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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。勝浦編1
27/69

27もう一度、拳を握るために

「かかってこいよ。」

「容赦しないからね。ねぇ、ニクラス。」


ドン!!!


「うわっ!」

いきなりコアが倒れてきた。私は押し潰されるように倒れた。何が、何があったんだ?

「よくやったニクラス。こんな塵共、さっさと殺しちまえ。」

「コア!コア!」

「うぅ、う、」

だめだ。コアは頭を打った衝撃で動かなくなっている。コアが邪魔で戦闘体制に入れない。

徐々にニクラスが近づいてくる音が聞こえる。その巨大な足と体が近づいてきている。

「あっさりしてるねー。」

あぁ、もう、だめだ!

その時だった。

「おらっ!」

「うっ!」


ゴン!ドン!


「コア!」

コアが一気に飛び上がりニクラスを蹴り飛ばしたのだ。私は急いで体を起こした。そして、銃口をヨナスに向けた。

「あっちゃー。ニクラスそんなもんかよぉ。もっといけるだろ?」

ヨナスの呼びかけのおかげで、ニクラスは体を起こした。なんだこの化け物は。コアの蹴りを喰らったら普通は起きてはいられないぞ?何なんだ?

「コア、ヨナスをお願い。私はニクラスを倒してからそちらに加勢する。時間稼ぎをお願い。」

「りょうかいっ!」

コアは光の速度でヨナスの方に向かった。猪突猛進だ。

私もニクラスの方に向かった。

「こんにちは。今日は、負けを存分に味わってもらうよっ!」

私はトカレフを懐にしまいニクラスの足元にしゃがんだ。ニクラスの弱点は足だ。相手より常に低いところにいればきっと倒せるはずだ。


ゴン!


「うおっ。あっぶねぇ。」

私はニクラスが足を上げたことを見逃さなかった。

「さっさとくたばれ!」

私は不良共がやるような殴り合いが好きだ。絶対に負けないからね。

私はニクラスのグーパンを華麗に避け、彼の肩を持ち、右蹴りをした。

「ぐあっ!」

ニクラスはクラッとよろけて倒れ込んだ。

私は床に着地した。危うく頭を打つとかだった。

ニクラスは何も言わず、ただただ殴っているだけだった。私はそんなニクラスが、憎らしかった。

「さっさと死ね!」


ガン!


「ぐわっ!」


バタン


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」

私はその場に座り込んだ。ニクラスに蹴りを入れるのは高さが必要だ。それに加えて力強さも重要。私は疲れ果ててその場に座り込んだ。

コアとヨナスはどこに行った?この家デカすぎだろ。

私は階段を上り2階フロアを探した。すると、キッチンからコアが履いている靴がチラ見した。

「コア!」


ゴツン!


「ちょっと。俺とこいつの邪魔しないでぇ。」

階段の陰からヨナスが蹴りを入れてきた。

「痛ってぇなー。ちょっくら本気だしちゃうけど?」

「へー。アンタってそんなに強いんだ。確かに、ナハトに蹴りを入れてのびたって聞いたしね。まぁ、楽しませろよ?藤沢貝。」

「先にお前が死ぬよ。川蔵。」

「チッ。その名を呼ぶなっ!」

きた!かなり速いスピードでこちらの顔下まできた。

「ふっ!」

私はヨナスの蹴りをかわした。今度はこっちの番だ。

「しねっ。」

「おー!良い蹴りだね!」

そしてヨナスが再び蹴りを入れてきた。こんな感覚は初めてだ。

「いいぞ!もっとこいっ!藤沢!」

誰も関与できない空間で、私とヨナスの殴り合いは続いた。もう、仲間のことなんてこれっぽっちもなかった。

「ふじ、ふじ、さわ!」

ヨナスは突然にして殴る手を止めた。そして、ひらひらと床に倒れそうになった。

「終わりだ!」

コアがヨナスの肩を支え、包み込むように抱きしめた。

は?なぜだ?どけよ。こいつがコープスを殺したんだろ?さっさと死にやがれよ。

「もうお前の勝ちだ!これ以上やったら死ぬぞ!」

「それがなんだ。こいつが、コープスを殺したんだぞ?てめぇはそれが分からないのか?」

「俺たちの目的は生きてこいつらを捕えることだろ?別のことやろうとすんな!」

私は、ふと我に帰った。

「え、あ、また、だ‥‥。」

「こいつはお前が殴り続けたせいで意識がない。すぐにアジトに連れていくぞ。」

顔が傷だらけになったコアが目を光らせて言った。この眩しすぎる眼差しに勝てるほどの殺気はなかった。

「お前、ニクラスもやったのか?」

私はゆっくりと頷いた。コアは驚いて笑った。

「本当にお前すげーな!どんだけ強いんだよ!」

大袈裟に笑うコアを見て私は安堵した。彼は無理矢理でも私を我に帰らそうとしたんだ。なぜだ。なぜ気づかなかったんだ。

「こっち待つよ。」

私はヨナスの右肩を持った。

「ありがとう。」

コアは再びニコッと笑った。



ピー、ピー、ピー、ピー


私は意識を失ったヨナスとニクラスの様子を見に行った。二人は呼吸気をつけて眠っていた。

「カスが。」

私は扉を強く閉めた。あーイラつく。

そのまま足でコアのいる仕事部屋に向かった。


コンコンコン


『はーい。』

部屋の中から声がした。私は扉を開けた。部屋の中にはパソコンと睨めっこをしているコアがいた。

「何してんの?」

「春綺についての調べ事。」

「あとどれくらい?」

「5分。」

「了解。」

私は自席についてトカレフを弄り出した。早い弾を撃つよりも正確に弾道を合わせる方が戦略的に強い。勝ちにつながる。私はトカレフの内部に作為を加えた。

「終わったー!」

「じゃあ行くよ。」

私はトカレフの蓋を閉めて懐にしまった。

「今日って俺らだけ?」

「あとはジャックが来る。もう向かってるってよ。」

「了解。」

私たちはコアの車にたどり着いた。黒塗りがイケてる車体だ。

「気ぃ引き締めていけよ。」

「分かってるって。」

コアは車のスピードを上げた。

私たちはある場所に向かっていた。

それは、


ガチャン


「お疲れー。」

私とコアは車から降りた。六月なのにも関わらず暑い日が続いている。苦しいばかりだ。

「あいつも喜んでるよ。」

私は、コープスの墓に花を飾った。

「‥‥。」

コープス、お前を殺した奴、捕えたぞ。見てるか?必ず納得のいく結果にするからね。見ててね。

「コープスっていい奴だったよな。」

「うん。」


プルルルル


「ごめん、ちょっと。」

コアは電話のため離席した。

私はしばらくジャックと話した。近くのベンチに座って。

「貝は、よくコープスを見ててくれたよな。あいつもお前のこと良く話してたよ。多分、日本で一番舵をとれる高校生だって。」

「そう言ってもらって嬉しいよ。でも、あいつが思ってるのはそんなことじゃない。」

「無理すんなよ。油断したらすぐに死んじまう世界だからな。」

私はジャックを見てコクリと頷いた。


「はぁ、はぁ、はぁ、!貝ちゃん!ヨナスが目覚ましたって!」

何て空気が読めないんだこの男は。

「了解。じゃまたな。ジャック。」

「またな。」

私は立ち上がりコアの後ろをついて行った。

「ありがと。」

コアに助手席の扉を開けてもらいお礼を言った。

「電話の相手がロルだったんだけど、ヨナスがなんかやべぇ発言したんだってよ。」

「え?何て?」

「クララの弟はとっくに殺したって。」

私は、背筋が凍った。

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