42仮面の奥の真実
「なぜお前が、柳小春の存在を知っているんだ?」
セレナは声を低くしてヨナスに向かって呟いた。俺も同じ質問をしようとした。
柳小春は、セレナが初めて殺し屋に入ったとかの最初の依頼者だ。結果的にはジョセフを殺して欲しいという依頼だった。
もはや懐かしいとも感じる彼女の突然の登場に、俺は動揺を隠せなかった。
「柳小春は、クララの知り合いだったみたいなんだ。俺たちも詳しいことは知らない。柳小春がラビットアサシンの開設をしたようなものだ。そして、もともと柳小春と勝地洋輔が知り合いだったらしい。そこ経由で勝地くんがラビットアサシンの当主になったんだ。」
待て待て待て。
どうゆうことだ?
事が一度に進みすぎて先が全く読めない。
俺はセレナの方を見ると、セレナもポカァーンとしている様子だった。
「ちょっと待ってくれ。俺たちも詳細は言えないんだが、柳小春と知り合いなんだ。」
ヨナスは驚く様子もなく、驚かないどころか分かっていたような反応をした。
「そうだったのか。勝地くんから聞いた情報によると、彼女は勝地くんの育て親の妻なんだろ?柳小春と勝地くんが繋がる理由は何となく理解できる。でも、クララと柳小春がつながる理由が全く分からない。」
ヨナスは体を起こしながら話を止めた。
俺は聞きたいことが多すぎた。情報過多すぎて頭がパンクしそうだ。
すると、セレナが口を開いた。
「それ以外に知っている情報はあるか?」
「特にない。お前らは知ってるんだろぉ?」
ヨナスはお得意の睨みつけで私たちを見つめた。下から睨んで相手を威嚇するような仕草に、俺は少しの苛立ちを覚えた。
俺はセレナを見ると、セレナが何か目で訴えてきた。
(情報共有をしよう)
そう言っているような気がした。
俺はゆっくりと頷いた。
ここでki殺し屋が持っている情報を隠し通したとしても、ヨナスの理解が追いつかない可能性が高い。
ヨナスは白川春綺殺害に多大なる協力をしてくれるだろう。何となく俺の勘だがな。
「まず、勝地洋輔の育て親というのは、元ki殺し屋のヘッドだった男だ。ジョセフ。この名を一度は耳にしたことあるだろ?」
「あ、あぁ。勝地くんの育て親って、あの、ジョセフだったのか?」
やはり、知らなかった様子だ。
「お前の知識と合致させてみると、ジョセフと柳小春は夫婦関係にあった。そこになぜか、ラビットアサシンのクララが絡んでいる。私の直感を信じるのならば、クララは何かしらの目的があって柳小春と接触したとしか思えない。どこで接触したのか、知っている情報はないか?」
貝ちゃんの話口調は天晴れだった。
もしこの場に貝ちゃんがいなければ、俺はただ硬直して頭の整理が追いつかないだろう。ヨナスに質問する余裕なんてあるわけない。
「全然分かんねぇな〜。クララはラビットアサシンに属していたとはいえ、単独行動が多かった。直接本人に聞かないと真実は分からないと思うな。」
「そうか。クララと柳小春の出会いと関係性が分かればいいのか。」
貝ちゃんは腕を組んで考えた。
「今、クララはどこにいんだ?」
「クララは、多分アジトにいると思うが。ここに囚われてからあいつらとは音信不通だから100%とは言えないが。」
「分かった。」
貝ちゃんは黒色のパーカーのポケットに腕を突っ込みながら部屋を出ようとした。
「え、あ、セレナ?!」
俺はセレナを止めようとした。あまりにも彼女の行動が早すぎたからだ。
「あぁもう!また後で来る!」
俺はヨナスに言って貝ちゃんに着いて行った。
ガチャン!
「セレナ!俺は整理がついていない。ヨナスとの会話も共有しなきゃいけないんだぞ?」
「今は柳小春とクララの関係性を明らかにするべきだ。」
「何を言って‥‥」
「メイが死んだことが今でも悔やんでるんだよ!」
貝ちゃんは長く続く廊下で叫んだ。この声はどの部屋にも届いただろう。
俺は驚いた。
貝ちゃんがこんなにも怒鳴るなんて。滅多にないことだからだ。
「いくらなんでも行動に移すのが早すぎる。もう少し調べてからクララを訪ねよう。」
「調べたところでまた同じ情報が出てくるだけだ。本人に聞くのが一番の情報源だ。」
セレナは眉間に皺を寄せて強く睨んできた。俺はその目に圧倒されてしまい、承諾するしか道がなかった。
「分かった。クララの元に行ってみよう。忘れていそうだが、今回の依頼はクララを殺すことだ。彼女を尋ねたタイミングで、殺そう。」
セレナは少し微笑んでから頷いた。




