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【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~  作者: ハムえっぐ
第2章 英雄の最期

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第20話 発動する策謀

 そして私たちは盗賊の根城である、洞窟へとたどり着いたのだ。

 2人の見張りを残し、他の連中は寝ているようだ。

 洞窟の中からは寝息が聞こえるし明かりも漏れている。


 さて、どうするかな?


「私が魔法を撃ち込んでみる?」


「洞窟内に盗賊だけがいるならそれでもいいが、そうじゃない可能性もある。もし旅人を襲って捕まえていたら、盗賊と一緒に犠牲になるぞ」


 冷静にリョウに言われ、慌ててぶっ放そうとした魔力を霧散させる。

 そっか。もし捕まっている人がいたら助けなきゃだし、ここは慎重に行くべきか。


「ここまで来て四の五の言っても仕方ないわ。見張りをさっさと片付けましょう」


 ベレニスはそう言うと、レイピアを構えて駆け出した。

 リョウも飛び出し、見張りの2人がそれを察知して剣を構え、叫ぼうとする。

 が……その前に、リョウとベレニスにやられて昏倒していった。


「殺さないのですか?」


 不思議がるナフトさん。


「私が甘い考えですけど、盗賊でもちゃんと罪を償って生きるべきだと思っています。ですので、2人にもお願いしているんです」


 私はそう答えると、リョウとベレニスに続いて洞窟へ入る。


「なんだあ! テメエら」


 中には15人程の男たちがいて、私たちを見て声を上げた。

 そして奥から髭を生やした、がっしりした体格の男が出てくる。

 こいつが頭目かな? 兵士っぽい鎧を着ているし。

 他の盗賊たちは驚いてたじろぐが、頭目の男が一喝するとすぐに武器を構えて私たちに襲いかかってきた!


 1分に満たぬ戦いは、私の魔法とベレニスのレイピアに精霊魔法、リョウの剣によって、あっという間に終わりを告げる。


 リョウが手にしている剣は普段の愛剣ではない、ドワーフの里の剣。

 いつもの漆黒の剣はクルトさんに預けてメンテ中だ。

 でも名剣具合は負けず劣らずみたい。

 リョウは満足そうに剣を眺めている。


 仲間がやられるのを見ていた頭目は敵わないと悟ったのか、私たちに短剣を抜き放って背後にあった扉へ駆け出す。


 逃がさない!


『炎よ。我が魔力を糧とし、矢となって飛翔せよ』


 私は呪文を詠唱し、炎でできた矢を撃ち込む。

 頭目は咄嗟のことで反応が遅れ、足に炎の矢を受けて転倒した。

 そこにリョウが駆け寄り、剣を突きつける。

 そして頭目の男は、観念したように短剣を地面に落とすのだった。


「数が少ないな。100人はいるという話だが、ここにいるのは15人程か。残りはどこだ?」


 リョウが問い糾す。


「さあ、なんのことだか。よお、テメエ、アランの傭兵か? どうだ? 俺たちの仲間になんねえか? ……こんなところに女連れて乗り込むなんて、碌な稼ぎねえんだろ?」


 頭目の男は、リョウに媚びを売るように言ってきた。


 あんまり強そうには見えないけど、アラン傭兵団の名は知っているみたいね。


 リョウはどうするんだろう?

 まあ、答えは決まっているけどね。


 私は少しだけワクワクしながら、返事を待つのだった。


「……そんな問答をしに来たんじゃない。頭目はあんたでいいんだな?」


 リョウは男の話に乗らず、尋問を再開する。

 男は舌打ちして返事をしようとしない。


「ザガンまで連行して、後は我らが取り調べを致しましょう。御足労ですが連行するのに、ご協力願えますでしょうか?」


 ナフトさんがそう言うと、男たちは諦めたのか観念したようであった。


「あっさりすぎね。歯応えもなくてつまんないわね」


 ベレニスはそう不満を漏らしながらも、レイピアを鞘に納める。

 私も一応警戒を解いてはいないが、もう大丈夫だろうなとは思った。

 でも、リョウは剣の柄に手を置いたまま洞窟内を見回す。


 何か気になることでもあるのかな?

 と私は思い、リョウが何を見ているか確認するために、同じ方向へと視線を向けた。


 ……そこには食事をする為に使用されたと思われる窯跡があり、蓋が被さっている。


「使用された形跡がある……それも数時間前で100人分以上」


 私は窯跡からそう分析すると、ハッとする。


 リョウは私が言い終わる前に駆けだし、頭目の男に詰め寄った。


「どこの村を狙った! 答えろ!」


 リョウはそう怒鳴り付けながら、男の胸元を掴み上げる。


 男は苦しげに呻くが、リョウの剣幕に怯え、観念したように口を開いた。


「フフ……フハハハ‼ 俺たちゃただの居残り組よ! 本当の頭目は、ドワーフの隠れ里とやらを襲撃する為に向かったのよ!」


 なんてことだ。

 私たちが盗賊退治に向かったのと同日に、盗賊がドワーフの隠れ里を狙うだなんて!


 盗賊がどうして隠れ里を知っているのか疑問もあるが、それ以上に疑問なのが……


「は? あんたらみたいなのが束になっても、ドワーフに勝てるわけないでしょ? な~にイキってるんだか」


 私と同じ疑問をベレニスも思ったらしく、そう口にする。


 ドワーフは武力に優れた種族だ。

 それが数百と暮らしている場所を、100人に満たぬ盗賊が襲っても返り討ちが関の山だ。


 だが男は自信満々な顔をすると口を開く。


「正々堂々まともに戦うと思ってるたあ、お花畑だなあ! こっちにはドワーフの斧すら通さず、丸呑みすらしちまう化け物がいるのよ!」


「まさかあり得ない! 竜しかそんなの不可能だけど、この近くに竜なんているはずがないじゃない!」


 ベレニスが苛立って叫ぶ。


 竜はエルフやドワーフより更に希少な存在だ。

 七英雄に赤竜ドラルゴがいるが、一口に竜といってもピンキリだ。

 神話の女神に近い存在の、人語を解す赤竜から、人と一切相容れぬ存在の邪竜、亜人種に分類される飛竜に至るまで千差万別である。


 一般的に認知されているのは赤竜王ドラルゴや青竜のリヴァイアサンだが、太古には人語を解す黒竜デスタリオも存在し、女神フェロニアと戦ったという逸話がある。


 千年前の魔王軍との戦いでは赤竜以外の、黒竜・青竜・飛竜・黄竜・地竜・邪竜が魔王軍に与したと文献には残っている。


 今の世でも、赤竜以外は目撃情報があるにはあるけど……


「その通りね。ハッタリもいいとこ。竜なんて巨大な生物がいたらとっくに目撃されているし、そもそも竜が盗賊に従うはずがない」


 私もベレニスに続いて口にするが、男の口元は歪んだままだ。


「そりゃあ、俺たちにはなあ」


「勿体ぶらずに答えろ」


 リョウの剣が男の喉元に突きつけられる。


「ルシエンとかいう魔女だよ! なんだよちくしょう! ここには若い傭兵が来るけど大したことはない、好きになぶり殺せばいいって言われたのに! こんな強い上に、魔女とエルフを引き連れているなんて聞いてねえよ!」


 ルシエン? ルシエンて……ナフトさんと一緒に隠れ里に現れて、リョウに盗賊退治の依頼をしてきた女の人……


 ナフトさんの顔から血の気が引いた。


 リョウが剣を引き男を突き放す。

 男は尻餅をつくが、すぐさま立ち上がって逃げる。


 だが、ムカついたっぽいベレニスの風魔法をモロに食らって、壁に激突して気絶していった。


「引き連れてるって何よ!」


 やっぱりそこか!


「わ、我らザガンはルシエンとは関係ない! ほ、本当だ」


 ナフトさんはしどろもどろだ。


「……それは信じよう。急ぎ戻ろう」


「待ってリョウ! ベレニスもナフトさんも私に捕まって! このぐらいの距離なら転移魔法で戻れる!」


「ちょっとローゼ! フィーリアを放っとくわけにはいかないわ。……私がフィーリアと合流するから先に行ってて!」


「こ、この盗賊どもを放置するわけには……」


 ナフトさんの視線の先は、盗賊共のお宝がありそうな部屋。

 まあナフトさんたちザガン領は、盗賊よりそっちが本命だとは思っていたよ。


「わかった。ベレニスはフィーリアを頼む。ナフトさんはこいつらを縛り上げて、無理はしないようにしてください。……じゃあローゼ、頼む」


 リョウが私の手を取る。

 すでに転移魔法の準備は完了していて、後は魔法を発動させるだけの状態。

 もう駆け出して後ろ姿になっているベレニスに、一言『無事でいてね』と呟くと、私とリョウはこの場から消えた。


 ***


 目を開けると、目の前にはドワーフの隠れ里が視界に入る。

 驚くドワーフの戦士たち。

 良かった、まだ開戦前だ。


 見上げると巨大な黒竜が咆哮を上げながら、今まさにドワーフの戦士に襲いかかろうとしている瞬間だった。

 

次回第21話「とある英雄候補の死」

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