Lo64.宿題が出ました。なので漫画を描きました!(なんで?)
ダンジョン出た瞬間、ウェダインさんにとっつかまってギルドに連行されましたが、幸い特にトラブルもなく終了しましたね。
私達の無実は証明されました!(なんの?)
「ヨッツさん、ウェダインさん、色々と教えてくれてありがとうございました!」
「よくわかんないけどありがとー!」
「おう、感謝されることをした覚えはないが、ありがたく感謝されとくぜ」
「あ、せや。珍しい混沌魔物やったし、何か特徴とかまとめてレポートしといてや」
そういってヨッツさんは白紙の植物紙を何枚か渡してきました。
おー、これに書くんですか。この感じ「宿題」って感じがしますね。
「口頭じゃ駄目なの?」
「あんたらと話してると話が脱線してようわからんからな」
まぁ確かに。色々と情報がとっちらかってますね。今、ギルド側で欲しい情報は混沌魔物のこと。サクちゃんやツチノコや天使の輪っかのことは優先度が低いのです。
まぁ、ギルド長は事情通っぽいのでつい色々話しこんじゃいましたけど。
「私としては口で説明するより文章書く方が楽なのでそれでいいですよ」
「助かるわ。後で報酬も出すで」
「おお小さいのに文章書けるとかすごいな、アタシは報告書とかめちゃくちゃ苦手だぜ」
「そうなんですか?」
「いや、こう言っとるけどウェダインはん、こう見えてめっちゃインテリやねん……元々事務職志望で筆記試験受かってギルドに採用されとるしな」
「え、マジですか」
「なんでか知らんが、今じゃ事務職じゃなくて肉体労働やってるぜ」
「そら無駄に強いからや」
「本人希望の部署につけるとは限らない。冒険者ギルドはろくでもねー職場だぜ」
まぁ志望する会社に入れても、望む部署は競争率高くて行けないのは現代でもあるあるですけど。
それにしてもウェダインさん、実力はAランク相当で容姿はカッコいい上に頭も良いんですか……スペック高すぎませんか金章のギルド専属冒険者。
「いやホント、なんで門番やってたのかわかんないですねウェダインさん」
「アタシにもわかんねーぜ」
「ダンジョンの門番はそれなりの強さやないと勤まらんからしゃーない。まぁランクC程度あればええんやけどな」
「オーバースペックじゃないですか」
「ランクC程度のギルド専属冒険者も数が少ないんや。というか色々麻痺しとるけど、ランクCって上位冒険者に分類されるんやで」
「そもそもアタシは派遣だぜ?」
「暇しとるからしゃーないやん。給料分働いてや」
「え、暇してるの!? じゃあボクと戦ってよ! 金章の力見てみたい!!」
「忙しいからまたにするぜ」
「暇って言ってるじゃん!?」
そんな感じで私達はギルドを後にしました。
そして私達が貰った報酬金額は混沌魔物と雑魚の魔石全部で13万4520センカでした! ナメクジに関しては緊急依頼の上乗せ分の報酬とかも入っているみたいです。
チーちゃん式換算レート(1センカ=たぶん100円)だと日本円で1000万円以上の価値。ちょっと金額高すぎないですかね?
幼女2人なのにいきなり大金をポンって手に入れて、あんまり実感がわかないです……
いや、混沌魔物は放っておくと村一つ滅ぼすくらいですからこれでも安いくらいなのかもしれませんけど。
……混沌魔物狩れるってめちゃくちゃ給料良いですよね。恐ろしい金策効率。ゲームだとこればっかり狩ってしまいそうです。まぁあまり出現しないんですけどね。短期間にめっちゃ遭ってる気がするんですけど、気のせいです。
あ、サクちゃんがポンって渡してきたミミズの巨大魔石についての報酬は保留です。何も決まってないですけど国の方に問い合わせして、たぶん私達じゃなくてサクちゃんの方になんか色々行くみたいです。
ヨッツさん曰く、いつもの【例のあの御方案件】らしいのでギルドに処理は任せておきましょう。
まぁミミズに関しては私達倒してないですしね。厄介ネタだと思っていたので、手放せて良かったです。というかこれで報酬貰うのは私的にもかなり気が引けますからね? ミミズドロップの天使の輪っか(1億円以上の価値)はただ貰いしてますし……
「今日は疲れたねー」
「まだ日が高いですけど、ゆっくり休みましょうか。報告書もありますしね」
「うん!」
そうして私達は晩まで宿でゴロゴロしてました。ユーくんは少し休んだら復活して庭でなんかやってましたけど。剣を持ったまま目を閉じて不動でなんかやってます。
ふむ、サクちゃんのやったアレを真似しようとしてるのかもしれませんね。魔力と神気を混ぜるやつ。ユーくんが勇者ならやれると信じて、私はデスクワークをします。
さて、報告書って言われても、もう大体テキスト情報は書き終わりました。大きさ、色、形、攻撃方法とか諸々を箇条書きで書きます。ナメクジだけじゃなくて、サクちゃんが倒したミミズの分の特徴も書きました。
ふむ、テキストだけじゃ伝わらないですね。ならば絵も描きましょう!(当然の帰結)
こういうこともあろうかと、市場で画材を揃えてきました!
私はロリコン絵師ですが、クリーチャーも描けますよ? こんなところで絵を描く技術が活きるとは……描いててよかった、魔物姦。
経験を生かして臨場感たっぷりに描いてやります。写実的なものだけでなく、わかりやすいようにコマ割り、集中線、擬音の要素も入れましょう!
気付いたら、なんか報告書じゃなくて漫画の原稿が出来てました。
……おかしいですね? いや、分かりやすくはなったので良いとしましょう!(ほんとぉ?)
とりあえず良い時間になったので晩御飯でも食べようと思ったら、ガイナスさんとシャイナスさんが宿に訪ねてきました。
「チーちゃーん! きたでよー!」
「ガイナスさんとシャイナスさん!」
「晩御飯はこれからか?」
「はい、まだですね」
「ふむ、一緒に食べながら話さないか?」
「良い店知ってるんでよー」
「はい! ぜひ!」
ご夕飯のお誘いでした。奢って貰えるみたいなので遠慮せず乗っておきます。ユーくんも連れてきて、街の方に出ました。
なんか前お二人と食べたところと違って、高級そうなお食事処さんです。そこで、まるで執事みたいなきっちりした身なりのウェイターさんに案内されて個室に入りました。
周りにお客さんはおらず、私達だけです。なんかアレですね。お偉いさんの密談用に使えそうなやつです。
「わー! 高級そうなところですね!」
「早く何か頼もうよ!」
「料理は勝手に出てくる。そういうところだ」
メニューが無いとか、たぶん高級なやつです! 金額が想像できません!
「乾杯しましょう、乾杯!」
「そういう店じゃないが……」
「まぁまぁいいでよー。作法にとらわれないで、かんぱーい!」
「「かんぱーい!!」」
グラスをカチャリとぶつけ合わせて乾杯します。そしてそのままゴクゴク飲みます! 赤ワインに似てますが、私達は子どもなのでアルコール抜きのブドウジュースです! おいしー!
料理は肉料理ですね。ビーフっぽいお肉さんです。見た目、骨付きサーロインステーキ。てっきり店構えからフランス料理的な上品なのが出ると思いきや豪快な料理です。美味しそうです。
「さて、さっきギルドで話を聞いてきたんだが、ダンジョンで騒動があったらしいな」
「あ、混沌魔物のことだね」
「ヌメヌメしてましたね」
「……もしかして倒したのはお前達か?」
「うん」
「ギルドでは私達が倒したって知られてないんですか?」
「しらないでよー」
なるほど、なんか混沌魔物倒した割に特に何もなかったなと思ったら、知られてなかったんですね。あえて知らせてないんですかね?
「今もダンジョンが閉鎖しているらしい。危険が無いか調査中だとか」
「そうなの?」
「なんでも、恐ろしい混沌魔物が現れてBランクの冒険者チームが命からがら逃げ出したとか。
知っての通り、この街のダンジョンは初心者向けだ。ダンジョンによくあるような罠も全く仕掛けられていない。お前達の実力じゃ危険は無いだろうと思ったが……運が悪かったな」
「ううん、めちゃくちゃ運が良かったよ」
「サクちゃんにも会えましたしツチノコも出ましたしね」
「めちゃくちゃでかいミミズも出たよねー」
「ちょっと待て。一体何があったんだ?」
「きっと色々なドラマがあったんでよー」
そう、色々ありました。とりあえず手早く把握してもらう為に、私はさっき作った報告書(を含む漫画の原稿)を見せました。
「こんな感じです!」
「おー、チーちゃんやっぱり絵上手いね」
「これは……チーちゃんが描いたのか?」
「はい!」
「すごいな……」
ガイナスさんが驚いてます。ふふふ、ちょっと優越感。こういうことには少しばかり自信があります。
まぁ、神絵師と呼ばれるレベルではないと謙遜はしておきますが、同人ですけどちゃんと売り物になるレベルの絵ですよ。
「なになにー、なに見てるんでよー?」
「いや、チーちゃんが絵を見せてきてな。かなり上手で驚いていたところだ」
「ふふふ、これは『漫画』というんですよ。知っていますか『漫画』」
「いや、普通に知っているが……」
あ、普通にこの世界にあるんですね漫画。そりゃそうか。異世界とはいえ定期的に日本人が転生してるんですもの。あるのは当然ですか……異世界で【漫画】という【世界初】【未知の概念】を持ってきたと思いましたけど、普通に既知の文化でした。お恥ずかしい。
「いいなー、うちも見たいでよー」
「あ、そういえばシャイナスさんは目が見えないんでしたね。あまりにも自然にしてるので忘れてました……」
「目が見えなくなってから、今日ほど後悔したことは無いでよー。悲しすぎて涙で海が出来ちゃうでよー」
「そんなにですか!?」
うむむ、シャイナスさんに見せられないのが心苦しいですね。
ガイナスさんが代わりに読み上げていきます。
「【名前:ダークスラッグキング】
【外観:馬車2台分ほどの大きさの黒いナメクジ】
【攻撃方法:猛毒の体液を飛ばしてくる】
【弱点:進行速度が遅い(人の歩く速度くらい)】
【倒し方:浄化しながら突撃し、剣で斬って内側から火魔法で焼いた】
……毒持ちに接近戦したのか?」
「チーちゃんに毒が効かなかったんだよね」
「いや、結構効きましたよ? ヒリヒリしました。治せただけです」
「チーちゃん流石でよー」
「あまり真似はしたくないな……」
続いて、ミミズの報告書を読むガイナスさん。
「【めちゃくちゃでかいミミズ】【長さ300mくらい】【太さも馬車4台分くらい?】【なんかもう、すごくでかいくらいしかわかんない】……なんだこれ?」
「めちゃくちゃでかいミミズです!」
「すっごく大きかった!!」
「ふむ……全然わからん」
やはり口頭で説明するのはわかりづらいですね。絵を描いてて良かったです。
私は絵に描いた巨大ミミズを指差ししながら説明します。
「ミミズはこのくらいのサイズで、このゴマ粒みたいなのが私です」
「……誇張しすぎではないか?」
「ホントにこのくらいだったよ?」
「そうか……こんなものが初心者ダンジョンで出てきたとはにわかに信じられんが……というか俺が聞いたのは猛毒の混沌魔物1体だけなんだが……?」
「あー、これ後から出てきたからね」
「神様がなんか召還してきましたね、ミミズ」
「なるほどー神様が」
「待て、全然わからん」
ガイナスさんは良くわかってないみたいですね。私は更に説明を続けます。
「なんかこう、あまりに大きくて私も絶望したんですけど、サクちゃんがいたからなんとかなりました!」
「かっこよかったよねー」
「……そのサクちゃんとやらも良く分からんのだが」
「ほら、絵に描いてあるじゃないですか。この子です」
「ふむ……?」
絵には角を生やした可愛い幼女が飛びながら弓矢をミミズに射るシーンが描かれています。コマ割り、集中線、オノマトペ(擬音)を駆使して漫画風に仕立てています。
「チーちゃんホント良く描けてるね!」
「えへへ」
「俺自身あまり漫画は見ないんだが、なんかすごいな……」
「見たいでよーー」
半日しか描けてないので清書も出来てないラフスケッチなんですけど、なかなか好評で嬉しいです。週刊連載の漫画家がたまに間に合わずに未完成の原稿を掲載することがありますけど、そんな感じの荒い絵です。後でもうちょっとだけブラッシュアップしましょう。
「まさかこのサクちゃんというのは……この国の神帝様か?」
「おお、良く分かりましたね」
「1ヶ月ほど前に起きた混沌魔物の群れの【大侵攻】。その防衛戦に参加したときに見たことがあってな……」
「可愛いですよね」
「大陸の方では【悪鬼王】と呼ばれて恐れられている。絵に描かれる姿ももっと恐ろしかった」
「へー、なんか悪名高いね」
そういえば、昔にハルテンの神帝様が大陸を征服したとかいう歴史があったんですよね。ハルテンは島国ですし、大陸からすると鬼ヶ島みたいな印象なんでしょうか?
「見た目可愛い幼女なんですけどね……えっと、お二人はこの国の出身じゃないんですかね?」
「ん? 前に大陸の出身って話したでよ?」
「そうでしたっけ……?」
そういえばお二人は大陸の出身でしたっけ?
最近物忘れが多いので、どうだったのかさっぱり覚えてません。
「まぁ、俺達の出自はおいといてだ。なるほど、神帝が動いたならこの巨大ミミズが倒せたのは理解した。……で、何故その神帝様がダンジョンにいるんだ?」
「ツチノコ探し……ですかね」
「一緒にツチノコ祭りしたよ?」
「いや意味が分からん……」
「兄ちゃ、こういうのはフィーリングでよ」
大丈夫です。私も説明してて良く分かってません。でもまぁ、だいたい報告書に書いた通りです。
「そういえばガイナス達は日中いなかったよね。どこいってたの?」
「ああ、それなんだがこちらもよくわからん事態になっててな……」
「こっちはこっちで色々あったんでよー」
どうやらガイナスさん達もなにかあったようです。私達はガイナスさん達の話を聞きました。
もぐもぐ、このお肉美味しいです。




