表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。勝浦編1
37/69

37その耳に届く声は

俺は勢いあるまま殺害部隊の仕事部屋を飛び出した。

貝ちゃんを少し困らせてしまったかもしれないな。貝ちゃん、最近様子がおかしかったからな〜。

「う〜ん。貝ちゃんて、人の心がないからな〜。」

独り言のように呟いた。でも、独り言ではないような気がした。まるで誰かに話しかけているような感じ。

「貝ちゃんて何考えてるか分からないし、てか、何で俺って貝ちゃんを守ろうとするんだろう。」


『それは、過去を思い出してみな。』


「はっ?!」

俺は、後ろ蹴りをした。そこには、誰もいない。当たり前だけど、なぜ俺は後ろ蹴りをした?


『さぁ、それはどうしてかな。』


「?!」

聞こえる。誰かの声が、聞こえる。誰の声だ?誰かが俺に話しかけている。しかもこの声はどこかで聞き慣れている声だ。

「クソが。」

俺は止まっていた足を再び進めた。ヨナスの元に向かっている最中も、何度も声が聞こえた。


『セレナを守りたい理由は何だ。』


「んなこと、俺の勝手だ。」


『そうか。コアのことはコアが決める。』


「お前は、誰なんだ。」


『お前が過去を思い出したら教えてやるよ。お前は過去から逃げ続けているんだよ。』


「死ね。」

過去のことなんて、誰も興味ねぇ。俺の過去?そんなの思い出してどうなる。そこに何かヒントがあるのか?んな簡単な話はない。

貝ちゃんを守る理由。そんなの、あの出来事があったからだろ‥‥。



パァン!


『おー!いい腕だね!真ん中に的中だよ!』


その女の子の名前は、藤沢貝。俺の新しい相棒だ。つい先日、相棒が撃たれて死んだ。そいつは何の役にも立たなかった。

ジョセフの紹介で相棒になったが、体も一回りおれより小さく、力もなければ銃術に才もなかった。

なので俺は何度も手下のロルバンを相棒にしろと言った。

しかし、ジョセフは聞く耳を持たなかった。その当時は、なぜロルバンを相棒にしなかったのかと思うだけだった。

役立たずの次は、女子高生?どこのどいつの女子高生が殺し屋をやりたいと言うのか?

俺は初めて貝ちゃんをみた瞬間、率直に思った感想がある。それは、

『こいつ、明日には死ぬな。』と。

小さな手で握る拳銃は実に大きく見えた。

しかし、ボスのジョセフに言われたなら受け入れるしかない。相棒は常にいなきゃ困る。

さっそく今日、貝ちゃんに拳銃の使い方を教えた。

ところが彼女はそれを否定してきた。

『もう知ってるから結構。』

手のひらを見せながら言ってきた。

『あ、あぁ。』

待って待って待ってください。拳銃の使い方を知っているだと?どういうことだ?

俺は貝ちゃんのこの一言に、混乱を巻き起こしていた。

『知ってるって、君、女子高生だよね?』

『セクハラが黙れ。知ってるからなんだ。』

ほほーん。お口の悪い子だ。

『それじゃ、俺は何も手伝わないからな。一人でやりたいなら一人でやってな。』

俺はその場を離れた。こんな迷惑な娘をよこすなんて、あのジジイも頭がイかれてんな。俺は、俺に歯向かうやつが嫌いだ。大っ嫌いだ。

『ねぇ。』

まだ付き纏ってくるのか。

後ろを振り返ると、そこには貝ちゃんがいた。

『なに。』

『射撃場とか、ないのか?』

何なんだこの女は。射撃場?どこでそんな言葉を覚えた?俺はこの女が、大っ嫌いだった。

『射撃場?お前みたいな奴が知ってる言葉じゃねえだろう。』

『さっきも言った。知ってるから何だ。早く教えろ。』

『てめぇ、それ以上の口を利いたら、殺すぞ?』

俺は顔をすごめて貝ちゃんの方を見た。貝ちゃんの大きな瞳に俺の怖すぎる顔が写っていた。これでこいつも懲りるだろう、と思っていたのに。

彼女は表情を変えることなく、俺にビンタをした。


パチン!


『私はお前の相棒だ。案内くらいしようと思わんのかぁ?』

かっちーん。俺を怒らせたようだな。

俺は、自分の拳銃をポケットから取り出した。そして、貝ちゃんの額に当てた。

『頭を地につけろ。』

『‥‥はぁ。お前は、とことんつまらない奴だな。』


ガチャァァァァン!!!


『くわっ!』

俺は小さな悲鳴を上げた。何だ?何が起こった?!俺の身体は、廊下の端まで飛ばされていた。

『あとどれくらいで痛めつけてほしい?』

貝ちゃんは両手に拳銃を握っていた。俺は自分の手に目をやった。いつの間にか自分の拳銃を離していたのだ。いつ取った?いつ取ったんだ?!

俺は、頭の整理がつかなかった。

『今すぐ射撃場に案内しろ。』

俺の相棒の顔の目は、笑っていなかった。口だけ動いていて、肩も動いていなかった。

『わ、分かった。分かったから、落ち着け!』

人間に対してこんなにも本気になったのは、これが初めてだったな。

貝ちゃんとの初めての出会いは、あまり良くない。



「あぁもうクソがっ!」

俺は地面を蹴りつけた。地面に少しの傷が入った。

行った道に目をやると、同じような傷が大量に入っていた。


コンコンコン


「よぉ。久しいな。いつもは林村が看病に来るだろうに。今回は俺だ。」

ヨナスはベッドに座り本を読んでいた。分厚くて、まるで国語辞典のようだ。

俺は近くのパイプ椅子に腰掛けた。

「よいしょっと。元気か?」

ヨナスは喋らないで有名だ。貝ちゃんがヨナスに話を持ちかけた時も、ほとんど話さずに終わったらしい。

「ちょっと、聞きたいことがありましてね。」

「何だ。」

俺は息を呑んだ。

この質問内容がしくじれば、貝ちゃんが怒る。

「‥‥ふぅ。えっとね!」

いや、大丈夫。いつもの俺でいけば何の問題もない。落ち着け。これはたまにあることだ。こんな思い、すぐに消えてなくなる。

俺の心には、いつまでも恐怖心があった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ