「クソ野郎が、なんで仲間を.....!」

自分の着ているスクールパーカーを脱いでロルバンの体に巻いた。

とりあえず止血。余計な菌が入り込む前に。

「止血をする。痛いが少し押す。我慢しろよ。」

私は思い切り力を込めてロルバンの腹を押した。

「伏せろ!」

「え?」


ダダダダダダダダ!!!!!


ロルバンは私の頭を地面に押さえつけた。そして服の袖を引っ張って死角になるところに連れてかれた。

彼は死角に隠れていたはずだ。なのになぜ撃たれる?走っている途中の流れ弾で撃たれたのか?

「クッソ.....」

左肩に痛みが走った。覗き込むと、微かに銃弾が撃ち込まれた跡があった。そこまで重症ではないが、皮が焼け爛れたような傷がくっきりと描かれていた。

「セレナっ!急いで止血しろ。」

「おいよせ!」

血だらけのロルバンは自らスクールパーカーを解こうとした。私は手を止めてそれを阻止しようとした。

こんなの大した傷じゃない。撃たれるなんて、慣れたことだ

「いいから使え。」

私は彼の願いを手から断った。

「今はこんな傷大したことない。」

さらに結び目を強くした。ロルバンは痛みに耐えてはいたものの、小さい声で叫んでいた。

銃声が鳴り止まり、静寂が身を包んだ。

「応答せよ、コア。」

『セレナ?流れ弾が当たった。』

「え?」

『少しだけ、掠った。致命傷でもない。そっちは?』

「ロルが撃たれた。腹にきてる。今は止血してるけどかなりやばい。」

ロルバンの状況を伝えた瞬間、コアは黙り込んだ。

『この後どうする?俺は歩けるけど、ロルバンは?』

私はロルバンの方を見た。

「だめだ。私たちだけで行こう。ここまで来たら道はわかるだろ。囮にする必要がない。」

『マジかよ....了解。』

無線機との連絡を切った。腰の位置に戻して再び注目をロルバンに移した。

「ロル、ここで待ってろ。必ず迎えに来る。」

私は立ち上がり、トカレフを構える体勢に入った。

このまま走って階段を登る。

狙撃が得意なフーリンは、自分が攻撃されないように敵とは離れているところにいるだろう。息を殺して隠れているに違いない。

私が階段を登ればコアが隙を見てフーリンを撃ってくれるだろう。

「ふぅ.....」

左肩から血が垂れた。ポタ、と、静かに雫を下るように。焼けるように痛い。痛くて痛くて仕方がない。

眉間にシワを寄せて集中力を高めようとしても、どうしても撃たれた箇所が気になる。

「ダメだ。」

すると、下からロルバンに手を掴まれた。

「セレナ、聞いて、欲しいことがある。」

ロルバンは今にも死にそうな声であった。その場は血に染められており、見るに耐えない。

「なんだ?」

私はしゃがんで彼の話に耳を傾けた。

「この、ビルには各地に爆弾が仕掛けてある。kiと同じようにね。ある部屋に行ってボタンを押せば起爆してこの建物ごと破壊することができる。」

「爆弾?何言ってんだよ。クララさえ殺せば済む話だ。なのになんで爆破なんか。」

「kiの連中と教景をここから避難させろ。このままだとフーリンたちは躊躇なくお前らを殺す。現に負傷者が二人もいるじゃないか。」

ロルバンの声はアリのように小さかった。かなり耳を近づけなければ聞こえないほどに。

「でもそしたらロルが.....」

「俺のことなんかどうでもいい。裏切り者が死んだところで何の変化もない。だから頼む、最後の願いとして聞いてくれ。」

「そんなの、ダメ、だよ。」


ダン!ダン!


今度は単発。弾の補充が終わったのか。

「起爆装置は一階の304号室。押して30秒で爆破される。」

「ダメだダメだダメだぁ!お前も生きて帰るんだよっ!爆破だなんて考えんじゃねぇよ!」

私はいつも、都合がいい方向に自分の考えを傾ける。それは自分の意思がないってことだ。芯の弱い人間がやるような戦法の一つ。最後の情けというものだ。

今回も同じ。

裏切り者と罵った相手に泣き出して生きてくれだなんて。とんでもなく虫が良すぎる。

「これが俺なりの責任の取り方なんだ。お前に言われた通り、責任から、逃げずにな。」

ロルバンはニコッと笑った。彼の周りには、いつ失血死てもおかしくない量の血が流れていた。それは私の足元にも及ぶ。

「死ぬことが責任を取ったことになるのか?」

「なる。」

「ならねぇよクソがっ!」


ダダダダダダダダ!!!!!


始まった。フーリンの連射音。

「セレナ、頼む。本当に頼む。」

「ロル?ロル?!」

ロルバンの瞳孔が少しずつ力を失っていっていた。

私はトカレフを投げ捨ててロルバンの肩を持った。

「おい?何やってんだ!ロルっ!」

「セ....レナ。」

掠れた声のまま、瞳孔が完全に閉じた。


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