Lo99.ココッテちゃんの強請(おねだり)
武器庫にいた謎エルフ、ヒオウギアヤメさんことひーちゃんに別れを告げて蔵から出ると、ココッテちゃんが武器の束を抱えてとぼとぼ帰ってきました。
「むー」
ちょっと不満げです。さっきまで大量に武器を持ち出して遊んでましたけど、武器が合わなかったのでしょうか。
「ココッテちゃん、どうかしたのですか?」
「ん……」
ジト目で訴えるように私を見つめています。理解できない私が首を傾げると、ココッテちゃんは静かに息を吐きました。
「……仕方ない。話すか」
「え?」
ココッテちゃんが久々に人間の言葉を喋りました! いつも意地でも「ん」とか「むー」とかしか言わないのに!? あのコミュニケーション放棄の暴君が言葉を!?
ココッテちゃんがわざわざ言葉にする。そんなに大事なことなんですかね……?
「私は混沌魔物に負けた。ただのデカい鹿にだ」
か、かおもん……!? ココッテちゃんはそう語り出しました。そういえば、この子は出会ったときには死んでました。混沌魔物に殺されたんです。
ココッテちゃんはこう見えて強いです。ユーくんが子ども扱いされる程度には。たぶん私達のパーティーでさいつよのロリでしょう。そんなココッテちゃんでも混沌魔物で弱い方だと思われる鹿に敗北してるんです。
神気で魔障を剥がさなければ物理も魔法も通りにくくなり、自動回復もついてるという混沌魔物がどれだけチートか分かるでしょう。
「敗因は分かっている。パワーだ」
「え、神気が無かったからじゃ……」
「ぱわー」
ココッテちゃんは両腕を大きく広げて、ぱわーを強調しました。ぱわー! やー!
「私の武器は短剣だ。村の周りに出てくる魔物は小さい獲物ばかりだったから、それで十分だった」
ふむふむ、あそこっていかにも序盤の村って感じなんですね。まぁあの村以外は割と平和だったし、そんなもんなのかもしれません。
「人間相手に戦うのにも軽い武器で十分だった。でも、次の戦いで技巧はいらない。大物狩りに必要なのはパワーとデカい武器。でかうぇぽん」
「巨大武器ですか……だから武器庫で色々漁ってたんですね」
こくりとココッテちゃんが頷きます。
「それで、お目当ての武器は見つかったんですか?」
「だめ。ぜんぜん」
ココッテちゃんが首を振りました。どうやら駄目だったみたいです。
「私は非力だから、デカい武器を思うように動かせない」
そう言ってココッテちゃんは重そうな大金槌を手に取ってくるくる振り回しました。
いや、持ててるじゃないですか!
「おもい」
ずしん。ココッテちゃんは大金槌をぽてんと落としました。いや、結構振り回せてましたけど? そんなに非力じゃないですよね?
「おもい。なんかだめ。ダサイ」
「えー、ココッテちゃんに似合ってると思いますけど。巨大鈍器」
「駄目。しっくりこない。他のも駄目」
そう言ってむくれるココッテちゃん。どうやらお気に召さなかったようです。むむぅ、幼女に巨大鈍器は正義なのに……
「だが、解決策は考えてある。無ければ作ればいい」
「えっ、作るんですか?鍛冶とかするんですか?」
「【神装】」
しんそー? 何でしたっけそれ……? そう思ってるとココッテちゃんが睨んできたので私はあわてて思い出します。
えーと、たしか【神装】って神気で作る自分だけの固有装備みたいなやつでしたっけ? といっても、サクちゃんの使ってた弓しか見たことないんですけど……
「あれは便利。自分の意思でいつでも出せていつでも消せる。暗殺するときに便利」
「物騒すぎないですか!?」
元はただの村娘なのに暗殺スキルがやたらと高そうな幼女ですねココッテちゃん……あ、ユーくんも狩りのときは気配消して暗殺スタイルになりますね。暗殺は幼女の基本スキルなんでしょうか?
「でもあと1週間しかないのに【神装】を習得できるんですか? なんかすごい奥義っぽいですけどアレ」
「たぶんできる。具現化する一歩手前まで来てる。実はもう練習してた」
「えっ、そうだったんですか!?」
ココッテちゃん、既に練習してたっぽいです! いつ、どこで?
あーもしかして、7日間の馬車旅でココッテちゃんだけ強制修行に参加せずに、ぼけーとしたり時折謎ポーズ取ってましたが、それでしたか!?
……え、あんなんで身に付けられるんですか? めっちゃサボってたようにしか見えなかったんですけど……【神装】ってそんなに簡単なんですかね?
「だが、最後のピースが足りない。それがあれば【神装】が使えると思う」
「最後のピースって……?」
「イメージ。とても強いイメージ。『こういう武器が欲しい』というイメージが足りない」
「イメージ……想像力ですか」
「ん」
イメージ……イメージですか。要するにそれが足りないから【神装】が習得できないんですね。それは感覚的なことだから、なかなか難しいのでは?
「……イメージにはデザインが必要。チイが私に似合う武器をデザインする」
「え、デザイン? 私が?」
「チイは絵が描ける。だから楽勝」
「ええー!?」
ココッテちゃんがわざわざ言葉にして喋ってきた理由が分かりました。つまり、それを私にお願いしたかったんですね?
「だめ?」
そう言ってこてんと首を傾げるココッテちゃん。むむぅ、なかなか心得てますね?
幼女にそう言われて断れるロリコンがいるわけないでしょう!
「……分かりました! 任せてください! 私がココッテちゃんに似合う巨大武器をデザインしてみます!」
幼女絵師の名にかけて! 大きな武器持った幼女好きですので!!!
「締め切りは明日」
「えっ、明日ですか!?」
「ん」
で、できらぁ! ココッテちゃんの強請……じゃなくておねだりです! 明日までにやってみせようではありませんか!!
DV幼女に尽くす健気なロリコン




