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【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~  作者: ハムえっぐ
第1章 復讐の魔女

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第20話 狂気に満ちた少女

「まだ教会内への立ち入りは禁止のはずだが?」


 私たちに気づき、厳しい顔を向ける司祭。

 その顔には驚きの表情が浮かび上がる。

 私たちにではない。


 先程殺されたはずの兵が、無傷でリョウに抱えられているからだ。


「……何故そいつを貴様らが! ……まさか。いや、そんな馬鹿なことが……」


 司祭は最初こそ驚きの表情だったが、すぐにある考えに辿り着いたようで表情を歪める。


「魔女が! 幻影魔法でも使ったのか! おのれっ! いつから忍び込んでおった!」


 司祭の大声で、シスターたちが駆けつけ、長槍を手にして私たちを囲む。

 そこにはジーニアと呼ばれた少女も、漆黒の剣を手にし、ニヤニヤして立っていた。


「……結構最初から。あの奥の部屋の魔法陣、南の山にあった邪神崇拝の教会にあったものと同じですね。まさか同じ物があるなんて……」


 私は少し呆れたような声でそう話す。


「領主が確認しているのも見た。あれは人の血肉で魔法陣を描き、災いを呼び寄せるらしいな。……まさかそんな代物を呼び寄せようとする領主や司祭がいるとは」


 そう話すリョウは、すでに剣を抜いていた。

 その刃の輝きを見て、司祭が後ずさる。


「もう遠慮なくやっちゃっていいんでしょ、ローゼ? てか傭兵もよく我慢したわね。さ、チェックメイトよ。兵士や領主もこの場にはいないから、もう暴れても問題ないわよね」


 ベレニスもレイピアを抜く。


「ジーニア! このたわけが! 斬り殺したのが幻影だと気づかなかったのか! いや! それ以前にこいつらを中に侵入させてどうする! この役立たずめ!」


 司祭は罵倒するが、ジーニアはニヤニヤしたまんまだ。


 ……やっぱり。


「気づいてたのよね。……単刀直入に聞くけど何者? その漆黒の剣も気になるから、由来を教えてくれると嬉しいかな?」


「な、何だと⁉ 気づいて見逃していただと⁉ ええい! お前ら何をしている。早くそいつ等を始末せよ!」


 司祭の叫びに、ジーニア以外のシスターたちが一斉に動くが、リョウとベレニスの剣技の敵ではなく、あっという間に峰打ちで倒れていった。


「キャハ♥ 強いつよーい、司祭様逃げてぇ♥ お城から衛兵呼んだほうが良くなぁい? 出ないとこの人たちに殺されちゃうぞぉ♥」


 ジーニアは司祭を見下しながら、心底楽しそうに喋る。

 その目は狂気に満ちていた。


 私はそんなジーニアに問いかける。


「もう一度聞くけど、あなたは何者?」


 私がそう聞くと、ジーニアはコテンと首を傾げ、にんまりすると嬉しそうに笑う。


 司祭は逃げようとするが、入口側にいるのは私たちだ。


「こんなところで死んでたまるか! 儂がどれだけハインツに投資したと思っているんだ! ええい! 邪魔だ! こっちにはフェロニア以上の神がついておるのだ!」


 なんて言っている司祭だが、ベレニスの風魔法であっさり壁に飛ばされ、気絶した。


 司祭もシスターも、俗な考えの小物だったっぽいかな……大物は……


「助けないんだ。……不気味ね。てっきり護衛なのかと思ったんだけど」


 私はジーニアに警戒しながら言う。


「護衛は正解。まあ、南の山のロック鳥のような存在って思ってくれていいよぉ♥」


「つまり、魔法陣を守るのが任務?」


「ヒャハ♥ 質問ばっかりでつまんなぁい。ねえ女の子2人はどいててくれなぁい? 一目惚れなんだよねえ……そこのお兄さん。ねぇ? 同じような剣を持ってるし一対一で戦わなぁい?」


 ジーニアはリョウに剣先を向ける。


「うわっ……傭兵に一目惚れって、頭おかしいんじゃないのこの女」


 って! ベレニス! そこまでドン引きするな!

 というか一目惚れの意味合いが違うと思うぞ。


「リョウ……」


「わかってる。こいつは強い。だが指名されたなら仕方ないだろう。ローゼ、ベレニス、ここは任せてくれ」


 私は不安そうな声を出すが、リョウは応えるように頷いてくれた。

 剣戟は瞬く間に始まり、互いの剣が火花を散らす。

 壮絶な撃ち合いが延々と続くかのような錯覚を覚えながら、私は2人の戦いを見ていた。


 ⁉……違和感はこれか‼


「ローゼ、今のうちに魔法陣を壊すわよ。傭兵なら大丈夫でしょ? 剣の重さもスピードも傭兵が勝ってるし、体力も傭兵が上ね」


「……ベレニス動かないほうがいいかも。やられた。足元見て」


「はあ⁉ なにこれ?」


 一対一でリョウに戦いを挑んだ時から数秒、私とベレニスの意識がリョウに向かったのは確かだ。

 だがその隙に魔法が放たれていたようだ。


 足元には魔法陣。

 邪神崇拝の本で読んだことがある紋様が見える。


「これは恐らく生贄の魔法陣ね。それも出ようとした瞬間に発動し、中にいる者を魔法陣の贄とする類い。……ロック鳥がいた教会より、より精密かも」


 私の推測に、ベレニスは絶句する。


「ホント何なのあの女? 漆黒の剣を持ってて魔女? ローゼの両親を殺したっていうのと同じ⁉」


 私たちの異変に気づいたのか、リョウの剣がブレる。

 瞬時にジーニアの剣が、リョウの右肩から血飛沫をあげる。


「リョウ!」


「かすり傷だ!」


 態勢を立て直し、私たちの側まで来るリョウ。


「人質とは卑怯だな」


「人質ぃ? ヒャハ♥ 別にあたしはお仕事しながらあんたと戦ってたってだけぇ。で、どうするぅ? その魔法陣はあたしを倒さないと消えないよぉ?」


 青い修道服に身を纏う少女の狂気の瞳。


「ローゼ、ベレニス。待ってろ。すぐにあいつを倒す!」


「待って! 一つだけ答えてジーニア、仕事って言ったけどそれって他の場所でもやってたりする? ……例えば10年前から……王殺しとか」


 リョウを制止し私はジーニアに聞く。

 その質問が意外だったのか、それとも私の声が震えていたからだろうか。


 ジーニアはキョトンとした顔をした後に、お腹を抱えて笑いだした。

 まるで嘲るような笑い声だ。


 リョウも警戒を解かずに剣を向ける。


「スゴイ♥ ねえどうしてそう思ったのぉ? 魔女の……えっと名前何だっけ?」


「ローゼ。ローゼ・スノッサよ」


「聞いたことない名前。でも覚えておいてあげるぅ♥ だってあたしの知る限り、10年前からって単語を出したのはローゼが初めてぇ。しかも歴史に残らない、とある王の死! こつこつやってる上もビックリする発言♥ ねぇ? 仲間にならなぁい? ローゼならすぐに幹部待遇で迎えられると思うけどぉ」


「……碌でもないとこっぽいからお断り。全部話してもらう。……10年前に私の両親を殺した理由も何もかも全てを」


「あん? 両親? なに言ってるのあんた」


 真顔になるジーニアだが、やがて目の色が変わる。


『我が魔力を糧にし、消滅させよ!』


 魔法陣を打ち破る解除の魔法を、私が口にしたからだ。


「……あんた? なにもん?」


 リョウの剣とベレニスの風魔法、そして私の炎魔法が同時にジーニアへ放たれる。

 そして剣が交わる剣戟音一つを残し、ジーニアは消えた。


 転移魔法、か。

 ……全く自分もだけど、魔女ってのはホントに厄介すぎる。


 でも今はそれより……

 私はすぐさまリョウに駆けより傷の具合を見る。

 右肩がざっくりと切られ、おびただしい血が流れている。


 自分の服が血で汚れることも構わず、私は傷口に手を当てて回復魔法を使用する。


「回復魔法は得意じゃないけど……」


「教会の連中って神聖魔法を使えるのも多いんでしょ? 司祭やシスターたち起こしてやらせる?」


 ベレニスの提案に私は首を振る。

 リョウは軽く笑う。

 私の回復魔法で血は止まっているが、痛みはまだあるのだろう。

 その笑みは引き攣っているようだし、冷や汗も流れている。

 そして私の肩を叩くとゆっくりと立ち上がった。


「オルタナ殿に報告だな。ギルドマスターにも報告したほうがいいだろう。城の連中に察知されないうちにやったほうがいい」


「まあ、まずは魔法陣の破壊ね。てかローゼ! 魔法陣を破れるならさっさとしてよ。焦ったじゃないの!」


「う~ん。咄嗟に上手くできたというか、私もここまで上手くいくとは思ってなくて」


「何それ? ローゼってホント面白いわね」


 ベレニスは呆れた目で私を見た。

 私は何故か少し照れた。

 

次回第21話「まさかの再会」

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