Lo75.街の最高戦力集結! 幼女がなんで混ざってるんですか?
なんか私の漫画が冒険者ギルドで売られることが決定した模様。うーん、バトルシーンを6ページくらいしか描いてないんですけど、こんなんで良いんですかね?
薄い本より薄いんですけど、売れるんですかねこれ?
まぁ、そういうのは大人の人に任せておきましょう。絵を描いて1000センカ(だいたい10万円くらい)も報酬を余分に貰えましたし、少ないページ数の割にはなかなか実入りが良かったです。
コミケで1000円の同人誌が100冊売れても印刷代出店料移動費取られて10万円も儲かりませんからね? かなり良い値段をつけてくれたと思っていいでしょう。しらんけど
あ、原稿は買い切りです。売れれば売れるほど印税とかが入ってくる仕組みも商業ギルドではあるんですけど、冒険者ギルドの仕組みではそういう取引方法はしておりません。
まぁ、基本的にギルドの報酬は即金ですからね。荒くれものの冒険者には分かりやすくて良いんでしょう。だからこれでギルドが儲かろうと儲からなかろうと、私には関係ないのです。
売り上げに一喜一憂する必要が無いというのは、寂しくもありますが気が楽でもありますね。
まぁ、私の飯の種は主にユーくんの倒す魔物メインなので完全に趣味のようなものです。そっちの方が100倍くらい儲かりますね。
まぁそんな感じでひっそり商業デビューした私ですが、その翌日。それとは全く関係ないことで私達はギルドに呼び出されました。
ギルドマスター室に来ているのは、私達の他にもいました。
ギルド側にはギルドマスターのヨッツさんとケモ度高めのイケメン狼獣人♀のウェダインさんがいます。
冒険者側では、シャイナスさんとガイナスさんのチーム【なかよしブラザーズ】、ドワーフさんのチーム【ヘブンズドワー】、あと初めて会う強豪っぽいおじさんと若者の混成チームが1つ。
そして幼女3人の我らがチーム【リトルブレイカー】。
まさにそうそうたる面々が揃い踏みしていました。
初めて会う人達は「なんで幼女がここに?」と困惑顔でした。えーと、幼女3人はなんでいるんですかね?
ウェダインさんとガイナスさん達は特に私達の存在に疑問を持ってないですね。いつも通りです。
あ、なんかドワーフさん達は私達に親指をグッと立ててスマイルを浮かべています。ダンジョンの一件で好感度上がったんですかね?
私もグッと親指を立てて返しておきました。
「みんな、よう集まってくれたな」
キツネネコ獣人のヨッツさんがいつになく真剣な顔で言いました。
「もう知っとるやつは知っとるし、ここに呼ばれた理由も勘づいとるかもしれんが、つい先ほど、国の方から通達がきたんや」
「通達……だと……」
「そうや。その内容はな……なんと……」
通達とは一体何でしょうか? あまり良くない知らせなのでしょうか?
はりつめた空気が緊張感をもたらせます。
いよいよ発表となったそのとき、
ヨッツさんが……
ためて……
ためて…………
ため………て…………
いや、いつまでためるんですか!?
昔のクイズ番組の演出かなにかですか!?
流石にガイナスさんからツッコミが入りました。
「……早く言ってくれないか?」
「せっかちやなぁ。ちょっと焦らすくらいええやん」
「焦らしすぎだろ」
「これで大したこと無かったら怒るぞい」
他の冒険者たちからもクレームがきたので、ようやくヨッツさんが重い口を開けました。
「しゃーないな。言ったるか。国から通達があったのは……史上最強クラスの超高難易度クエスト……【悪神討伐】の依頼や」
ヨッツさんがそれを言った瞬間、冒険者達はにわかに騒然としました。
「【悪神討伐】だとぉ……!?」
「遂に……来たのか……!」
「悪神……この世界の大敵となる存在……」
「わっちらがここに集められた理由はこれか」
にわかに騒然となる冒険者達。【悪神】というワードは他の冒険者たちにも知られているみたいです。
ヨッツさんが改めて説明します。
「【悪神】っちゅーのは魔王が生み出した最悪の化け物や。1か月前に起きてこの国に甚大な被害をもたらせた【大侵攻】も、元はといえばこの悪神が原因や」
1か月前。私が異世界に来るよりわずか前に、この国は未曾有の危機に陥ったと聞いています。
混沌魔物が100体以上上陸してきた【大侵攻】。その元凶が悪神だというのです。
「あの【大侵攻】の元凶と戦うことになるとはな……」
「あのときも相当な被害が出たと聞いたが……」
「一体どんだけ強いんぞい? 悪神とやらは」
「これもう神話だろ……」
悪神……混沌魔物の1体でも村が滅びるのに、それより上の存在ですか……
どうやらかなりのビッグネームのようですね。
「大決戦や。ここで負けたら先細りや。いずれハルテンは滅びるやろな」
ヨッツさんは言います。
「2週間後、帝都オウカで討伐作戦が行われる。もちろん生半可な戦力じゃ足手まといにしかならんからな。せやから、この街から選りすぐりの精鋭を送ろうと思っとる。この街だけやないで? 国中から強い連中は片っ端から集められとる」
「それで俺達が呼ばれたわけか」
「せやで。ギルド側からは金章の専属冒険者、ウェダインはん。
そしてこの街では最高ランクのBランク冒険者【キルロード兄妹】、【ハンドチョッパーズ】、【ヘブンズドワー】の3チーム。
そして【リトルブレイカー】のちっこいの3人。
この15人がこの街の最高戦力や」
ヨッツさんが言いました。ふむ、なるほど。選りすぐりの精鋭……それで私達が呼ばれたんですね。
「ちょ、待てよ! Bランクのオレらはともかく、このガキらは何なんだよ!?」
ハンドチョッパーズと呼ばれた冒険者チームの1人、髪を逆立てた若者が私達を指差してそう言います。
あ、やっぱり突っ込まれますよね?
「その子らは最近デビューしたばかりの期待の新人やで。結構話題になっとるけど知らんの?」
「知らねーよ! 大体ランクいくつだよ!」
あ、話題になってたんですね私達。まぁ訓練場とか公衆の前で戦ってるところを見られてるわけですし、今更ですか。
とはいえ、まだ冒険者になってから一週間も経ってませんし、見てないなら知らない人がいるのも当然ですね。
「ランクはまぁ……2人がDランクで、1人はGランクやな」
「話になんねぇ! せめてCランクだろ!? というかGランクって最低ランクじゃねーか!」
「その子らのチームで一番強いのそのGランクの子なんやけどなー……」
あー、Gランクってココッテちゃんのことですか。確かに登録したばかりで一度も依頼をこなしたことないので、Gランクとしか評価しようが無いんですね。
レベル6のココッテちゃんが最下級の冒険者ですか……
うーん、存在がバグってます。
「そら子どもやけど、ワイの見立てやとBランクと同等やと思っとる。というかこの街のCランクの連中の中に勝てるやつらおらんやろ」
「嘘だろ? こんなちっこいガキなのに?」
おお、ヨッツさんの評価が思いの外高かったようです。流石ギルドマスターやってるだけあって、なかなかお目が高いですね。
うちのユーくんとココッテちゃんはちょーつよつよ幼女ですよ!
すると、レザージャケットのおじさんが若者をなだめるように言いました。
「まぁまぁ。ギルマスの言ってることは本当だぜ。こいつらマ~ジで強いんだわ」
「本当なのか?」
「ああ、この俺ですら手刀を見切るのが精一杯だった」
「嘘だろ……そんなに強いのか?」
「まぁリーダーがそう言うなら……」
さっきまで血気盛んに叫んでた若者の勢いが収まりました。レザージャケットのおじさんはユーくんに話しかけてきます。
「うちの若いのが悪かったな。俺は【ハンドチョッパーズ】のスドーってんだ。お前の手刀を見切ったのは俺が初めてだぜ?」
「うん、よろしくね! 手刀してないけどね!」
あ、この人たぶん先日「恐ろしく速い手刀……俺じゃなきゃ見逃しちゃうね」とか言ってた人です。ユーくんとココッテちゃんの試合を見てたなら、うちの子たちの強さは知ってますよね。
手刀おじさんことスドーさんの武器は海賊の使うような幅広の片手剣カットラスと、鉤付きのロープを腰にぶら下げてます。戦士っていうより探検家ってスタイルですね。
ロープかぁ。確かに持ってると便利そうですね。使ったことないですけど。
「文句ないみたいやな。話を先に進めるで。ほかの2チームも納得でええか?」
「問題ない、続けてくれ」
「わっちらは最初から文句ないぞい!」
ガイナスさんやドワーフさん達からは全くクレームは出ませんでした。まったく、みんな幼女への期待値が高すぎます。普通もうちょっと揉めるものじゃないんですかこういうの?
「ほんで準備できしだい帝都オウカに行ってほしいんやけどかまへん? この中に命が惜しいやつはおるなら辞退しても構わんけどな」
ヨッツさんが値踏みするように聞いてきました。それに対して最も返答が早かったのは……
「ボクはいくよ! 悪神を倒す!!」
ほとんど迷うこともなく、元気な声が響きました。声の主はユージア・フレット。今はまだ小さいですけど、将来的には勇者になる少年です!
ユーくんは返事をした後、私達に聞きます。
「チーちゃんとココッテちゃんもそれでいいよね?」
「ん」
「もちろんですよ! ユーくんとココッテちゃんがいるなら何も怖いものはありません!」
「ありがとう!」
当然私は行きます。臆病な私にしては決断が早くないかって? それはそうですよ。
ぶっちゃけ一回死んでますし、どうせなにもしなければこの世界が滅びますしね。それに……
「悪神がココッテちゃんの村を襲った混沌魔物の元凶というのなら、ココッテちゃんの仇は取らなきゃいけませんからね!」
「うん、そうだね! 仇は絶対に取るよ!!」
「ん」
ココッテちゃんの死は無駄じゃなかったと証明する為にも、悪神は絶対に倒さなければなりません!
それを聞いてスドーさん達が暗い顔をしました。
「そうか……お前らもちっこいなりに友の死に報いる為に頑張ってるんだな」
「その……悪かったな。馬鹿にして」
「ううん、大丈夫。ボクらは平気だよ」
「……なんて子達なの……こんなに小さいのに、悲しい顔の一つも見せないで……」
あ、スドーさん達のチームの紅一点の女の人が私達に同情して泣き始めました。なんか誤解されてる気もしますが、ココッテちゃんが死んでるのは事実だしまぁ良いでしょう。(いいの?)
「俺達も参戦しよう」
「わっちらも文句ないぞい!」
ガイナスさん達やドワーフさん達も迷うこともなく参戦表明をしました。最後に残ったとは【ハンドチョッパーズ】の人達ですが……
スドーさんがギルマスに質問しました。
「ひとつ聞いていいか?」
「なんや?」
「報酬はいくらなんだ?」
おお、確かに。報酬のことを聞いてませんでしたね。というか聞くのが普通ですね。
悪神討伐という大仕事、これにどれだけの報酬がつくのでしょう……?
「今回討伐対象の【悪神オオイカヅチ】は……なんと懸賞金額5000万センカがつけられたで!」
「なっ!?」
「5000万だと……!?」
「とんでもない額だぞい……」
冒険者の皆さんがあまりの高額に驚いてます。ふむふむ、5000万センカというと……日本円換算(チーちゃん式レートで1センカ=100円)で大体50億円ですか。
金額が大きくて全く実感が湧きませんが……これは某国民的海賊漫画だと四皇並みの金額ですね?
「まぁもちろん討伐報酬は参戦者に分配されるけどな。Bランク以上が100人くらい参戦予定やから、ざっと1人あたり50万やな。功績が多いと加算されるで」
「それでも50万か……」
「たしか混沌魔物1体討伐したときの相場が10万くらいだよな?」
「俺達は4人だから200万か……かなりでかい金額だな……」
「皮算用やけどな。まぁ実際そんくらいもらえるやろ。なんせ国の存亡の危機やからな」
ふむふむ、50億円を100人で割ると一人で5000万円。私達のチームは3人なので……1億5000万円!?
め、めちゃくちゃでかい金額です! 一気に大金持ちですね!?
私の漫画の小銭稼ぎが吹き飛ぶ金額ですね! まぁ別に稼ぐ為にやってるんじゃなくて趣味なのでやめませんけど。
「そんだけ報酬貰えるなら参加しない手は無いな?」
「やろうぜ!」
「うん、やろやろー」
「というわけで【ハンドチョッパーズ】も参加する」
ハンドチョッパーズさんも全員参加表明をしました。
……でもなぁ。こういう「欲に目がくらんで参加するタイプの人」って物語では死亡フラグが建ちますからねぇ……
「あー、こいつらみんな死にそうだぜ……」
あ、ウェダインさんがボソっと言っちゃった。聞こえなかったことにします!
「まぁ大丈夫やろ。なんたって今回は神帝ミカド様が参戦するんやからな」
「え、そうなの?」
「ミカド様……だと?」
「『例のあの御方』、略して『例あの』って言わなくて良いんですか?」
「『例あの』ってなんやねん! ……これは正式発表や。いつもの秘密活動やないしな。大船に乗ったつもりでええで!」
ヨッツさんが自信満々に言いました。
そっかぁ。サクちゃんとも再会できるんですね!
楽しみです!!
タイトル改題しました!
私のイマジナリー友人から「タイトルがロリコンすぎて気持ち悪くてデバフすぎる」と指摘を食らった気がしたので!
新タイトルは【幼女勇者チーちゃんの異世界奮闘記】となります!
「幼女」「勇者」というワードは入れたかったんです。ロリと王道ファンタジーの融合が本作の目指すところなので、そこは外しません!
これからも本作をよろしくお願いします!




