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【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~  作者: ハムえっぐ
第1章 復讐の魔女

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第35話 改竄魔法

 ムニュっという、顔に何やら不快感のある感触。

 柔らかいムニュっとしてるのは何だ?

 目を開けると私の視界を遮る五つの指。


 って、足裏かよ!


 私の足元からはベレニスの寝息が聞こえてくる。

 おにょれベレニス。

 一緒のベッドで寝ているのは別に構わないけど何故に逆さで寝ているのだ。


 私はベレニスの足を掴み、顔からどかして起き上がる。

 窓の外は白み始めていて、朝であることを知らせている。


 そして……


 ベッド脇の椅子に座ったまま眠るリョウが目に入る。

 その姿を見て、私の中で何かが込み上げてくる。


「起きたか。……身体の具合はどうだ?」


 リョウは私が目覚めたことに気づいて起きたようだ。


「うん、平気。リョウこそ、一番ボロボロだったじゃない。大丈夫なの?」


「ああ、神聖魔法とやらの治癒で傷は癒えた。もう痛みはない」


「良かった。それで……」


 部屋を見渡しここが医療室だとわかり、私は問いかける。

 ここにいない、ディアナさんのことを。


「ふわあ。なんかうるさいわね……あっ! 傭兵‼ なんで乙女2人が寝てるベッドに! キモッ‼」


 ベレニスがムクリと起き上がり、リョウを見てなんか言ってるけど、目覚めから元気だなあ。


「おはよ、ベレニス。ベレニスは元気そうね」


「もうローゼったら、魔力切れで倒れるなんてまだまだね。安心して。傭兵にここまで運ばせたから。そんで私も眠くなったから寝ちゃったのよね。で? 傭兵はなんでここにいるのよ、スケベ」


「誰がスケベだ。ここにいなさい。いなかったらオルタナさんに言いつけてやるって言ったのは誰だ⁉」


 そんなリョウの言い分に、ベレニスの視線は虚空を漂うこと数秒。


「テヘッ♪」


 と可愛いく舌を出すベレニス。

 ま、いいけど。


「ディアナ嬢は拘束され、牢に入れられた。意識はあるが、目は虚ろで何も喋らないでいる。ビオレール側は城内で怪しげな魔法陣を展開した罪と、衛兵への魔法攻撃を罪とし裁く方針だそうだ」


「ま、妥当じゃないの? 死者はいないし、大怪我は傭兵だけだったし。私たちの領主殺しのほうも、領主代行っておっさんが疑念の余地あるとか言って保留にしてくれたわよ。そんでもって、ビオレールから出ちゃ駄目だけど、牢には入れないらしいわ。オルタナとギルマスのおっさんもとりなしてくれてるみたいだし。まあ、大丈夫なんじゃない?」


「……そっか」


 バルドさんも私たちに加担した罪は問われていないみたいだし、オルタナさんも味方になっているみたい。


 意外なのはリョウが仇の1人として狙っていて、宰相の側近として評判最悪のトール領主代行が、私たちを庇ってくれているっぽいことだけど。


 コンコンと扉がノックされ、オルタナさんが気さくな仕草で入ってくる。


「やあ、話し声がするから目覚めたのかと思ってね。どうだい? 気分は?」


 そう言いながら、私たちに飲み物を渡してくれた。


「はい、大丈夫です。……その」


「なんだい? 私にできることや、話せることなら何でも言ってくれたまえ」


「ありがとうございました。私たちの味方をしてくれて。……城に潜り込んでいきなりオルタナさんと出会って、リョウと戦闘になって、ホントどうしようって思いましたので。……でもどうして途中から私たちの味方を? 領主ハインツ伯爵を殺害した犯人って疑われていた私たちなのに」


 するとオルタナさんはクスッと笑う。


「そのことか。なに、私は最初から他の人たちと違って改竄魔法とやらにかかってなかった。それだけさ。それと他に情報を持っていて、君たちが領主殺しの犯人なのはあり得ないのも知っていたからね。まあ、リョウ君にはすぐに見抜かれたようだけどね」


「「ええっ‼」」


 私とベレニスは驚きの声を上げた。


「じゃ、じゃあなんでリョウに攻撃を⁉」


「私にだって立場と守るべき部下がいる。上の命令は絶対だからね。下手に動くよりは君たちの行動を予測し、初手は絶対に私が頂くと決めて行動していた。……いやこれは言い訳だね。単純にリョウ君と真剣に戦える絶好の機会と心躍ったのが本音……かな?」


 えぇ……それって戦うことが大好きな戦闘狂ってことじゃん。

 絶対この人も危ない人だよ……


「私たちが犯人じゃないってのはどうして? 真犯人はわかってるんですか?」


「そこはまだ秘密でね。時が来たら教えよう」


 チラッと脳裏に、小金貨6枚で私たちに依頼してきた日を思い出す。

 もしかすると、オルタナさんに調査費を渡して調べるように頼んだ人って……


「ププッ! 傭兵はボロボロにされてたもんね」


「否定はせんよ。はあ……いい迷惑だ。……それでオルタナ殿。なぜ、貴殿はディアナ嬢の改竄魔法にかかってなかったのでしょう?」


「う~ん。今のところ、バルド殿と私ぐらいだね。共通点といえばどちらも武人で腕が立つぐらいと、チラッと耳にしたディアナが言う10年前という時期。その時期は私もバルド殿も、王都ベルンにいたぐらいかな? ハハ、正直、さっぱりわからない」


「ま、いいじゃない! それより、朝ご飯食べに行くわよローゼ。オルタナ! 奢ってよね?」


 ベレニスに言われ、オルタナさんは苦笑いしながら了承する。

 10年前にオルタナさんとバルドさんは王都にいた……か。


 仮説だが一つの推測はできる。

 改竄魔法とは、他者の意志や記憶を変更する魔法を指す。

 一度この魔法の効力を受けた人は、今後同じ種類の魔法の効果を再び受けることはないのではなかろうか?


 魔法とは本来、自然界で異質な力であり、空中に漂う目に見えない物質からエネルギーを得ることで奇跡を起こす。

 しかし、改竄魔法は自然の法則に反し、異質な力を人為的に作り出すことは矛盾していると言える。


 そのため、改竄魔法の反動として、一度受けた者の肉体に何らかの耐性が生まれることは不思議ではない。


 他に王国騎士や民間人にも、10年前に王都にいた人はいるかもだけど、直接私たちに関与していなければ疑問にも思わないのかも。


「どしたのローゼ! 早く行くわよ!」


 ベレニスとオルタナさんは部屋を出て行っている。

 リョウは私を待ってくれているみたい。


「行こっか。やることいっぱいあるし。まずは食事してお風呂入って英気を養って、ディアナさんと面会してなんとかして、領主を殺した真犯人も探さなくっちゃね。あ、他にもベレニスの服も買わなくっちゃ」


 私が指折り数えていると、リョウが突然クスリと笑った。


「ローゼはローゼだな」


「なにそれ、もしかしてバカにされてる?」


 ベッドからリョウの手を取って降りる私。

 彼の体温に触れながら私は思う。


 みんな無事でよかった、と。

 

次回第36話「魔女仲間」

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