29成城の家に眠る真実
「見てこれ。」
私はコアにパソコンの画面を指差した。コアは手のひらを机の上に置いて顔を覗かせた。
「白川の家系図か。こりゃ本当だなー。」
それまで半信半疑だったコアも、信憑性のある資料を見て深く頷いた。
「これについて調べてみるかー。」
「ちなみに、ロルバンは‥‥教景の父方の弟の欄に書いてあるぞ?本当にどういうことだ?」
私は次々と明らかになる情報に驚きを隠せないでいた。
なぜなら、教景の父親である『悠仁』の弟欄にロルバンの名前が書いてあったからだ。
てことは、ロルバンとヨナスは血が繋がっているってことか?この家系図に沿って考えるとそうなる。そもそもなぜki内部のパソコンに白川家家系図なんてあるんだ?私たちは、まだここまで情報を解明できていない。白川家家系図を知っている者は、白川家のみ。
白川家の生き残りが他にいて、そいつがパソコンに細工をしかけた?だとしたらこちらが有利すぎる。
この白川家の家系図のせいで、いい意味でも悪い意味でも何かが転がり始めている。
私たちではない“外部“が何かを支配しているようだ。
コアに家系図の解明を頼んだ。私は、ロルバンの基本情報を整理することにした。
ガタン、ガチャン
廊下に出て、メンバーの基本情報が整理・収納されている倉庫に向かった。
倉庫があるのは地下二階。この部屋にはいくつもの爆弾が仕掛けられている。これを作動できるのはリアムのみ。なぜこの倉庫には爆弾があるのか。それは、ki殺し屋の以外の者が倉庫の存在を知った時、その者の記憶ごと抹消するためだ。
そして、殺害部隊専用のゾーンに来た。私は一つ一つ確認しては、少し鼻が高くなる気分になった。
「あった。」
そして、ロルバンの基本情報を見つけた。
やはり彼の本名と白川という名字が一致しない。彼の経歴を見ても、白川家と関わったという情報はない。しかし、気になる点が一つあった。
それは、兄が一人いるということだ。
ロルバンの年齢は今年で44。白川家の父親の年齢はいくつだ?
私は携帯を取り出し、教景に電話をかけた。
プルルルル
『ただいま、おかけになった電話は‥』
ガチャン!
「クソが。」
私はロルバンの基本情報のファイルを床に投げた。教景がヨナスによって殺されたという情報は本当なのか?なぜあいつは連絡に出ない。
白川家について、もっと詳しく調べなければ。
家系図にある“弟“と基本情報に書かれてある“兄“は血の繋がりのある本当の兄弟なのか?
「もし、教景の父親とロルバンが兄弟ならば、教景が殺される理由もわかる。でも、どうしてヨナスが?」
私は基本情報のファイルを手に抱えたまま、部屋を飛び出た。そして、ヨナスのいる病室に押しかけた。
「おいヨナス。てめぇ教景の居所を教えるか、白川春綺の居所を教えろ。」
「あ?急だな。」
ヨナスは黙ることなく私の言うことに返答した。さっきまでだったら黙っているはずなのに。
「じゃあ教景の居所を教えてやるよ。アイツが住んでた家だよ。世田谷にあるとこだ。」
「世田谷のどこだ?」
「世田谷の成城だ。成城に教景が住んでた家がある。そこで、殺した。」
ヨナスは私が思っているもの正直者であった。しかし、これは全て嘘の可能性が高い。てか、嘘だな。
「成城に行けば教景がいるんだな?」
「あぁ。教景の死体があるよ。」
私は手に拳を作ったまま部屋を出た。
そのままの足でコアがいる仕事部屋に行った。
ガチャ
「ヨナスに聞いたら、教景は世田谷の成城にいるらしい。」
「遠いなー。まぁ行ってみる価値はありそうだな。こっちでも家系図について調べたら、父親の欄に“成城では有名な地主の子供“って書いてあったからな。」
「そうか。ヨナスの言っていることと、家系図の書いてあることは一致するということか。」
家系図の説明欄によると、古くからの地主の家だったと書かれてある。
仮にこれが本当だとすると、ヨナスが教景を殺したということは事実になってしまう。
「とりあえず、世田谷に行ってみよう。教景の安否を確認しつつ、成城の家の中を物色しよう。」
「了解。」
私は自分のロッカーからパソコンを取り出して、現時点での情報をまとめた。
いくつもの情報をまとめるという作業は、非常に重要なことである。重複している情報を削除をしたり、整理しているうちに出現してくる新たな情報を確認したり、やって損することは絶対にないのだ。
現時点で分かっている情報としては、
・依頼者は白川教景
・ターゲットは白川教景の実姉、白川春綺
・教景は実姉が所属する殺し屋『ラビットアサシン』
のメンバーであるヨナスに殺された可能性がある
・教景がいるのは世田谷区の高級住宅街、成城
こんなところか。
「コア、明後日の夜の七時に成城に行こう。」
「了解。」
コアは再び、家系図の調査に戻った。
「とりあえず、世田谷に行ってみよう。教景の安否を確認しつつ、成城の家の中を物色しよう。」
ふーん。もうすぐ“こちら“に来ちゃうんだー。そんなことしたら、私の大事な情報を抜き取られちゃうよー。
プルルルル
「ナハト?」
「なに?」
「なーんか、私の家がkiたちに物色されるらしいんよー。」
「援護してほしいって?」
「分かってるー!盗聴続けてみるから、色々分かったら連絡するー。」
「了解。」
カチャン
「‥‥楽しくなってきたねー!どんどん楽しませてくれよ、kiたち。」




