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【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~  作者: ハムえっぐ
第1章 復讐の魔女

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第27話 王女

「その日、私は5歳の誕生日だった。パーティーは盛大に行われた。私は国中から貴族が領地から集まって祝福してくれる中ではしゃぎまくっていた。公爵家に同い年の女の子が2人いたんだけど、その娘たちを連れ回してね。父や母は遊び疲れてすぐに寝ちゃうんじゃないかと心配していた。『大丈夫かい? ローゼマリー』なんて言ってきたけど、パーティーが終わってからの最大の楽しみに、私は絶対寝ないよと目を輝かせて言った。だって、久しぶりに両親と一緒のベッドで眠れる。それが本当に嬉しくて、幸せだったから。あの本を読んでもらおうとか、この本も読んでもらおうとか……」


 パーティーが終わり、お待ちかねのベッドでの両親との時間を楽しみにしていた私。


 それは父も母も同じだったと思う。

 その日、私の好きな御伽噺や絵本を寝物語として読んでくれたのだ。

 とても幸せな時間だった。


「夜中に目が覚めてトイレに行った時は、異変はなかった。寝室の外で護衛していた、親衛隊長のアデルと一緒にトイレに行って戻った時、既に黒髪の漆黒の剣を持つ魔女……ノエルと両親が戦ってた」


 結果、私とアデルは母ローラの転移魔法で、遥か北の地スノッサの森に送られた。

 最期に目に焼き付いたのは両親が殺されるシーン。


 そして森で出会う魔女ディル。

 私は魔女になって復讐する力を願った。


「ディルの出した条件は、期限は10年間で1人で修行すること。アデルについては王都へ送り返されるが、王と王妃の暗殺と、王女失踪の罪で処刑されるだろうとの会話があった。私はどうでもいいけど、アデルが処刑されると聞いて仰天した私は追加で願った。なんとかして、と」


 結果、王夫妻と王女は病死したという事実になり、殺害という行為がなかったことにされた。


「歴史的事実と実際に起きた出来事は違うし、両親の死が本当は暗殺だったのに、認知されてない現実に拭いきれない違和感はあった。けど、私が魔女となって両親を暗殺した者と、なぜ暗殺したのかの理由を突き止めればいい。……そう考えて10年ディルに師事し、修行を重ね、旅に出てリョウと出会い、ベレニスに出会った」


 私はここで言葉を止める。

 正直反応が怖い。

 リョウは貴族を快く思っていないし、ベレニスは一見能天気に見えるけど、嘘を不快に感じているのは共に行動していてわかっている。


 きっと嫌われただろうなあ……

 でも、2人には隠し事せず話したかったから後悔はない。


「ちょっと! 出会ったの一言で終わらせないでよ。すんごく可愛くて、超絶美少女なエルフに出会ったからラッキーとかあるでしょ?」


 ベレニスのいつも通りな、アホな発言に私は笑う。


「ベレニスと出会った時は、一緒にパーティーを組むとは思ってなかったよ。でも今では仲間だし親友だよ」


 その発言に、今度はベレニスが笑う。

 私の頬に手を伸ばし、ツンツンとつついてくる。


 少しくすぐったいけど、嬉しそうな彼女を見ていると嬉しくなる。


「傭兵も何か言いなさいよ! 真っ先に言わないなんて、男としてどうかと思うわ。まあ傭兵のことだから、仲間とか親友とか好きだとか、素直に言うのが恥ずかしくて言えないのもわかるけど」


 ほえっ⁉ すすす好きって!

 ベレニスの言葉にリョウは何も言わない。

 まるで石像のように動かない……って、えっ⁉ 何で赤くなってるの?


 やがて彼は私に向き直り告げる。

 その声は若干震えているような気もした。

 でも言った内容はいつも通りだ。


「俺はローゼの過去を詮索するつもりはない。もし話したくなったら、話してくれればいい。あーその、なんだ。ローゼが王女だろうが魔女だろうが、俺にとってはローゼはローゼだ。遠慮はいらないし、するつもりもない」


「リョウ……ありがとう」


 嬉しかった。

 私を私として見てくれるのが、こんなにも嬉しいことだなんて知らなかったなあ。


「は? 相変わらず傭兵はダメダメね。ここはキスする流れでしょ」


 ベレニスがやれやれといった態度をとる。

 こらこら、そんなことするわけないでしょ。

 だが……まあ少しぐらいなら? と思わなくもなかったり……

 い、いや! 今はそんなことよりも!

 リョウは扉に手をかけ出ていこうとしているし!


「先に告げた通り、俺が城に斬り込む。その間に2人は逃げろ」


「あらら、話が振り出しに戻ったわね」


 ベレニスが呆れ顔で言う。


「リョウ。そんなの私もベレニスも望んでない」


 ここだけは譲れないから!

 扉に手をかけるリョウの手に手を添える。


「死ぬつもりはないさ。アランの傭兵の俺だ。捕虜にして、傭兵団に確認してから処刑するだろう。その間にローゼとベレニスが対抗策を考え、実行すればいい。だから2人は逃げ……」


 私はリョウの言葉を遮るように、彼の頰を両手で挟み込む。


「リョウの考えはわかった。たしかに今すぐ出来る策かもしれないけど、それでも私は反対する」


「成功率と生存率というのがある。傭兵は成功率を重視する」


 成功率とは、この状況では真相を暴けるかって意味だろう。

 たしかにこのまま街を脱出しようにも、誰かを犠牲にしなければ無理かもしれない。


「俺が脱出の時間を稼ぎ、ローゼとベレニスが真相を暴くのに賭けよう。反対するなら、それなりの策を提示するのが筋だ」


 合理的な考えだし、それがリョウの強みであるのはわかっている。

 でも! 私は傭兵じゃない!

 だから……たまには我儘な女の子になってもいいよね?

 王女ローゼマリーとしてではなく、魔女ローゼでもなく、1人の人間として私の思いを伝えるよ。


「私は、リョウの側にいたい。これからもずっと……」


 私の発言に、リョウは目を丸くして固まってしまう。


 ベレニスは、そんな私とリョウをニヤニヤしながら見ているけど……まあいっか!


 というか固まってないで何か言ってくれええええ!

 恥ずかしいいいい‼


 何秒経ったか……ようやくリョウが口を開こうとした瞬間だ。


 扉がコンコンとノックされる。

 誰? まさか衛兵!

 ここにいるとバレた⁉


 リョウもベレニスも警戒する中でガチャリ、と扉が開く。

 扉の向こうに立っていた人物は、私たちのよく知る人物だった。


「ここにいたのか」


 私たちを見て短く呟く人物。

 ビオレール冒険者ギルドのマスターのバルドさんが、無表情で立っていた。


 私たちが警戒する中、バルドさんは部屋の中へと足を踏み入れる。


 リョウは私を庇うように前に立ち、ベレニスも私に寄り添うように立ってくれていた。


 ドカンと座るバルドさんは、腕組みしてまた短く一言。


「説明しろ」


 納得のいく説明をしないと、ここから出て行かないぞと言わんばかりに、私を見つめてきたのだった。

 

次回第28話「助っ人」

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