Lo77.ばばんばばんばんばん♪
北東都市ハイセイカから帝都オウカへと繋がる大街道を馬車で進む私達。
一週間の旅になるかと思ってテントとか野宿の用意する必要があるかなぁ?と思ってたら全く必要ありませんでした。
なんと街道の要所に宿場町があり、そこに泊まることで野宿は全回避できるのです!
しかもその宿場町にはもれなく温泉があるというのです! しゅごい!!
このすっごく便利な街道の呼び名は【ハルテン温泉街道】。なんでも温泉好きの神帝様とやらが指示して開発した街道のようです。
うーん、サクちゃん神すぎる。いい仕事してます。
正確に言えば宿場町に温泉を作ったのではなく、温泉の通ってる地脈を開発していって街道ができ、宿場町ができ、最後まで進んだ終着点が北東都市ハイセイカです。
温泉=水源と言えるので、実に理にかなった都市計画ですね。(適当)
そんなわけで、1つ目の宿場町の温泉宿に泊まってます。
江戸時代の頃の日本では銭湯や温泉は男女分かれてなくて全部混浴だったんですけど、この世界はきっちり分かれてるので普通に男湯と女湯で分かれて温泉に入りました。うーん、こういうところが謎に文明的ですね。
「え、キミ女の子だったの!?」
「そうだよ。別に隠してないんだけどね」
ハンドチョッパーズの紅一点、トゥルカさんが女湯に入ったユーくんを見て驚いています。
「服を脱ぐまで気付かなかったわ」
「じゃあなんで女湯にいると思ってたの?」
「いや、子どもは男女関係なく入るし……」
ユーくんは10歳です。少し前なら日本でも混浴OKな年齢でしたね。今はなにかの条例で7歳以下になっていますが。
「なんで男の子みたいな格好してるの?」
「男の子みたいな格好してるんじゃなくて、カッコいい格好してるんだよ」
なるほど、ボーイッシュ系ですねぇ。あれ? 前に「ユナさんと結婚する為に男っぽい格好してる」とか言ってませんでしたっけ?
まぁ、野暮なことは言わないでおきますか。
「うちの男どももすっかり騙されてたわね……」
「結構わかんないものなんですねー」
よく見ればユーくんも女の子に見えるんですけど、なんというか物怖じしない性格ですからねぇ。そういう雰囲気が女の子っぽさを消してるのかもしれません。
つまり、めっちゃ小学生男子。かわいいよりカッコいいが好き。ヒロインよりヒーロー。そんな感じです。
「リーダーのスドーさんとは結構話してましたね」
「あの人、結構物知りだったよ。色々と教えてもらった」
「叔父さんはベテラン冒険者だからね。そこは信用していいわよ。モテないけど」
ユーくん、結構真面目なんですよね。ちょっと男子小学生っぽい挙動がたまにありますけど、基本的に優等生です。学ぶ意欲がすごい。
一方私は絵描きながら雑談してました。何も学んでません!
「そういえばスドーさん達、宿に着くなりどこかに出掛けましたね。トゥルカさんを置いてどこに行ったんでしょう?」
「……子どもにはあんまり言えないところよ」
「ああ、風俗ですか」
「なんでよりによって一番小さい子が即答できるの!?」
私の中身28歳なので。
そうですかぁ。男3人はえっちなお店に行きましたか。温泉街だとよくあるんですよね、えっちなお店。
「……ちょっと待ってください。この国では13歳から大人なんですよね? ということは、えっちなお店で13歳も働いてる……?」
「そんなことまで知らないわよ!?」
まぁ、そのへんは深く考えないことにしましょう。どちらにせよ、私は13歳よりもうちょっと幼い方が好みなので……
「しかしトゥルカさん。男3人の中に女1人って男女関係で揉めたりしませんか? 恋愛沙汰でパーティ解散の危機になったりとか……」
「あー……そうね。うちに若い男2人いるじゃない? ドレンとベントって言うんだけど、あいつらとは『お互い20歳になって相手がいなかったら付き合おうか』って約束してたのよ」
「ふむふむ、そうなんですか」
「私も自然とそいつらのどっちかとくっつくかと思ってたんだけど……なんかあいつら、Cランクになったあたりから急にモテ初めて外で恋人作ってたわ……」
「うひぃ」
あー、なんかトゥルカさんの地雷踏んじゃいました?
「うちのチームで相手がいないのは叔父さんと私だけになってしまったわ……これは血筋なのかしら……?」
……もう残った二人でくっつけばいいんじゃないですか? あ、3親等以内はアウトでしたっけ?
「あの、ちなみにトゥルカさんの好みってどんな人ですか?」
「強くてかっこいいイケメンの……獣人」
この人やっぱりケモナーじゃないですか。それで獣人のコスプレしてるんですかね?
「人間と獣人のカップルってやっぱり少ないんですかね?」
「そりゃ少ないわよー。それぞれ同種族で付き合うのが普通よ。他種族が共存してるこの国でもそんな感じ。私が良くても相手が駄目って感じね。ヒトナーは少ないわ」
「ケモナーの対義語、【ヒトナー】って言うんですか……また無駄なことを知ってしまいました」
しかし、人間と獣人の恋愛ですか。あ、そうだ。獣人ならここにウェダインさんというイケメン(女)がいるじゃないですか。ちょっと聞いてみましょう。
「ウェダインさんはどう思います? 人間と獣人の恋愛って」
「ん? 別にいいんじゃね。アタシはどっちでもいいしな」
「うわぁてきとーな返事だ」
ウェダインさんはてきとーに答えます。うん、こういう人ですね。
「ウェダインさんは相手いたりします?」
「男はいねーな」
「えー、ウェダインさんかっこいいのに。ぶっちゃけウェダインさんが男だったらめちゃくちゃタイプだわー」
「……女にはモテるんだけどな」
でしょうね。イケメン獣人ですもん。
「寂しいなら相手するぜ?」
「え、あ、え?」
ウェダインさんの爆弾発言に動揺して顔を赤らめるトゥルカさん。
え、唐突に百合ですか?
「ど、どどど、どうしよう……?」
「……冗談だぜ?」
「あ、そ、そうですよねー……あはは……」
ウェダインさんが冗談だと言ったら露骨にテンションが下がるトゥルカさん。……この人なかなか素養がありますね。ガチになるかもしれません。
その様子を見てウェダインさんが言いました。
「あー……部屋分けた方がいいか?」
「あー、そうですね。大人組と子ども組で分けましょう」
そういうことなら仕方ないですね。
既に男部屋と女部屋で分かれていますが、この感じだと女部屋も大人と子どもで分けた方が良いでしょう。
私とウェダインさんはそんな感じで同意を得ました。
「え、な、なに言ってるの!? ど、どういうことなの!?」
「いえ、大人は大人同士で話すこととかあるかなーと思って」
「なんでこの子こんなに気を回してるの!?」
まぁ、そうですね。これから命懸けの依頼に挑む冒険者同士、親交を深めるのは良いことですからね。
その中でどんな話し合いが行われるのか。ぜひとも有意義な話し合いをしてほしいものです。




