Lo71.宴が行われましたけど、知らない大人ばかりに囲まれてアウェーだしとりあえず眠たいふりして切り抜けます!
その後、ココッテちゃんの復活は村人全員の知るところとなり、宴が行われました。
「ココッテの復活に万歳! さあ、みんな祝え祝えーい!」
「おおー!」
村長さんが高らかに宣言しました。村人も大声で答えてボルテージをあげていきます。
広場の中央にあるテントをいくつかどけて、余った資材を薪にして派手に燃やしていました。なるほど、これはキャンプファイアーですね。とりあえず、キャンプファイアーしとけば宴っぽくなるのです。それは古来よりのお約束です。
ガイナスさんは気を利かせたのか、荷車に酒と食料をたくさん積んで持ってきました。それを見た村人達は大いに喜びました。なんだこのイケメン
「難民キャンプでは死なない程度には食料が配給されているが、種類は乏しく質も悪い。このご時世に贅沢かもしれないが……まぁ、今夜くらいは良いだろう」
そう言ってるガイナスさんですけど、たぶんこれもガイナスさんの財布から出してるんですよね? うーん、いい人すぐる。
火の周りに集まって、歌う人、踊る人。昼間は難民キャンプ生活でどこか疲弊の漂っていた村人達も、楽しそうに騒いでいます。
正直ココッテちゃんがアンデッド化したせいでどうなるか心配してたんですけど、なんかあっさり受け入れられたみたいで良かったですね。
大人達の中では何故かココッテちゃんのことを拝んでる人すらいましたけど……神様の眷属みたいな扱いになってます。まぁ、シャイナスさんの口車だけじゃなくて、本当にどことなく神聖な感じがするんでしょう。
今のココッテちゃんは神気を使えますし、神気ってなんか神々しいんですよね。私も神気を出してて自分でも「なんかめっちゃ神々しいオーラ出てる!」って思いますし。まさにゴッドなオーラなんです。そんな気がします。
子ども達はココッテちゃんのところに行き、大声で駆け回りました。
「ココッテちゃん、子ども達に人気ですね」
「ああ見えて結構面倒見いいからね、ココッテちゃん」
「あ、ココッテちゃんが世話する側なんですね」
ココッテちゃんは見た目7歳くらいの幼女なんですけど、子ども達にモテモテです。12歳以下の子ども達に混じって遊んでいます。
当然、ココッテちゃんより背の高い子どももいるのですけど、その中でも普通に年長者っぽい扱いになってるように見えます。
「……そう言えばココッテちゃんってユーくんより年上って言ってましたね。何歳なんですか?」
「さあ?」
ユーくんもよく知らないんですね。うーむ、謎は深まるばかりです。
シャイナスさんはアイルランドとかで使われてそうな弦楽器(名前よく分かんないけど、ギターとビワの中間っぽいやつ)を持って弾き語りなどをしていました。この人楽器も弾けるんですね。
めちゃくちゃ美しい声……というわけではないですが、ほわっとした感じの声です。天性のヒーリングボイスですね。でも……
「ココッテ~♪神様のおかげで復活した~♪ココッテ~おお~まいごっといえ~い♪」
……あまりに歌詞が適当すぎます。村長さんの前で見せた聖女面が薄れています。
「おお、聖女様の歌声だ……」
「ありがたやありがたや……」
「聖女様ばんざい! ココッテ復活ばんざい!」
村人はあれを見てもいまだに聖女扱いしてます。なんかこう、シャイナスさんってキリッとしてるときとダラッとしてるときの落差が大きいのですけど、ダラッとしてるときでもどこか聖女っぽさがあるんですよね。
だからダラッとしてるところを見せてもあまり評価が下がらないという不思議な人です。
まぁどうあれ、あの人はやってることはめちゃくちゃ良い人ですからね。表面的なものじゃなくて、もっと深いところで聖女そのものなんですよシャイナスさんは。
そのうち私も何故かシャイナスさんに捕まり、肩を抱かれて一緒に歌うことになりました。ゆらゆら揺れながら、適当すぎる歌詞を歌ってます。
酔ってるんですかこの人? いや、酔ってないんですよ、素面なんですよこの人。お酒飲めないですからね、シャイナスさん。でもすごく上機嫌で歌ってます。
ユーくんは子どもグループにお呼ばれして、そっちの方でココッテちゃんと遊んでます。
私はシャイナスさんに絡まれて、村の大人グループで大人達に「めんこいねぇめんこいねぇ」と撫でられてます。
うーん、この幼女の容姿で子どもグループに混じれない私のコミュ障っぷり、ロリコンとしては致命的な気がします。大人グループに混じるのはわりと楽なんですけどね……ユーくんは女児達に人気だなぁ。
まぁあれです。こうなったら疲れたふりしてシャイナスさんのところで寝ちゃいましょう! 実際眠いです。酔った大人達と話すのめんどいです!
そうして、シャイナスさんに体重を預けて私はすやすやと寝るのでした。
さて、翌日。
私は起きたとき、なんかココッテちゃんに伸びた猫のように持ち上げられたまま運搬されてました。
もう朝です。清々しい小鳥さんの声が聞こえます。
さて、私はどこに運搬されてるのでしょうか……?
「あ、チーちゃん起きた? おはよう!」
ユーくんが挨拶をしてきました。私は寝惚けながらむにゃむにゃ言います。
「おひゃよーございましゅ……どこにいくんしゅか?」
「うん、お墓参りかな」
「おはかまぃり?」
そして抱かれたまま運搬されていると、町外れの一角に石のお墓が並んでいる場所に着きました。この街の集合墓地でしょうか?
周りを見渡します。ここにいる面子は、村長さんとガイナスさん、シャイナスさん、ユーくん、ココッテちゃん、そして私ですね。
みんな早起きですねぇ。
「着きましたぞ」
集合墓地のはしっこに最近出来たばかりの石碑が建ってました。
【ハシノ村慰霊碑】
そう書かれています。村長さんが石碑を見つめて言いました。
「これは此度の魔物達の犠牲者を祀ったものです。もっとも、彼らの死体はまだ村の中にありますが……」
「そうですか……ご冥福をお祈りいたします」
シャイナスさんが石碑に祈りを捧げます。村長さんは墓の前に立ち、語りかけるように言いました。
「……お前達の犠牲の上に、我々は生きている。生き延びた我々は、お前達の未来も背負って生きると誓おう」
……多くの人が犠牲になったんですよね。あの村の惨状を見てきた私には分かります。
当たり前のように人間の死体が転がっていました。酷い腐臭がしました。あまりに現実味が無かったので、悪夢でも見てるのかと思いました。
見た感じ完全に滅んだ村だったので、実際はこんなに村の人が生き残ってたのはびっくりしましたけど……それでもつらいですよね。身近な家族や友人が死ぬのって。
私は頭を下げ、手を合わせて死んだ人たちに冥福をお祈りします。
ココッテちゃんも何か思うところがあるのか、無言で目を閉じました。そして同じように手を合わせて祈ります。
それを見届けた後、村長さんはココッテちゃんに言いました。
「……別れは告げたのか?」
「ん」
「そうか。それではお前にこれを渡そう」
そう言って、村長さんは小さな小刀をココッテちゃんに渡しました。
「護身用の守り刀だ。以前、バンに作成を頼まれてな。多分、お前の成人祝いにプレゼントをするつもりだったんだろう」
「え、村長さんが作ったんですか?」
「まぁ、素人の真似事みたいなものだが鍛冶場があるしこういうものくらいは自作できるぞ」
持ち手には青い色の糸がぐるぐる巻かれていてオシャレです。ココッテちゃんの髪の水色と同じ青色系で合わせているのが分かります。
ほえー、こじゃれた感じのデザインを無骨な村長さんが……ちょっと意外です。
ココッテちゃんは受け取って鞘を抜きました。綺麗な刀身です。刃渡りは15cmくらい。鍔はありません。小さいですけど、銃刀法違反(6cm以上)の長さはあるので立派な刃物です。戦闘向けでは無いですね。普段隠し持っておくのには良いサイズなので護身用って感じです。
まじまじと小刀を見つめるココッテちゃん。そこには一体どのような想いが込められているのでしょうか……
「使わせてもらう」
ココッテちゃんは普通に喋りました。しゃ、シャベッターーーー!?
「え! いや普通に喋れるんですか!?」
「ココッテちゃんは喋るのめんどくさいだけで普通に喋れるよ」
「ん」
あ、また戻っちゃった。ホントに喋るのめんどくさいんですねこのジト目幼女。アンデッドになった影響で人間の言葉を喋らなくなったと思ってましたが、全然関係なかったようです。
村長さんはココッテちゃんに再び声をかけます。
「やはり旅立つのか」
「ん」
「そうか、寂しくなるな」
当然だ、とでも言うように短く答えるココッテちゃん。そして村長さんはユーくんに向き直ります。
「ユー坊、ココッテをよろしく頼む」
「うん、わかった! これからもよろしくね、ココッテちゃん!」
「ん」
あの、えーと、今のやりとりって……つまり……そういうことですよね!?
「あの! つまりココッテちゃん、仲間になるんですよね!?」
「ん」
「わぁいヤッター!!!」
ココッテちゃんが仲間になった!!!
「わぁいわぁい仲間になったー!!」
「チーちゃん、喜びすぎでしょ」
私がはしゃいでると、ユーくんからツッコミが入ります。だってこんな可愛い幼女ですよ? それが仲間になるなんて……!
いやね、ココッテちゃんが復活したときからなんとなく仲間になりそうな雰囲気はあったんですけど、村の子ども達と遊んでるココッテちゃんを見てちょっと不安だったんですよね。
正直、村に残った方が良いとか言い出しそうな雰囲気になっててどうしようかと思ってました!!!
「でもよかったー。ココッテちゃんが仲間になってくれて。元々旅に出るとき誘うつもりだったんだよ?」
「そうだったんですか?」
「だってココッテちゃん強いもん。でも村が滅んでてショックだったよー」
「ん」
「あ、ココッテちゃんもそうだったんだ」
「えっと……なんて言いました?」
「なんかねー。元々ボクと一緒に旅に出るつもりで修行してたんだって」
「約束された仲じゃないですか!」
尊いですね、この幼女2人。幼馴染みっていいなぁ。かわいいなぁ。
……あれ? 私、尊い二人の中に入るノイズとなってませんか? 本来ユーくんの最初の仲間になるのココッテちゃんだったってわけですよね。大丈夫なんですかね、私が初めての仲間で……
そんなことを思ってると、ココッテちゃんが私の頭にぽんと手を置きました。
私の頭を撫でる手は、まるで私に「気にするな」と言ってるようで……いや、なんかドレインタッチで吸われてませんかこれ? 気のせいですか?
その様子を見てガイナスさんは言いました。
「まぁ、どちらにせよエネルギー源がこれでは村に残ったとしても大変だったろう。ココッテがチーちゃんと一緒にいるのは必然だったわけだな」
「あ、エネルギー源って私ですか」
「それだけ吸われて平気な顔をしてるのだから、当然だな」
「チーちゃんがいてよかったよー」
なんかこういう扱いになってきましたね私。まぁいいですけど。戦闘はダメダメですけど、我ながら置物性能は優秀なんですよね、私。
そういうわけで、我が冒険者チーム【リトルブレイカー】に村娘のココッテちゃんが仲間入りしたのでした!
(宴のときの各自のスタンス)
チーちゃん:完全に知らない人ばかりのアウェーだし、とりあえず寝たふりで切り抜けよう
ココッテ:大人の中にいてもつまらんし、子ども達で遊ぶか
ユーくん:大人の知り合いあんまりいないし、とりあえず子どもの中に混ざっとこう。村の女の子に何故かモテてるけど、マザコンなので特に興味なし
シャイナス:お酒飲めないけど歌ってたら楽しい。あとチーちゃんが所在なさげにウロウロしてたのでとりあえず確保した。途中からチーちゃんを抱えてると面倒なナンパが何故か回避できることに気付いたので、チーちゃんが寝た後もずっと抱えてた。チーちゃんは置物として優秀だった。
ガイナス:村長含む男どもに囲まれて腕相撲大会とかに参加させられてた。




