Lo60.さようならサクちゃん! また会う日まで! そして連行される私達! なんでですか!?
ツチノコ(?)も無事捕まえましたね。もう心残りはなさそうです。
「この子になんて名前つけましょう?」
「そうじゃのう。このツチノコは今までダンジョンの中でたった一匹健気に生きとったんじゃろう。ひとりぼっちで……」
「じゃあ、『ぼっちちゃん』だね!」
「いや、やめましょうそれ。ぜったい(切実)」
「じゃあ桃色じゃから『モモ子』じゃ」
「はい、モモコちゃん!いい名前ですね」
いささか安直ですが、モモコちゃんに決まりました。ツチノコもちょっとアンニュイな目線でこくりと頷いたような気がします。
どこかの某きらら漫画との名前被りは回避して良かったです。あの漫画好きだったなぁ。続き読みたいです。
「じゃあ帰りますか」
「うん、帰ろう!」
「待て待て、出口はそっちじゃないぞい」
そのまま天使の羽根を生やして空を飛んで帰ろうとしたらサクちゃんに止められました。
「こっちに近道があるんじゃ」
「近道?」
「うむ!」
サクちゃんはカルデラの中心にある大岩の裏を指さしました。はて、こんなところに近道とは……
サクちゃんの案内に従って向かったところに、なんか結構大きめの青いクリスタルがふよふよ浮いてました。
「これは……?」
「これを知らんのか? これに触れたら、入り口に転送されるんじゃ。【帰還ポータル】と言ってのぅ。ダンジョンの要所に配置されとる。これはさっき見つけたんじゃ」
「そんな便利な機能があったとは……」
「親切設計だね!」
「ホントにダンジョン初心者じゃのうお主ら」
ダンジョンって本当に便利なところですねぇ。冒険者が来るのも納得です。たまにナメクジとかミミズとか出てくるのを除いて、とてもいい環境ですね。ナメクジとミミズが出てくるのを除いて(大事なことなので2回)
「じゃあここでお別れかのぅ」
「あれ、サクちゃんは一緒に帰らないんですか?」
「儂、冒険者資格持っとらんし。不法侵入なんじゃわ」
「え、それじゃどうやって中に入ったんですか?」
「頑張って侵入したんじゃ」
「あっはい」
どうやら私達は不法侵入者のお手伝いをしてしまったようです。これって罪に問われますかね?
まぁ、不法侵入は悪いことですけど、幼女無罪なので何の問題もないと思われます!
「儂は頃合いを見て適当に脱出するから心配せんでええぞ。それより報酬の分配じゃが、儂はこのツチノコ貰ってええか?」
「そりゃまぁ、はい。私達は特にいらないですし」
「天使の輪っかも貰ってるしね」
「うむ、モモ子のことは大事にするから安心してよいぞ」
ツチノコはサクちゃんが持っていくことになりました。まぁ、いらないですしねツチノコ。サクちゃんがそれで喜ぶなら良かったです。なんかツチノコがドナドナされる牛のような目で私を見ている気がしますが、気のせいです。
「あと、桃の残りじゃが……」
「12個入りで4個食べたから、あと8個残ってるね」
「すまんが、4つ儂にくれんか? 孫に配りたいんじゃ」
「そういうことなら……え、孫いるんですか!?」
「おるんじゃ。すまんのぅ」
「サクちゃんって既婚者で経産婦なんですか!?」
「うむ」
マジですか? それが今日一番の衝撃なんですが。ロリババアとは思ってましたが……
いや、見た目ロリですよね。身長125cm。8歳女児の身長ですよ?
……犯罪では? でもそういうのもロリババアの醍醐味……
「代わりに、このミミズの魔石をやろう」
「えっ、これですか? ほぼサクちゃんが倒したものなのに?」
「まぁ、別に金に困ってはおらんしのぅ」
「いや、そうじゃなくて……魔石ってギルドが討伐した人のことを調べられたりするんですけど、大丈夫なんですか?」
「たぶん……大丈夫じゃろ! というか、冒険者資格のない儂が持ってても買い取り先に困るし。めんどくさいので持っときとうない」
「あ、そうなんですか? じゃあ取り扱いはギルドマスターさん(ケモ度高め)に相談してみますけどいいですか?」
「まぁ、別に構わんじゃろ」
確か混沌魔物の鹿の魔石で結構な討伐報酬貰えたと思うんですけど、それより強い超巨大ミミズのバスケットボール大の魔石ですか……これ、むしろ厄介ネタ押し付けられたような気がしないでもないです。
そんなわけで、私達の取り分は『天使の輪っか、ナメクジの魔石、ミミズの魔石、桃4個、あと雑魚魔物の魔石全部』になり、サクちゃんの取り分は『ツチノコ、桃4個』になりました。
「これ、私達貰いすぎじゃないですか?」
「構わん構わん。ぶっちゃけいらんし」
「じゃあ……遠慮なく貰うね!」
これ、換金したら結構なお金になりそうな気もするんですけど……ちょっとガイナスさんにでも相談してみますかね?
初心者冒険者がこんなもの持ってたら、トラブルになりかねないです。
「じゃあのぅ。楽しかったぞ、お主らとの冒険の日々は」
「ここまで長い旅だったね……」
「まだお昼になるくらいの時間なんですが」
サクちゃんは別れ際にこちらに駆け寄ってきて、私とユーくんをギュっと抱きしめました。
「あ、あの、サクちゃん?」
「どうしたの?」
「なんじゃろ……最後になんか言いたいんじゃけど……うむ、全然思い浮かばん! なんかめっちゃ楽しかった!」
「私も楽しかったです!」
「また会おうのぅ!」
「うん!」
そういって私達はサクちゃんと別れたのでした。感動的なお別れです。サクちゃんに抱えられたツチノコもなんかじとっと見つめてました。なんでチラチラ見てるんですかねぇ……
そして私達2人が帰還ポータルに手を触れると、周りの景色が変わっていきます。
「おー、これすごいね。よく分かんないけど」
「あ、そういえば結局サクちゃんの正体教えて貰ってませんね」
「大丈夫だよ。たぶんまた会えそうだし」
「そうですねぇ」
「うん。今度はサクちゃんに負けないくらい強くなりたいなー」
「ユーくんならなれますよ!」
「ボクがじゃないよ。『ボクとチーちゃん』が、だよ」
「……はい、そうですね!」
私もユーくんに認めてもらえてるのすごく嬉しいです! これからもユーくんの仲間として、頑張りますね!
しゅいんしゅいんしゅいん
帰還ポータルでの移動が終わりましたが、出たところはなんか似たようなクリスタルが多数ある部屋でした。
【ダンジョンポータルルーム】とか書かれている標識。そして部屋の外行きの通路には『この先、ダンジョン入り口』と書かれた看板があります。
「おや、なんですかねここ?」
「あー、入り口にあった謎の横穴がここに繋がってたかぁ」
「そんなんあったんですね」
全く知らずに素通りしてましたよ。ここは要するに、帰還の為に入る部屋ということですが。
私が部屋の中を見てると、突然ケモ度の高い狼獣人のお姉さんが武装をした姿でクリスタルの前でシュインシュインと姿を現しました。私達と同じく、ポータルを使って帰還したところでしょうか?
そのお姉さんは私達を見ると声をかけました。
「ん? あのときのチビちゃん達か? 無事で帰ってきてて良かったんだぜ……」
「あ、ゲートキーパーのお姉さんですか」
ケモ度の高い獣人のお姉さんは、私達がダンジョンに入るときに会ったゲートキーパー(門番)のお姉さんでした。相変わらず、なんかイケメンっぽくていいお姉さんですね(獣人基準)。
彼女は私達を見て安堵のため息をつきました。
「あの、どうしたんですか?」
「実はな……ダンジョン内に混沌魔物が出たとかでギルドはてんやわんやなんだぜ。そんで討伐命令が出たんだ」
「あっ……(察し」
きっとあのドワーフさん達が報告に行ってたんですねぇ。そりゃ大騒ぎになりますよねー……あの後、呑気にツチノコ探してましたからね私達。
「今出れそうなのがアタシくらいだから、とりあえず向かったんだが……さっき3層に行ったら何もいなくてな。だけど大地が割れてるし、なんかただ事じゃねぇと思ってとりあえず報告に戻ったところなんだぜ」
「あー……(察し」
どうやら、彼女は混沌魔物を討伐しに内部に向かっていたようです。というか1人で行ってたんですか? このお姉さん、自分から「強いぜ☆」みたいな自称してましたけど、ガチで強いやつでしたか……
それにしてもどうしましょう。混沌魔物はもう倒してしまったのですけど。するとユーくんが前に出てきっぱりと言いました。
「あのナメクジはボク達が倒したよ!」
「……マジで?」
「うん!」
ゲートキーパーのお姉さんはビックリしたように固まりました。
「いきなり言われても信じられねーけど……てゆーか、お前らダンジョンに出た混沌魔物がナメクジって知ってるのか?」
「うん、毒のナメクジだったよ。黒くて大きかった!」
「……報告にあった通りだわ。あー、なんだ。一応証拠とかあるか? 魔石とか」
「あるよ!」
ユーくんがごとっとバスケットボールサイズの大きな魔石を置きました。
「うおでっか」
「あ、間違えた。これはミミズのだった。本当のはこっちだよ」
「え、ちょい待った。ミミズ? 聞いてないんだぜ?」
そうしてゴトリと一回り小さい魔石を置くと、ゲートキーパーのお姉さんが額を抑えながら言いました。
「あー、なんかよくわからんからギルドに報告しに行っていいか? 一緒に来てほしいんだぜ」
「あ、はい。別に構いませんが……」
「お姉さんは信じるの?」
「わからん。ただ、あらゆる可能性を考えるのがプロフェッショナルの仕事なんだぜ」
「かっこいいですね!」
「いや、適当に言っただけなんだぜ。考えるのは偉い人の仕事だし」
ずこー。このお姉さん、割と適当でした。
「そういえばチビちゃん達、なんかダンジョン内で角生やした幼女とか見なかったぜ?」
見なかったもなにも……明らかにサクちゃんのことですよね? 不法侵入したと聞きましたが、どうしましょうか。私は小声でユーくんに聞きます。
「……どうしましょう、これ?」
「別にいいんじゃない? なんか向こうも知ってそうだし」
うーん、まぁいいか。言っちゃいましょう。特に口封じはされてないですし、ゲートキーパーのお姉さんが知ってる時点でお察しです。
「あのー見ました。というかさっきまで一緒にいましたよ」
「あっ……。なんか色々と分かったんだぜ」
明らかに何かを察した感じのお姉さん。ええっとサクちゃん、なんか問題児なんでしょうか……?
「とりあえず容疑者2名、ギルドに連行するんだぜ」
「え、容疑者なのボク達!?」
「私達は潔白ですよ!」
「おら、きりきり歩くんだぜー」
私達はケモ度の高いお姉さんに連れられて、ギルドに向かったのでした。まぁ、特に抵抗せずに大人しくついていきました。わーい逮捕されるんだぜー




