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殺し屋JK、ターゲットは父親でした。  作者: 椿原菜湖
殺し屋JK、ターゲットは父親でした。勝浦編1
25/69

25記録にない殺意

『続いてのニュースです。三ヶ月前、千葉県勝浦市で発生した勝浦一家相殺事件について、警察は、一家の姉が家族を殺害したと断定しました。________

現場となった自宅からは、被害者全員の血痕が検出されましたが、姉の血痕だけは一切確認されなかったとのことです。また、事件で唯一生還した弟は、姉とは連絡が取れないと供述しています。

長年、神奈川県警で殺人事件を捜査してきた太田氏によると‥‥‥。』

勝浦一家相殺事件。千葉県勝浦市で起きた一家が殺し合った事件。殺し合いの末に生き残った唯一の者、弟の白川教影。彼が沈黙を破る時、この事件の本当の姿が明らかになる。

タッタッタッタッ!


「コープス!」

高台での狙撃担当だったコープスが何者かに撃たれたと知らされた。私とコアは急いでアジトに戻った。

「林村!コープスは?!」

「セレナ。コープスの左胸にポッカリ穴が空いちまったよ。即死だ。」

私は、彼の言葉を受け入れられずにいた。コープスが死んだ?

私は林村の胸元を掴み、睨みつけた。

「何やってんだよてめぇはよ?!」

林村は泣き目を浮かべていた。私は滅多に怒鳴ったことがないからだろう。彼はとても怯えていた。

「や、やめろ!もう手遅れだったんだ!」

「セレナ!」

コアが私の名前を叫んだ。そして、私に一回ビンタを食らわせた。


パチン!


「仲間に手出すんじゃねぇぞ!」

コアは私より強く私を睨んだ。

「辛いのはわかる。だが、これがラビットアサシンというものなんだよ。こいつのためにも、あいつらを殺そう。」

教景が依頼してきた白川春綺がいるラビットアサシン。コープスを殺した仇にしてやるよ。

私とコアは他のメンバーとの合流を待った。

後から聞いたことによると、コープスと共に狙撃班だったナルは、到着後すぐに各位置に行ったという。その後、何度も銃声音が聞こえる中、二人は長銃を構えていたという。銃声音が鳴り止んだわずか数秒後、コープスの叫び声とともに何者かの銃声音が聞こえた。ナルは持ち場をすぐに離れてコープスのいるビルの屋上に向かった。そこには、血だらけになりすでに生き絶えていたコープスがいたという。

ナル曰く、コープスを撃ったのは私たちが狙撃された時と同じ人間だという。銃に詳しいナルは音だけでだいたいの銃種が分かる。その時と同じ銃声音だった。

私たちは、コープスを殺害したのはラビアサのメンバーだと認定した。



「コープス。」

その後、コープスのお通夜が開かれた。ki殺し屋の各部隊のメンバーが集まった。加えて、各部隊一人ずつ手下を連れてきた。

コープスが所属していた死体処理部隊のメンバーであるジェイコブ、ジャックも参列していた。

ジャックは子供のように泣きながらコープスの仏壇に体を預けていた。

「うわぁぁぁぁぉぁぁぁぁぁ!」

ジェイコブは一人で黙々とコープスの私物を仕分けていた。ロルバンは外でタバコを吸っていた。みんな自由な行動をしていた。

すると、コアが大きな声で言った。

「解散だ!」

コアはコープスと不仲だったため、とても帰りたがっていた。私はみんなに挨拶をしてコアの後を追った。



「暑いねー。」

コアが仕事部屋にやってきた。今日は水無月の十六。地球温暖化がどーとかこーとかで気温が急上昇。水無月なのにも関わらず余裕の三十度越えだ。コアは黒色の半袖姿になっていた。

「貝ちゃんの夏服可愛い〜!」

流石に冬服から夏服に着替えた。私の学校の夏服は可愛いで評判だ。

「んなこといいから。教景の依頼を調べるぞ。本人も呼ぼう。」

コアはおっけーと言い教景に電話をかけた。

私はその内に依頼者情報とホシ情報について調べた。この作業はかつてジョセフがやっていたが裏切り死亡したため、私が行っている。許せない相手だが、大変な作業だったと認めてやろう。

「十分後に来るって。」

「了解。その内に今回の依頼を確認しよう。」

コアはコクリと頷きお得意のタイピングを始めた。

「今回のホシは白川春綺。彼女はラビットアサシンのメンバー。依頼者は弟の白川教景。春綺が家族を殺し唯一逃げ延びたのが弟。基本情報はこんくらいだ。」

「了解。」

私とコアは、教景が来るのを待った。




コンコンコン


「セレナ、白川が来たぞ。」

扉の隙間からロルバンが顔を出した。私は入室の許可を出した。

「こんにちは。」

教影は身長が高く、ガタイのいい男だった。私は彼を椅子に座らせ、話を聞いた。

「まず第一に、このことを外部に漏らしたらお前を殺す。」

教影は力強く頷いた。そして、自分のことを話し始めた。



2011.3.25

白川一家。近所では有名な地主一家であった。父親の白川悠仁。母親の白川真奈美。長女の白川春綺。次女の早綺。長男の悠介。三女の実綺。次男の悠悟。三男の悠兵。四男の教景。四女の紀香。

八人兄弟の長男長女は20歳を超えており、何度もお見合いを迫られていた。しかし、二人とも断り続けていた。

『お母さん。実綺さんが黒百合を植え替えていませんでした。』

白川家では、父親と母親の意向によりお互いを監視し合っていた。江戸時代でいう五人組制度に近い。

兄弟の中でも両親に好かれようとする者はいた。特に次女の早綺と次男の悠悟だ。気の強い早綺が悠悟を洗脳しているようだった。

兄弟の中でも、まだ常識人であったのは教景と実綺だった。早綺は両親に気に入られていたが、本人はそれを大いに嫌っていた。

末っ子の教景と紀香の二人は夜間に家から出て庭の草を食べたりしていた。なぜなら、この家では、気に入られている者しかまともな食事を与えられていなかった。バランスの取れた食事を食べれたのは、兄弟上から数えて五人だった。

残りの三人はお粥のみだった。

三男の悠兵は栄養失調で寝込んでいた。悠兵が倒れたのは、彼が9歳の時だった。もちろん学校にも行っていないし、人脈もゼロ。完全に家の中で生活してきたのだ。

倒れた悠兵の面倒を見るのは四男と四女であった。

悠兵は毎日のように、自分のことを殺してくれと言っていた。しかし、末っ子の二人は悠兵のことを元気づけていた。

ついに悠兵は呼吸をすることすら困難になってきた。

『教景と紀香。二人は必ずここから逃げるんだ。いつか誰かが兄弟を殺すだろう。二人で暮らして生計を立てるんだ。そうすれば、幸せだから。』

悠兵は紀香に抱かれながら息を引き取った。



三年後の2014年、長女の春綺の婚約が決まった。その頃、教景は13歳になっていた。

春綺の祝言の日、家族で食事を取った。祝言の日でも二人はお粥のみだった。

遠くから聞こえる家族の声。紀香は泣きながらお粥を食べていた。

『逃げよう。必ずここから。お兄ちゃんに着いてきてね。こんな生活するくらいなら、二人で暮らそう。』

紀香は小さく頷いて便所に向かった。

教景は紀香に見られないところで静かに泣いた。

その時だった。

遠くから叫び声が聞こえたのだ。


ガシャーン! ドンッ、ガチャーン!!


『きゃぁー!』

教景は感じたことのない恐怖心に駆られた。扉を開けて外の様子を伺った。そこには、信じられない光景が教景の目に映った。

それは、家族同士が殺し合いをしている様子だった。

すでに二人、血だらけで倒れていた。長女の春綺は大きな包丁を手に周りの人間を殺そうとしていた。母親と次女の早綺はお互いを盾に逃げ回っていた。唯一、春綺に立ち向かっていたのは父親の悠仁だった。

それ以外は逃げ回るか、言うことを聞かないでいた。

『結婚なんてしたくないっ!こんな生活するくらいならお前ら殺してやるーーー!!!』

春綺は次々と身内を殺していった。

教景はふと思った。”必ずここから逃げるんだ“

教景はお粥のスプーンを手に持ち裏口に向かった。向かっているうちに何度も足を止めた。なぜなら、紀香を置いてきたからだ。

案外にも早く裏口たどり着いた。盗んだ鍵で扉を開けようとした瞬間、遠くから紀香の声がした。

『お兄ちゃーーーん!!!』

教景の目に涙が滲み、視界がぼやけた。

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